ペットボトルと埃
掲載日:2019/10/12
行き先を迷わせるのは、廊下に転がる飲み残したペットボトル。
送る足を先回りしてるように待ち構えている。
燃えるような色した壁に手を添えたら、想定外の冷たさが伝わってくるだけ。
抜け落ちた日々の裏切りが蘇ってきそうで、ばれないうちに掌で圧し殺す。
息を潜めた白昼に、眩しい光は何処からともなく洩れてくる。
横たわるペットボトルが光を反射し、脚光を浴びるのは嗤う埃。
煤けた足の裏で浮かび上がりそうな怠惰の訳を踏み潰す。
次々と現れるから、もはやタップダンスの様相を呈す。
時々爪先をぶつけては、尖った痛みのお陰で退屈はしない。
敵か味方か分からない影は揺らめいて、流動する格子になっている。
踊れないくせに、もうダンスは終わり。
飲み残しのペットボトルを拾い上げ、目のつかない場所へ。
雪化粧には程遠い、積もった埃は拭き取って。
捨てられるペットボトルを退かしたら、浮かび上がるのは置き去りにされた未完成の夢の跡。




