第21話 家族の再会とサイクロプス
間抜けな父さんと俺は、遭難した。
母さんや、キャスカと早く会いたいのだが……
8月1日 午後 2:18
森の中の険しい道を、ゆっくりと進むオフロード四輪駆動軽自動車。
「本当に、こっちで良いの?」
真剣な顔で運転する父さんに聞いたが……必死に運転してて、それどころじゃなさそうだ。
「博人…… 大丈夫…… 俺に…任せとけ……」
前や、横を確認しながら、狭く段差があるところを通過しながら答えてくれたが……
初日に遭難してたじゃん……
そう思ったが、余計な事を言って事故を起こされても困るので、俺は黙って車にしがみつく。
父さんが言うには、山で遭難した時は、頂上を目指すのが良いらしい……
どうなのか知らないが、早く家に帰りたい。
ちゃんとしたお風呂に入って、ちゃんとした布団で眠りたい。
車は、頂上を目指して道なき道を行く……
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全く信用してなかったが、父さんがやった。
頂上が見えてきたのだ!
「父さん! この山の頂上じゃない?」
俺は、嬉しくて、父さんに言った!
やったね、父さん!
「ああ、俺の計画通りだ。
いいか、俺が、遭難を装ってだな、お前の肉体と精神を極限まで追い込んだおかげと、教育プログラムで施した脳の……いや、山の修行で、お前は、強く逞しくなったんだぞ!
俺がお前の事を心配して、ずっと傍で指導したおかげと言えよう!」
父さん……俺を心配したって言うけど、自分が遭難したから、俺と一緒に居たんだよね?
俺は、そんな父さんを冷ややかな目で……
「……とにかく、これで、助かるんだね!」
そうだよ、助かるんだ! 気持ちを切り替えよう!
「ああ!」
父さんが力強く答えてくれた。
……ん、さっき脳がどうのって?
「……父さん、教育プログラムで、脳のって言ってたけど……俺……」
「言ってないよ」
父さんが、横を向いて窓の外を見て答えた。
……なぜ、俺の顔を見ない!
「父さん! ごまかさないでよ! 俺の体に何かしたの?!」
「脳なんていじって無いから、黙ってろ!」
黙ってろだなんて……
「えっ?」
「あっ!」
二人が同時に言った。
……脳をいじられたのか、俺。
「……父さん、どう言う事?」
俺が、聞いた時、頂上に着いた。
ここは、開けた場所になっていて、遠くまで見渡せる場所だった。
「博人…… この前も言った通り、俺達には、特殊な能力がある。
その能力は、血縁関係者に受け継がれる場合が多い。
そして、お前にもその素質がある……」
車を停車させて、父さんが俺に語りかけてきた……
「能力ってのは、次元の移転……今回の異世界転移に肉体が耐えれると言う事。
通常の人間は、次元振……転移の時に出現する壁によって、転移は阻まれ、転移する事が出来ないんだ。
DNAの一部に染色体異常がある人間はTYM数値と言うものが高い。
その数値が高い者が転移の際に、その壁を突破する事が出来ると言う調査結果があり……俺達家族がそうだ。
そして、その数値が特に高いのが……お前だ!」
父さん……
「何を言ってるのか、さっぱりだよ」
俺は、正直に言った。
だって、解んないもん!
「うるさいなっ! 俺だって必死に思い出しながら説明してんだから、そんで、才能あるから、お前の脳をいじって、潜在能力を引き出せるようにしたの」
父さんが、キレ気味かつ雑に説明してくれた。
俺の体の事なのに……
「いいか、博人。 通常、人は脳にかかったリミッターによって、本来の能力の10%程しか使用していないんだ。
それを、お前、リミッター解除してだな、身体的にも、あれだ、強くなれるって奴だよ」
なんか、ざっくりとした説明……もしかして……いや、そんなハズは……
……父さん……俺に説明するの、めんどくさくなってきてる?
「しかし、お前凄いよー、えー、あれだ、普通の人間だったら、そんな事したら、制御が効かなくなって発狂して死ぬか、体の負荷に耐え切れずに死ぬかなんだから!
なんか、次元局の医者が言うには、お前のTYM数値が異常に高いから耐えれるんだって!」
ああ、もう、確定だ……コイツ、完全に適当になってきやがった。
ん? ……待てよ。
「いや、父さん、その手術いつしたの?」
「え? お前が3つくらいじゃないかな?」
3つ……おかしい!
「変だよ! だって、俺今まで生きてきて、身体能力がそんなに高いって感じた事ないよ! 運動会だって他の子と、どっこいどっこいだったし」
別にスポーツ万能、学力優秀って事も全くなかった。
俺の高校、学費は高いが、偏差値低いし!
「だよね? だから、完全に失敗だと思っていたんだが……
俺の想像の話になるが……お前、今まで本当に本気で物事に当たった事が無かったんじゃないか?
自分は、こんなもんだろうって、自分で自分の限界を設定してたんじゃないか?」
「……」
父さんの言葉は…… いや、うん……確かに、そうなのかもしれない……。
俺にそんな力が……
博人は、自分の手を見て、秘められた力に身震いする気持ちだった……
ガタガタ……ガタガタ……
ホントに、揺れてない?
