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第10話 町についた。

先発した、エティゴーヤを追う。

そう、俺達は町に行くのだ。

せっかく町に行くなら、俺も小遣い稼ぎ出来るかも!

 家の戸締りをすませ、父さんのオフロード四輪駆動軽自動車に、俺達家族4人が乗り込んだ。


「エティゴーヤさんの馬車を追うぞ!」

 父さんが言って、車が走りだす。

 さぁ、町へと行きますか!


 暫く走ると、直ぐにエティゴーヤの馬車に追いつく事が出来た。

 思ったより、馬車が遠くに来ていた事に驚いたが、俺達が家でゆっくりしていたせいだろう。

 エティゴーヤの話だと、町まで、もうすぐだそうだ……


 それから、3時間程、馬車の後ろを走っていると、遠くに町が見えてきた。

 うん。

 もうすぐの感覚が俺とは違うなと俺は思った。


 車を町の近くの林の中に駐車すると、エティゴーヤの馬車に移る。

 例のごとく、無用ないざこざを起こさないための処置だ。



ハーヴェストの町ーー


 やはり町だけあって、建物も街並みもこの前の村とは全然違う。

 テレビで見たヨーロッパの風景みたいだ。

 結構、興奮した。


「どうです、俊夫殿。 活気があって、良い町でしょう!」

「そうですね、エティゴーヤさん、建物も立派だ」

 エティゴーヤに答えた父さんも興奮してるみたい。


 異世界か……


「ん!」

 俺の目に、獣人って奴か? 尻尾が生えたのが二足歩行しているのを発見した!


「ほら、キャスカ! 見て! アレ、アレー!」

 キャスカの肩に手をやって、獣人を指さす!

「お兄ちゃん、指ささない方がいいよ」

 だって。

 確かに、トラブルの元だ、人を指さすのは良くないな。

 ただ、キャスカは、見慣れてるかもしんないけど……この感動を分かち合いたかっただけだったんだよ。


 

 ガタゴトと町の中を行く馬車が、小さな店の前に停車した。

 どうやら、この店がエティゴーヤの店らしい……


「ささっ! 到着しましたよ、ここが、私の店です! 馬車を置いてくるので、店の前で待っていてください!」

 エティゴーヤに言われ、俺達家族が馬車を降りると、馬車が裏手の方へと走っていった。



「母さん、大丈夫なの?」

 エティゴーヤの姿が見えなくなるのを確認して、母さんに聞いた。

 こんな小さな店で、ちゃんと買い取ってもらえるのか心配だからだ。

「そうね……思ってたより、こじんまりしてるわね……」

 母さんも不安そうだ。

「二人共、こっちで生活していく上で、金が必要になるんだし、他に伝手は無いだろう?」

 父さんに言われて、俺と母さんは諦め……

「って、父さん、日本に戻らないの?」

 俺は、日本に帰れる手段があるのに帰らない気でいるのかコイツと、父さんを見た。

「……だって、日本に戻る日付バラバラなんだろ? そしたら、ほら、かなり日付たってたりしたら、連絡入れれなくて、裏切ったと思われて殺されたら大変だろう?」

 うん、殺される危険性があるなら、やめといた方が良いね。


「ホントに、父さんて何者?!」



ガチャッ……


 店のドアが開き、中からエティゴーヤ現れる。

 裏から中に入ったのだろう。


「さぁ! 皆さん、中へどうぞ!」

 俺達は、エティゴーヤに促されて店の中へと入って行った。


 店内は、奥に広い感じで、思っていたより、広く感じる。

 設置された棚に商品が所狭しと並べられているが、俺にとって珍しいものばかりだった。


「俊夫どの、それでは、お金を用意してきますので、店内でもご覧になっててください」

 そう言って、エティゴーヤが奥へと走って行った。

 忙しい人だ。


 俺達家族が、店内を物色していると、店の奥から女の子が飲み物をもってきて、テーブルに並べているのが見えた。

 凄く綺麗な女の子だ……可愛い。

 同じくらいの歳かな?

 ……でも、キャスカの方が、可愛いかな。

 いやいやいや! キャスカは、家族! 弟……いや、妹か! そんな考えしちゃいけない!


