第13話 ヤッホーー!
家で、色々あったが、ウィズに奢ってもらって、元気が出てきた!
ウィズに昼ご飯を奢ってもらった。
「ありがとな! ここの料理も中々旨かったよ!」
食堂を出た俺が言うと、
「当たり前だ! ここは、安くて旨い、俺の行きつけだからな!」
嬉しそうに言うウィズを見てると、なんか、俺まで嬉しくなるぞ!
「それより、博人、それなんだ?」
ウィズが自転車を指さして聞いてきた。
フフフ……
チリンチリンッ!
「ヤッホーー!」
俺は、ベルを鳴らすと、颯爽と自転車を漕いで、ウィズの周りをぐるっと一周して見せた。
どうだ、まいったか!
「か、か、カッコいいーー! 何それ! 俺も、俺も!」
ウイズが自転車を追って走ってきた。
チリンチリンッ!
「ヤッホーー!」
俺は、颯爽と自転車を走らせる。
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「フフフ、カッコよかっただろ!」
俺は、得意満面でウィズに言ってやった。
「うん、カッコよかった! 全然止まってくれなかったけど!」
ウィズが、汗だくで答えた。
「よし! 俺は、優しいから、この大事な自転車にお前を乗せてやる!」
「わーーい! 恩着せがましいけど、ありがとう!」
ウィズが喜んで……無邪気なもんだ。
俺は、自転車を降りて、ウィズを乗せた。
チリンチリンッ!
「ねっ!」
ウィズが、ベルを鳴らして嬉しそうに俺を見て言ったが、どうしろと……リアクションに困る。
「うん、よかったね。 それじゃ、走ってみな」
適当に答えて、ウィズに自転車を走らせるよう指示した……
「ようし、いざっ! ヤッ」
ウィズが、自転車を漕ぎだしたが……
バタァーーン!
豪快にこけた。
まぁ、解ってたけど。
「いてて……凄いな博人、こんなの軽々と乗りこなして……」
起き上がりながら、ウィズが言った。
そうだぞ、俺の凄さ偉大さを身をもって知るが良い!
「俺が、後ろを持っててやるから、バランスを取りながら走ってみろよ、練習あるのみ!」
得意げに俺が指導するが、中々気持ちが良いものだ!
俺のレベルに達するには、長い修行が必要だろうけど、頑張れ! ウィズ!
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20分後ーー
チリンチリンッ!
「ヤッホー! ヤッホーー! ヤッホーー!」
俺の前をウィズが、走り回ってる。
もう、乗れるようになりやがった……チッ!
俺の優位性がなくなったみたいで、悔しい。
チリンチリンッ!
「ヤッホー! ヤッホーー! ヤッホーー!」
狂ったみたいに、ヤッホー、ヤッホー言って俺の周りをグルグル回るウィズ……そんなに楽しいのか?
チリンチリンッ!
「ヤッホー! ヤッホーー! ヤッホーー!」
「な、なぁ、ウィズ? もう、良いんじゃないか?」
チリンチリンッ!
「ヤッホー! ヤッホーー! ヤッホーー!」
ちょっと、怖くなってきた……目がイってる。
チリンチリンッ!
「ヤッホー! ヤッホーー! ヤッホーー!」
「って、おい! どこ行くんだよ!」
ウィズが、自転車に乗って向こうへ走り出したので、慌てて俺は、追いかけた!
「ヤッホー! ヤッホーー! ヤッホーー!」
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「ど、どこまで、いぐんだぁーー!」
ハヒィーハヒィー言いながら、俺は、ウィズを追って必死に走る……
まさか……さっきの仕返し?
ウィズの自転車が止まった。
よ、よかった……限界だったぞ!
博人は、大の字で倒れ込む。
ハァハァ……俺が死にそうになりながら、着いたここは?
「お疲れ! あーー! 面白かった!」
ウィズが、楽しそうに言ったが……お前な! 俺が、満身創痍じゃなかったら、ボコボコにしてやるところだったぞ!
「お、お前なぁ、ハァハァ…… 早いよ!」
必死で抗議した。
「悪い悪い! 博人、家に入って、お茶でも飲んでけよ」
ぐったりしている、俺を引っ張るウィズ……やめて、もう少し寝かせてて……
「おかえりなさいませ!」
若い女の子の声?
俺は、疲れ切った体で声のする方を見
メイドッ!
可愛いメイドォーー!
