第23話 キスってどんなんだ?
俺と父さんが、遭難から救助されて、俺のケガも治った。
そうなると、お祝いだ!
って事で、俺達は、町へ向かった。
町に着いた。
ここに来た目的!
それは、俺達が無事に家に帰った事を祝しての食事会をしに来たって訳だ。
だが、晩御飯には、流石に早いし、家で軽く食事してきた俺は、まだ腹が減っていない。
「まだ食事するには早いわね。 買い物でも行く?」
時計を見た母さんが提案してくれたが、時間があるなら……
「時間があるなら、俺、キャスカと一緒にこの辺ブラブラしてるから、母さんは父さんと夫婦水入らずで、仲良く行ってきなよ」
キャスカとデートしたいし。
それに、ずっと連絡出来てなかったウィズ達に挨拶もしたいからね。
「どうしたの博人、そんな気遣いするなんて?」
母さんが、怪しむ感じで俺を見ている……
「いや、たまにはさ、俺達の世話から解放されて、楽しんでもらいたいだけだから! キャスカだって、いいだろ?」
「うん! 朱美さん、俊夫さんと楽しんできなよ!」
キャスカも言ってくれてるよ……
母さんは、相変わらず俺へ疑いの眼差し……流石に強引だったか?
「朱美、博人達が、ああ言ってくれてるんだ。
ありがたく二人で買い物でも行こうか?」
父さんが、言ってくれた!
「ふふふ、そうね。 昔に戻ったみたい
それじゃ、博人、キャスカちゃん、17:00に、ここで待ち合わせね」
母さんが嬉しそうだ…… やっぱり、異世界に来て俺達の手前、リラックス出来てなかったのかもしれない……
俺は、キャスカとイチャイチャしたくて言ったのだが……二人には、短い時間だけど、楽しんできてもらいたいと思った。
車が走って行くのを見送って、スマホを見ると…… 14:00 母さんが言った時間まで、まだ、時間がある。
「キャスカ、ごめんな……勝手に決めちゃって」
「ううん、僕も、朱美さんには、良くしてもらってるし……楽しんできてくれるといいなぁ」
キャスカが車が走って行った方を見つめて言った。
……ホントに、良い子だ。
俺は、そんなキャスカを見つめていた。
「じゃ、お兄ちゃん、これから、どうする?」
キャスカを眺めていたら、突然振り返ってきたので、直ぐに視線を外す!
……焦った。
気づかれていない……よな?
よーし! 何をするにも、金がいる。
なので、エティゴーヤの店で、またビー玉でも買い取ってもらおうと向かう事にした。
ついでに、ウィズとカリナさんに挨拶しに行こう。
そして、俺の事が好きなカリナさんに、ちゃんとケジメをつける!
カリナさんには申し訳ないが……俺の愛する女性は、このキャスカだから!
別に博人の事を好きだとも、そんな素振りもみせていないカリナなのだが……
博人の一方的に勝手な妄想で、振られる彼女も気の毒である。
俺達がエティゴーヤの店を目指して歩いていると、広場に自転車の例のアレがまだあった。
数人のお客さんが並んでいる。
「キャスカ、ちょっと見て行こう」
俺は、キャスカの手を引いて様子を見に行く事にした。
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「ごめんなさいね」
俺は、並んでいるお客さんに声をかけて、受付カウンターの机の前にきた。
「いらっしゃいま……博人さん!」
受付に座っていた男が俺を見て言ったが……
あっ! お前、キャスカを拘束した奴じゃないか! ……見た感じ真面目に働いているようだね。
「どう? 儲かってる?」
自転車1台で、どうなるものでも無いだろうが、聞いてみた。
「へへへ、おかげさまで! みんな、物珍しさから遊びに来てくれてますよ、自転車に一人で乗る事が出来る人も出てきましたしね」
そうなの? それじゃ、自転車を増やして、レースとか開催しても面白いかも……
ダメだ。
日本に暫く帰らない事に決まったんだった……しかし
いや、そんな事より……
「ウィズは? 姿が見えないけど?」
俺が当たりを見ても、ウィズの取り巻きしか見えない。
「ウィズ様なら、エティゴーヤの店に行くって言ってましたけど……」
「そう、それなら丁度良かった、俺達も行くからな。
そんじゃ、頑張れよ!」
俺が行こうとした時、革袋を渡された。
中には、銅貨が結構入っていて、売り上げの一部、俺の分だと言われた。
俺は、礼を言って、エティゴーヤの店へ向かった。
「キャスカ、儲かったな。 これで、キャスカに何か買ってあげるからね」
「いいよ、お兄ちゃんの好きな物、買いなよ」
キャスカと歩きながら、話していると、町の清掃作業をしている、ハゲと七三分けの男がいた。
前に、キャスカに絡んできた奴等だ……
ラビリオの村から出てきたのか?
雰囲気が変わっているが、俺に気づかれて絡まれても面倒なので、気づかないフリをして、通りすぎる事にした。
もうすぐ、エティゴーヤの店だ。
「お、お兄ちゃん……」
キャスカが俺の手を握ってきた!
なっ、何?
積極的だな、おい!
「どうしたんだい?」
俺は内心ドキドキしながら、平静を装いキャスカを見ると、指を指してる。
ん?
