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第18話 話を聞いて、修行へと。

なんか、とんでもない事になってきている。

とにかく、話だ。

話を聞こう、父さんに!

 何でもない朝のハズが、とんでもない事になった。


 世界の消滅と、阻止の方法……

 俺達の世界が存在し続ける為には、他の世界を消滅させなければならない……らしい。


 父さん…… 

 父さんは、何を知っているんだ?



「博人、そこに座れ」

 促されるまま、リビングのソファーに座る父さんの前に座った。

 聞きたい事は、山ほどある。


「父さん、さっきの…… キャスカはどうなったんだ?」

 突然変な事を口走った後、気を失ってしまったキャスカ……さっきのは、一体なんだったんだ?

 

 後ろでは、母さんがキャスカを抱いて、寝室の方へ歩いていくのが見えた。


「あの時のキャスカは、キャスカじゃない。

 おそらく俺達、国次局の者が管理者と呼ぶ 思念体だろう……」

「こ、国次局……?」

 父さんが真剣な顔で、俺に答えてくれたが……疑問が増えた。

 そんな俺は、表情に表れていたようで、父さんが続けてくれる。


「まぁ、混乱しているのは……解る。

 当然だ。

 そうだな…… まずは、俺と母さんの事から、話そうか……

 博人、俺と母さんは、ある国際的な組織に属している。

 そして、俺達が住んでいたあの地域のほとんどの世帯が、組織になんらかの関与をしている……」

 父さん? それって……


「俺達の所属する組織は、国連直轄機関 国際次元管理局……

今回の事態の様な…… そう、世界の消滅を阻止する為に創設された組織。

 ……博人、地球はな、遥か以前から、今回の様に生存競争を強いられてきたんだ。

 そして、今まで地球が、世界がその存在を保持出来ているという事は、どこかの世界を消滅させてきたからに他ならない……

 人類全ての人間は、生まれながらに業を背負って生きている」

 父さんの言葉は、理解し難く……

いや、またどうせ!


「そんな組織……聞いた事ないよ! また、俺をからかっているんだろ?!」

「公にはされていない」

 俺に対して、父さんは冷静に答えた。


「博人、これから話す事は、国次局の研究結果に俺の推察を加えたものであって、実際とは違うかもしれない事を考慮して聞いてくれ。

 まず、さっきのキャスカの件だが、俺がアイツに「管理者」と言った事を覚えているか?」

「ああ、聞いてた」

「管理者とは、俺達の様に異世界転移を行い出会った者の証言から国次局がつけた名称だ、本当の名前があるのか知らん。

 異なる世界同士を移動し、世界の統廃合の管理をしているらしい…… 異なる世界を行き来する者…… 思念体の一種だろう。

 組織自体、転移者の証言以外、調べる手段が無いしな……」

「よくそんな証言だけで、国際的な組織が出来たね」

 呆れたように、俺は父さんに言った。


「それは、組織を作ったのが、転移者だったからだ……細かい事は、俺も知らんがな。

 それから色々あって、確実に戦いに勝ち残る為、俺達みたいに能力があるものを特定の地域、異世界とのゲートが開きやすい場所に集められている、世界中いたる場所にだ」

「それが、栃木県の佐倉市に?!」

「そうだ。

 勝負がどんな形で行われているのかなんて、勝負の終わった転移者からの証言も得られなかったので、国次局も解らないが……

 俺達は、先代の地球を守った人達と同じように、勝って、地球を守る。

 それが、俺と母さんの使命であり、博人……お前も、選ばれたんだ、俺達にもしもの時があったら、頼むぞ!」

 父さん……

「いや、頼むぞって、そんな勝手な……」

 当然、俺は……困る!


「博人、人はな、誰しもが自分の意思で好きに生きられる訳じゃない、環境や人、色々な要因で自分の意思とは別の生き方をしている人間の方が多いんだぞ」

「いや、父さん……そうかもしれないけど、ここまで特殊な事と比較する?!」


「博人、父さんも母さんも、その為に、訓練を受けたんだから、負けるつもりはないわよ」

 キャスカを運んだ母さんが戻ってきて言ったが……


「父さんも、母さんも、誰かの世界を奪う事に躊躇ってか、罪悪感とか……あーー! なんて言っていいか解んないけど、無いの? そう言うの!」

「負ければ、私達の世界が、消滅しちゃうんだもん……人の事まで考えてらんないわよ……死にたくないしね」

 母さん……


「博人、優しい気持ちは尊重したいがな……人は、誰しも大なり小なり生きている限り、誰かに迷惑をかけている。

 自分だけが助かりたい、自分の立場を良くしたいってのは、エゴだ。

 自分も助かりたいが相手も助けたいってのもエゴだ。

 お前の言う、お前の倫理観に縛られ、行動しないってのもエゴだ。

 俺達がやろうとしている事は、決して良い事じゃない。

 人類のエゴ……生きたいから、相手を殺す、生存競争に勝ちたい。

 そんなの単なる、わがままだ。

 だがな、それを理解して、やるんだよ。

 俺達人類が背負う業が増える、それだけだ」

 父さん……


「キャスカは? キャスカはどうなるんだよ……」

 そうだよ、この消滅が決定している世界の住人である、キャスカはどうなる?


「解らない。

 解らないから……勝つしかないんじゃないか?

 助かるのか、助けられるのか、全く解らないが……負ける事は、可能性を消してしまうと、俺は思う」

 本当に、その事は、父さんにも解らないみたいだった。

 だけど、俺も……父さんの考えに賛同する。

 いや、賛同するしかないじゃないか!