「ミーナ、俺の大事な客だ、お茶の用意をしろ」
ウィズが、メイドに命令してる……
「ミーナさん、僕、町田 博人 16歳! 真面目で大人しい、ウィズ君の親友です!」
俺は、この可愛いミーナさんに、挨拶をした! 是非、親しくなりたい!
「え? あ、はぁ、ぼっちゃまの……いらっしゃいませ」
フフフ、余りにも俺が礼儀正しいので、ミーナさんを驚かせちゃったかな?
「え? 僕? 君?」
ウィズは、何時もと違う博人に戸惑う。
異世界……良いじゃない!
キャスカ程じゃないが、可愛い女の子が多い!
元気が出てきた!
「……しっかし、どんだけ……城か?」
俺は、改めてウィズの家を見上げてみるが……凄いお屋敷だ……
博人は、ミーナの事も気になるが、屋敷のデカさに圧倒されていた。
「博人! 何してんだよ? 早く行こうぜ」
ウィズが歩いていく。
「あっ、待ってよ!」
慌てて、俺は、ウィズを追った。
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「中も凄げぇなぁ、おい!」
調度品やら、廊下の作り! なんじゃこりゃ! どんだけ、あくどい事をしたら、こんな家に住めるんだ?
「ん? そうか?」
ん? そうか? じゃねぇよウィズ!
俺は、ウィズに連れられて、奴の部屋へとやってきた。
いちいち、凄いな!
俺の部屋が何個入るんだよ、ここ!
あまりの広さに俺は、何だが落ち着かないでいた……
「お茶をお持ちしました」
ミーナがお茶セットを手に、部屋の中に入ってくる。
俺は、やっぱり可愛いなと、ミーナを見て思った。
そして、ミーナが持ってきてくれたお茶は、エティゴーヤの家で飲んだのより、数倍美味しかった。
流石、金持ち、良い葉っぱをつかってるんだろうなぁ……
「そうだ、ウィズ、相談があるんだけど……」
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町田 宅ーー
「お兄ちゃん、帰ってこないね……」
キャスカが心配そうに言った。
「アイツの事だがら、腹が減ったら戻ってくるから、心配しないでもいいぞ」
平気そうな顔で言う俊夫。
「そんなの可哀想だよ! 僕は、お兄ちゃんが心配!」
キャスカは、俊夫も朱美も博人の事が、心配じゃないかのようにしているのが信じられない。
そして、同時に自分の中で、博人の存在が大きくなっていた事に気づくのだった。
博人がどこかで泣いているのではないか?
博人がお腹を空かせているのではないか?
博人がモンスターにやられているのではないか?
キャスカの胸に不安が大きくなっていく……
「ただいまーー! 母さん! ご飯まだー!」
博人がこのまま、居なくなってしまうのではないか?
そんな、不安がキャスカの
「って、帰ってきたし!」
博人の帰宅に驚くキャスカ。
「ウィズんちの馬車に乗せてもらってきたから、自転車置いてきた。 父さん、明日町まで送って! 母さん、今日の晩御飯なに?」
博人は、マイペースだった。
「な? 言っただろう?」
博人の様子を見ていた俊夫がキャスカに言った。
「なに、なに、なに? どうしたの?」
父さんとキャスカが何か話をしている!
俺の彼女候補筆頭の……いや、弟のキャスカが楽しそうにしている…… やっぱり、キャスカが一番可愛い!
俺も会話に混ぜてくれよ!
キャスカは、思った。
……こんな奴、心配して損したわ、と……
ん? 何が? なんで? キャスカに睨まれた。
いや、そんな事よりも……
可愛い子が一杯で……キャスカ、カリナ、ミーナ……俺は、誰を彼女にしたら良いのだ! 実に悩ましく難しい問題だ!
博人は、相手が自分の事をどう思っているのか気持ちを考えていない……そう、勘違い野郎なのだ。
俺は、考えた。
誰を彼女にするにしても……デートにも金がかかるし、俺自身が経済的に豊かにならないと、彼女になった女性も不安だろう……
だが!
フフフ……心配ご無用!
賢い俺は、今日、町に行った事によって経済的な問題を解決する秘策を考えつく事が出来たのだ! フフフ、それは……
全く、俺って、どこまで有能なのかしら! 怖い、自分の才能が怖いぜ!
……博人は、自己評価が高かった。
博人の秘策とは?
って事で、次回も、乞うご期待!