カリナさん?
なんか急いでるみたいだね……あ、路地に入っていく。
「なんだろ? キャスカ、ちょっと見に行こう!」
「うん」
野次馬根性丸出しで、俺とキャスカは、カリナさんの後を追った。
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薄暗い路地……
カリナさんは?
「!」
角を曲がったところにカリナさんが居たので、俺は、サッと隠れた!
危ない……見つかるところだった……
「危なかったね」
小声でキャスカが言ったが、全くだ。
ん?
何で、俺達が隠れる必要がある? 普通に挨拶すりゃ良いじゃないか。
「お兄ちゃん、誰かと待ち合わせしてたみたい……」
覗いているキャスカが俺に報告してくる。
うん。
ちょっと確認して、大丈夫そうなら、そのまま挨拶しよう。
俺も、そっと顔を出して、様子を確認……
「あれっ?!」
声が出そうになって、慌てて口に手をやった。
だって居たの、ウィズじゃん……
……いや、それなら大丈夫だろ?
俺は、立ち上がって、普通に角をまがって二人の所に行こうと……
バッ!
即座に戻って隠れた!
だって……あの二人……抱き合って……キスしてた!
あ… え…… 頭が混乱する。
「えー……」
マジか……あの二人……出来てたのか?
「どうしたの? 誰だった? 何してたの?」
驚いた様子の博人に、キャスカが聞いたが反応が無い。
どうしたんだろう?
疑問に思って、黙ってる博人の横からキャスカが顔を出して、カリナ達の様子を確認した。
「なっ!」
直ぐに頭を引っ込めるキャスカ。
「……お兄ちゃん」
声が聞こえて、我に返ってキャスカを見ると…… お前も、目撃したんだな?
「い、行こうか、キャスカ」
俺は、キャスカの手を引いて歩き出す。
ウィズ達を邪魔しないように退散する事にしたのだ。
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……カリナさんと、ウィズが、チューしてた。
……つまり、ウィズとカリナさんが、付き合ってるって事?
……カリナさんは、俺が好きだったのでは?
「早いよ、お兄ちゃん」
キャスカが俺に声を……
俺は、速足で歩いていたようだ。
「ご、ごめん! ビックリして、気が動転してた」
俺は、立ち止まってキャスカに言った。
「うん……びっくりしたね! キ、キスしてた!」
そうだな。
羨まし……不純だぜ! ウィズ! 俺なんか、清いもんですよ。
……。
……。
俺とキャスカは、無言で歩いた。
気まずい……
な、何か、話さないと……
「キャ、キャスカ……キ、キスし、しようか?」
は? 何を言ってんだ俺! すぐ否定せねばっ!
「ハハハ、冗だ」
「うん……」
「だよねーー!……ごめん、悪かった! ちょっと、言ってみただけだから! 母さん達には内緒だよ! いやー! ハハハ……は?」
え?
ん?
俺は、キャスカを見る。
真っ赤になってるキャスカがそこにいた。
「……いいの……か?」
キャスカが、恥ずかしそうに小さく頷く。
……マジか?
いや、言ったの俺だけど!
博人は、汗がダラダラと流れた。
どう言うことだ?
……こっちの世界では、キスは挨拶的な感じなのか?
口と口だぞ?
そうなのか?
んな訳あるか!
よ、よし!
「キャスカ……こっち……」
俺は、キャスカを連れて路地に……
辺りに人は居ない。
うん。
……いくぞ。
……やるっ!
……ファーストキスだ!
震える手でキャスカの肩を掴んだ。
キャスカが、少しビクッとしたが……目を閉じた。
OKなんだな?
良いって事なんだよな?
い、いくよ?
俺は、ゆっくり顔をキャスカに近づけていく……
好きだよ……キャスカ……
こうして、俺達はキスを
「あっ、俊夫殿の息子さん!」
「わーーっ!」
「きゃぁーー!」
突然、声をかけられ、キャスカと俺は、離れた!
俺は、声の主を見る……まぁ、声で大体わかったが。
「ハハ……エティゴーヤさん?」
この野郎! 俺に何の恨みがあるんだ! ぶっ殺すぞ!
「坊ちゃんも、隅に置けませんな……女の子と逢引きですか? ムフフフ」
「い、いや、父さん達と食事に来たんですが、時間があったので、キャスカと町をぶらついてましてハハハ」
貴様、父さん達に余計な事を言うなよ!
そして、早く失せろ!
「俊夫殿も町に来ているんですか?! ちょうど良かった! 相談したい事があったので、今度、お宅にお邪魔しようと思っていたんですよ! ホントに良かった!」
……ん?
エティゴーヤ……
こうして、俺のファーストキスは、お預けとなった。
そして、家族の食事会に、この厚かましい男、エティゴーヤが付いてくる事に……
ムカついたが、ビー玉を買い取らせて金を得た事だけが救いだ。
エティゴーヤ! 貴様ぁーー!
ま、まぁ……チャンスはいくらでもあるさ!
しかし…… キャスカが拒否しなかったって事は……俺の事が、す、す、好きだって事でいいんだよな?
って事で、次回も、乞うご期待!