 消滅したら、誰がキャスカを守るって言うんだ!


「……」

 

 俊夫は、博人の目を見て……博人が決意した事を感じ取った。


「博人……正直、俺は、自分が転移者になる事など無いだろうと思っていた。

 だから国次局の教育プログラムも……適当にお前に課していたんだが……

 実際に転移してしまったからには、本格的に鍛えるからな!」

 教育プログラムそんなのされてた?

 なんの事かわからないが……

 キャスカを守る力を手に入れる事が……出来るなら!


「やるよ、どんな事だってやってやる! キャスカを守る為なら!」

 俺は、父さんの目を見て言った!



 キャスカが起きた。


 昨日寝たベッドの上、俊夫と朱美の寝室だった。

 朝食をとっていたハズなのに……また寝てしまったのか?

キャスカは、自分が管理者に意識を奪われていた事を知りはしない……

 そして、自分の世界が消滅する事など……


 キャスカが部屋を出ると、俊夫と博人の姿が無い事に気づく。


「朱美さん、俊夫さんと、お兄ちゃんは?」

 キッチンにいた朱美に、キャスカが聞いた。

「あら、起きた? 昨日の事で疲れてたから、眠くなったみたいね。

キャスカちゃんったら、朝ごはん食べながら寝ちゃったのよ。

だから、私がベッドまで運んだの」

 笑いながら朱美が言うので、恥ずかしくて真っ赤になるキャスカ。


「ちょっと待ってね、行く用意が出来たら、後で、一緒に町に行きましょう」

「あ、はい、解りました」

 思いがけない朱美の提案だったが、キャスカは買い物の荷物もち等の手伝いだろうと思った。

返事をすると、リビングで朱美が来るのを待つ事にした。


 そして、出掛ける用意をする為に自室に行っていた朱美が、バックを持って現れた。


「それじゃ、行きましょう」


 朱美について、外に出ると、俊夫の車が無い。

 どうやら、博人と一緒に出かけた様だ。


「ちょっと、車出してくるから待っててね」

 朱美が車庫へ走って行く。


ガコンッ!


 町田家の車庫は、地下に格納された車を選択して自動的に地上の車庫に出てくると言う特殊なものである。

 朱美が選択したのは、ワンボックスの普通自動車。

 それに乗り込んだ朱美はエンジンをかけて、車を発進させ、家の前へと移動させた。


「キャスカちゃん乗って、町に行くわよ!」

 朱美に促されキャスカが助手席に乗り込む。


「俊夫さんの車より広いね」

 車は俊夫のオフロード軽自動車しか知らないキャスカは、興味津々で車内を見る。

「シートベルト」

「あっ、そっか!」

 朱美に言われて慌ててシートベルトをつけると、キャスカに笑って、朱美が車を動かした。


ブロロローー……


 快適な乗り心地。

 広い車内。

 初めての車。

 キャスカの心が弾む。



ブロロローー……

 山中を進む、オフロード四輪駆動軽自動車。


「修行と言えば、山と古来より決まっているからな」

 父さんが言ったように、俺と父さんは、修行への場へと向かっている。


「ああ、望むところだぜ! ……でも、父さん、考えたんだけど、敵も転移してきて何処にいるかも解んないんだよね?」

「そうだよ」

「それ、出会えるの? 考えてみてよ、日本国内だけで考えても、一生出会わない人なんて無数にいるじゃん。

 この世界にやって来た一組の敵を見つけるって、砂浜に落とした針を見つける並みに大変なんじゃ……むしろ、出会わない可能性の方が……」

「あっ……」

 あっ……って父さん…… もしかして、今気づいたの?!


「いやっ! 博人、始める前からそんな考えでどうする! 敵がいつ来てもいいように強くならなくっちゃ! だから、修行するぞ!」

「……」

 無茶苦茶なっ!

 俺は、凄く不安だよ、父さん!


 俺の言葉が、父さんの気に障ったらしく…… 車がどんどん進む……

 どこまで行くの?

 

 ……凄く遠くまで来たので、凄く不安になってきた……

 大丈夫なの? ちゃんと帰れるの?


「よし……この辺で良いだろう」

 父さんが言って、車が止まった。


「よし、博人、降りるんだ」

 俺は、自動車を降りて辺りを見渡す

 薄暗い森……気味が悪いな……

「ここで、修行って訳だな!」

 俺は、自分を奮い立たせるように言った。


「じゃぁ、一週間したら戻るから、行き抜け!」

 父さんが言って、


ブロロローー……

 

 行ってしまった。 


「…………え?」

 いや、今そんな冗談を?


「って、ホントに行っちゃったよ! ふざけんなッ!」

 俺は、叫んだ! ……が、答える者もいない森の中…… 呆然とするしかなかった……


「……何考えてるんだよ、父さん……」


ブロロローー……

 

「あれ? 戻ってきた?」


 車が俺の前に止まった。

 運転席の窓が開く……


「山で一人、生き残る事が出来たら、強くなれるかなと思ってたんだが……」

 お前は、何を言っている?


 驚愕の表情で父親を見る博人……


「……道に迷ったから、戻ってきた」

「…………は?」


 こうして、俺と父さんは、……遭難した。

修行に来たが、遭難してしまった……

父さんの意図どうり、生き残るサバイバルだよ。

ただね、世界が消滅とか以前に、死ぬかもしれん……

って事で、次回も、乞うご期待!

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