「町田さん、お茶をいれましたから、どうぞ、ゆっくりしていってくださいね」

 女の子が俺達に言って、奥に行っちゃった。

 エティゴーヤの娘か?

 まさかな……だって、可愛かったし。


「お兄ちゃん、何見てるの?」

「あわっ! いや、ハハハ!」

 ぽけーっとしてるところ、キャスカに声をかけられて、焦った。

 いや、焦る必要などないのだが……


 あっ。


「これって……キャスカ、こっち来てごらん」

「何?」

 俺は、棚にあった髪飾りを手にすると、近くに来たキャスカに着けてあげた。


 うん! 思った通り、


「可愛いぞ、キャスカ」

 可愛いので、可愛いと正直に言ったのだが……

 キャスカの顔が真っ赤になっていく。


「な、な、何言ってるの、お、お兄ちゃん!」

 真っ赤になって言われた。

 怒ったの?!

 んー、可愛いんだけどな? 気に入らなかったのかな?

「気に入らなかった? ごめんな」

 髪飾りをキャスカから外して棚に戻すと、キャスカが寂しそうな顔をしたような……


 俺達は、店内のテーブル席に着いて、女の子が持ってきてくれたお茶を飲んでいるが……なんだ、コレ? ハーブティー? 俺には、苦手な味だった。


「お待たせいたしました!」

 エティゴーヤが、先程の女の子と一緒に表れ、手にした革袋をテーブルの上に置いた。


 ソフトボール2個くらいのサイズの革袋の中には、金貨や銀貨が沢山……あの、胡椒の小瓶で?


「キャスカ、俺達は、この金の価値が解らない、どうだ?」

 父さんが、キャスカに聞いた。

「うんと、この銀貨2枚で、父さんと宿屋に泊まって食事が出来たよ、金貨だと10泊近く泊まれるかも…… 後、こっちの銅貨1枚でパンが買えるくらいだよ」

 キャスカの話からすると……エティゴーヤが持ってきたのって、大金じゃないか!

 あの胡椒に、そんなに価値があるのか?!


 エティゴーヤは、町田家との繫がりを持ちたいので、少し色を付けたとの事だ……


「あ、あなた……」

「うん」

 母さんが、父さんに言って、カバンから、砂糖と書かれた1kgの袋を二つテーブルに置いた。


「エティゴーヤさん、これは、先程の胡椒のおまけにつけますので、どうぞ、お受け取りください」

 父さんが言った。

「これは…… 塩ですか? すいません」

 エティゴーヤが砂糖の袋の端を切って、中の白い粒を口にした……


「こっ、コレは! あ、甘い!」

 エティゴーヤが目を見開いて言った!

 そりゃ、砂糖だからね、甘いよ。


「俊夫殿、貴重な物を、おまけにって……」

「エティゴーヤさん、これは、砂糖といいます。 お菓子や料理に使えますし、昨日のすき焼きにも入ってました。

 後、塩も少しもってきたので、それもお渡しします。

 売れそうであれば、次回から買い取ってくださいね」

 父さんは、サンプルとして渡したようだ。


 まぁ、異世界ものの小説や漫画を見る限り、父さんの行動に間違いは、無いだろう。

 金の心配は、これで解決したようなもんだ。


「お茶、どうでしたか? 私の育てたハーブで作ったんですけど……」

 女の子が恥ずかしそうに聞いてきた……

 なんだか、新鮮だ! こんな女の子、女の子した子なんて……良いじゃない!


「あんな美味しいハーブティーを飲んだのは、初めてです!」

 俺は、立ち上がって、女の子に言った。

 女の子が、俺に恥ずかしがって……可愛いじゃない!


「カリナよかったな」

 エティゴーヤが女の子に言った。

 そうか、カリナかぁ。


「エティゴーヤさん、ありがとうございました。 また、今度、胡椒とかもってきますので、いつぐらいが良いですか?」

 父さんが、エティゴーヤと商談をしている間、俺は、子供同士親睦を図る上にも、カリナと仲良くなりたいので、勇気をもって話しかけていた。


「僕は、町田 博人! 16歳、性格は、大人しくて、真面目で誠実なナイスガイ。 ぜひ、カリナさんと仲良くしたいと思っています」

 俺は、正直に自己紹介した。

「フフフ、面白い人ね。  私は、カリナ。 今、 17歳だから、博人君より一つ年上ね」

 年上か! 良いじゃない!