「博人! 一つ目小僧だ! 気をつけろ!」
父さんが叫ぶが、俺もフロントガラスの向こうの奴を確認した!
サイクロプス!
この軽自動車を片手で、ユッサユッサしてる!
ユッサユッサ……ユッサユッサ……
ヤメロ! ユッサユッサするんじゃねぇ! 気持ち悪くなっ……吐きそう。
「博人! 待て! 絶対吐くな! 俺は、この車気に入ってるんだから!」
父さん……も、もう……
俊夫は、気持ち悪くないのに真っ青になる。
「てめぇ! 止めろ、この野郎!」
父さんが、真っ赤になって、外に飛び出した。
赤くなったり、青くなったり大変だね……
タタタタタタ……
俊夫が手にした自動小銃で、サイクロプスを射撃した!
「グガァァアアーー!」
サイクロプスが、自動車から手を放して、俊夫を睨む!
博人は、車を降りて、吐いている!
「フハハハハ! 目が弱点だろう! 妖怪の漫画を俺は読んでたから知ってるぞ!」
俊夫がサイクロプスと距離を取りつつ叫んで、標準を合わして撃つ! 撃つ! 撃つ!
「うん、効いてない!」
俊夫が言った!
サイクロプスが、手にした巨大なこん棒を振り上げ俊夫へと振り下ろす!
ズガァーーン!
「ハハハ! アブねぇー!」
俊夫が、華麗にジャンプして避ける!
「博人! 車から、武器取ってーー!」
俊夫が、言ったが、博人は嘔吐中!
「何吐いてるんだよ!」
俊夫が言いつつ、サイクロプスから距離を取ろうと走る!
サイクロプスも俊夫を追っていく!
博人が、嘔吐を済ませて、車に戻ると、後部座席の方に武器が沢山あった!
「何が……何がいい! 全く分かんないぞ!」
デカいナイフや、日本刀……あと、重火器が沢山……
「よくわかんない!」
俺は、日本人なので日本刀をもって行く!
……鉄砲なんて使い方がわからないからな! 使い慣れた、コイツを使うのだ!
「ウヒョーー!」
俺は、日本刀片手にサイクロプスへと駆け出す!
「あーー! 馬鹿っ! 武器取って渡してくれりゃ、良いのに!」
俊夫が、サイクロプスへと走る博人に向かって言ったが、聞こえていない!
足を止め、俊夫もサイクロプスへと走る!
俺は、サイクロプスに向かって走る!
まずは、奴の機動力を奪う!
ズバァァァーー!
「うらぁあーー!」
俺は、サイクロプスのアキレス腱を斬ってやった!
サイクロプスがバランスを崩すが……
ドガァァアーーン!
サイクロプスは、こん棒を杖にして、倒れる事を拒否する!
タタタタタタッ!
「オラァー! こっちだ、一つ目小僧!」
父さんが叫んでサイクロプスへ自動小銃を乱射した!
サイクロプスにダメージを与えているが、倒す程ではないよだ……
だが!
「父さん、ありがとう!」
サイクロプスの注意が父さんに向いた!
俺は、そのチャンスを逃さない!
毎日の食材を手に入れる為に沢山モンスターを倒してきた俺の力を思い知れ!
博人は、サイクロプスの体を駆け上がり登っていく!
そして、俊夫はサイクロプスへの射撃を続ける!
「あぶっ、危ないよ! 父さん! 当たるッ! 当たるからーー!」
博人が、俊夫へ必死に叫ぶ!
その時!
バラバラバラ……
「あなたーー! 博人ーー! 助けに来たわよーー!」
小型ヘリに乗って朱美がやって来た!
「キャスカちゃん! ミサイル発射!」
後ろに乗るキャスカに指示する朱美!
「ハイッ! 朱美さん!」
キャスカがサイクロプスにロックオンして、トリガーを引いた!
シュボッ!
小型ヘリの両サイドに設置されていた小型ミサイルが撃ちだされ、加速していく!
「おっ、おいーー!」
博人がミサイルを確認した時は、もう直前まで来ていた。
ドガァァァーー!
「グオオオオーー!」
サイクロプスの右胸の辺りに命中したミサイルが爆発を起こしその体を吹き飛ばした!
「うぎゃぁーー!」
当然、博人も吹き飛ばされた。
右半身上部を失ったサイクロプスが絶命し、大木が倒れるが如く……巨体がゆっくりと倒れ、地鳴りのような音と土煙を上げる……
「よしっ! やっつけたぞーー!」
俊夫が、勝利宣言をしたのだが……
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こうして俺は、大怪我をおったがサイクロプスを倒す事が出来、家族と再会する事が出来た。
……体が上手く動かないので、キャスカを抱きしめる事が出来ないのが残念。
だが……助かった。
これで帰れる……薄れゆく意識の中、着陸中のヘリを見ながら、俺は安堵し……そして、気絶した……
サイクロプスを華麗に退治する前に、俺は、死にかけた。
だが、俺は死なない!
キャスカとイチャイチャ、チュッチュするまで、死んでたまるか!
しかし……母さん、良く俺達の居場所が分かったね?
って事で、次回も、乞うご期待!




