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召喚先は魔王城!?  作者: Ryo
人間の国編
26/29

ⅡⅩⅥ「ギルドに登録しました。」

「ところで登録はこれで終わりですか?」

「ああああと、登録証を発行いたしますので、しょ、少々お待ち願いますでしょうか!」


 相変わらずアワアワしながらも、私が書いた紙を持ってギルドの裏手へ駆けて行った。

 小動物、可愛い。

 微笑ましく思いながら、ジェスさんを待つ間に周囲を見渡してみる。

 意外と男女比率は同じくらいなんだなぁ。危険な仕事だろうし、男の人が多そうだと思ったんだけど。

 剣以外にも名前のよく分からない武器がたくさん。いかにも魔法師といったローブを着ている人も何人かいるな。

 私くらいの年齢の子もいれば、50代くらいに見える人もいる。

 まぁ、冒険者に年齢制限とかないだろうし、戦えれば現役か。


「おおおお待たせいたしましたでございます!」


 裏に下がっていたジェスさんが、手に一枚のカードを持って戻ってきた。色は初心者の白。


「ではっ、こちらをどうぞ! 失くした場合は、も、もう一度費用を払っていただければ!」

「はーい。じゃあ、こちらが登録費用で」

「ははははいっ、確かにお受け取りいたしましたでございます!」


 初期費用である銀貨3枚をジェスさんに手渡し、カードを受け取る。

 カードには名前と役職である魔法師、そして登録日が書かれていた。


「いいいい依頼をこなしていきますと、ランクが上がっていきますっ! 受けられる依頼にもランク制限がございますので、登録ランクの一つ上までの依頼は受けられます! 依頼ランクは登録証と同じ色で区分けされておりますです!」

「なるほど。じゃあ、私は緑までは受けられるんですね」

「そうでございますっ」

「今日からでも受けられるんですか?」

「それは、だ、大丈夫でございますが……その、そそそ装備などは……?」


 私の服装は普段の服の上からフード付きコートを着ただけ。荷物も小さな鞄のみ。

 魔法師といえど、接近された場合を想定して短剣を所持したり、補助のための魔道具を持っているものらしい(宮廷魔法師談)。


「あー、私はいつもこのスタイルなので、お気になさらず」

「そそそそうでございますかっ。では、あちらが依頼板となりますので、お受けになるいいい依頼書をお持ちくださいませです!」


 ジェスさんの指差す方には、大きな木板にハガキサイズの紙が何枚も重ねるほど貼られている。

 色の割合は冒険者として一人前とされる青が多いかな。それより少ないのが緑、白、紫は数える程しか見えない。

 一流とされる赤は貼り出されることは基本的になくて、ギルドから個人指名で依頼されたりするらしい。

 依頼板の前には少ないくない人集りができていて、ジェスさんに断ってからそれに混ざった。

 うーん、みんな体格がよろしくて……。


「ちょっと失礼しますよ、っと」


 ヒョイヒョイと人混みを縫って、人垣の前まで出る。そして適当に緑色の紙を数枚ひっぺがした。


「ふぅ。取れたのは4枚か」


 中身を確認すると、どれも魔物の討伐依頼だった。

 魔兎(まと)が10体、魔犬(まけん)魔狼(まろう)よりも小柄、力は弱いが動きが更に素早い)が8体、魔猫(まびょう)(尻尾が3本の猫、小規模の幻覚魔法が得意)が5体、魔鼠(まそ)(猫並みのサイズ、そして主食が猫)が20体。

 どれも人の住む土地に発生しやすい魔物だ。元の動物が小柄な分、魔物になってもそれほどの脅威ではないね。

 ここに来るまでにも何体か倒してきたけど、魔狼とかに比べれば確かに(かけだし)にはちょうど良い。


「ジェスさん、とりあえずこの4枚受けるね」

「ふぇぇ⁉︎ さ、最初からままま魔物討伐でございますか⁉︎」

「駄目ですかね」

「ききき規則的には問題ございませんが、最初は、け、経験者についてもらったり、白の雑用などをされたりっ」

「あぁ、なるほど。大丈夫、私は魔物討伐は経験あるので」

「そ、そうなんですか……?」


 おおう、ウルウルした瞳で見上げてくるジェスさん、小動物感が増して可愛い。

 思わず手を伸ばして頭を撫でた。


「ふぇぇぇ⁉︎」

「ジェスさん可愛いなぁ」

「か、か、か、かわいぃ……⁉︎」


 恥ずかしそうに照れてる姿はとても庇護欲がそそるものです。


「それで依頼は受けられるんですか?」

「ふぁぁぁ…………はっ! だだだ大丈夫でございますですはいっ!」


 我に返ったジェスさんによって、依頼書に受諾の印が押された。

 あとは魔物退治を終えたら、その横に満了の印が押されて依頼達成になる。


「と、討伐依頼は必要となる魔物の部位が必要となりますので、おおおお忘れのないようにお願いしますです!」

「了解です。じゃあ、行ってきますね」




「ただいまー、ジェスさん」

「ふぇぇぇぇえええ⁉︎」


 討伐を終えてギルドの受付に討伐対象の部位の入った袋を置くと、ジェスさんがひどく驚いた声をあげた。

 何事かとギルド内から視線が集まるが、ジェスさんはそれどころではないようで。


「だだだだって、いいい今さっき、ふぇ⁉︎」

「あはは、今さっきって、依頼を受けてから1時間も経ってますよー」

「いいい1時間しか経ってないんですぅぅぅ!」

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