 おっと、そうだ!

「カリナさんは、バイト? エティゴーヤは、厚かましいし、スケベそうだから、気をつけなよ」

 俺は、エティゴーヤを見て、カリナに教えてあげた。

 あの男は、顔でバイトを選ぶようなスケベな男だろうからな!

「父さんと、何かあったの?」

 ……

「ホントに、情が厚くて、最高のお父さんだよね」

 俺は、カリナのお父様を誉めた。


「そうだ! カリナさん、僕、この町が初めてだから案内してくれないかな?」

「ほんとに、大人しいの? 凄く積極的だけど? ……待ってて、父さんに聞いてくるから」

 カリナがエティゴーヤに聞きに行ってくれた。

 ……コレって、マジか?!

 初対面の男に、そんな……もしかして、俺に一目ぼれ的なアレか?!


「っと、そうだ……」

 俺は、ポケットに入れてたのを取り出した。

 売れたら、自分の小遣いに出来ると思って、部屋にあったビー玉を持ってきていたのだ。


「カリナさん!」

 俺は、エティゴーヤと話をしているカリナに言って、査定してもらうように頼んだ。



 俺と、カリナと、キャスカの子供同士で、店の外に出た。

 

「二人共、金が出来たから、遊びに行こうぜ! 奢っちゃうよ!」

 ビー玉が金貨 1枚に変わった!

 ウヒョー、俺は、金持ち、みんなに奢ってやるから、感謝しろ!


「やったー! お兄ちゃん大好き!」

「俺も、キャスカが好きだ! ……いや、兄弟だから、ハハハ」

 ヤバい、ポロっと口に出てしまった……いや、兄弟として、大好きなのに間違いない。

 何言ってんだ俺。

「フフフ、兄弟仲が良いのね」

 カリナが笑ってくれたので助かった。


「そんじゃ、あっちに行こう!」

 カリナが言って、走り出した。


「ちょっと、待って! ほら、キャスカ、行こう!」

「うん!」

 俺は、キャスカの手を握って走り出した!

 

 カリナは、町を案内してくれる。

 役場の立派な建物、雑貨屋、宿屋に、冒険者ギルドってのも!

 全てが俺にとって、新鮮で、珍しく、興奮した。

 市場を見た後、近くの屋台で買い食いしたりして、充実した時間を過ごした。

 可愛い女の子二人と一緒にこんなに楽しい時間をすごして良いのだろうか!


 俺は、今、最高に幸せだ!



 博人は、無駄遣いをして買ったお土産を沢山抱えて、幸せに浸っていた。


「なんだ、アイツ?」

 俺達が噴水の淵に座って、串に刺してある肉を食っていると、取り巻きを引き連れたチビが、歩いているのが見えた。

 チビだけど、俺とそんなに歳が違わないように見える。


「領主様の孫のウィズ様よ、博人君あんまり見ない方が良いわ」

 カリナが教えてくれた。

「ふうん」

 カリナの様子と、あの態度を見る限り……素行のよろしくない方の人種なのだろう。

 俺は、見るのを止めて、関わり合いにならないようにしようと思った。 

 

「そうだ、キャスカ、ちょっと待ってて」

 俺は、ポケットから、エティゴーヤの店で買った髪飾りを取り出して、キャスカに渡した。

「……お兄ちゃん、コレ?」

 キャスカが、髪飾りを両手で持って聞いた。

「さっき凄く似合ってたから、買ったんだ。 やるよ」

 ホントにそう思ったから買った。 それだけだ。


「……ありがとう、大事にするね」

 大事そうに髪飾りを握っているキャスカを見て、買って良かったと思った。


 ん?


 ウィズがこちらに近づいてくる……

 嫌だなぁ……

 俺は、見ないように顔を伏せたのだが……

チンピラが近づいてくる。

無用なトラブルは避けたい。

俺は、女の子と楽しく過ごしたいだけなのに……

って事で、次回も、乞うご期待!

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