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第八話 異能の中の異能

「そういえばこの国っていうことは他にも国があるって事か?」


「そうね。近いとこだとホウライ。タカマガハラと親密な国だとコンロンやオリュンポスなんてとこがあるわね」


「なんか漫画や小説に出てきそうな名前だな」


「言ったじゃない。神話に出てくる神様とか、世界のあちこちに残ってる救世主の伝説っていうのはここの人達の祖先のことだって。だからそういう小説に出てくるような国の名前もあるのよ」


「ふーん。で、そのコンロンとかオリュンポスとかもカードを使ってカムイって力を操るのか?」


「ううん。それらの国はカムイの力を宝貝(ぱおぺい)や神器に封印しといて必要に応じて解放するっていう使い方をしてるわね。だから汎用性自体はこの国のカムイの使い方のが高いのよ。代わりにカムイの才能が無い人が使いこなすこともできるっていうのはあるけれど」


「へー……そんな便利なものもあるんだな。ほんと小説の中の世界みたいな場所なんだな」


「まぁねぇ……私も宝貝を一個持ってるけどね」


「ほー……どんな宝貝なんだ?」


「それは……」


「それは?」


「秘密だよーん」



桜花先生はそう言って俺の頭を撫でまわす。

なんだよ、余計気になるじゃんか……。

でもこのクソ意地の悪い教師の事だからしつこく聞いても教えちゃくれないんだろうな。


「で。とりあえず質問はそれ位?」


「そうだなぁ……まぁ大体わかったかな」



とりあえずの目標はこの世界の言語を覚えないことには話にならないって事か。

カムイの才能があるかどうかは家系によるらしいから今は考えないようにしておこう。

それは高校生になってから考えることにしよう。

うん。



「ああそういえば、刹奏(せつか)ちゃんや陽依(ひより)ちゃんの特別な力についても説明しておいた方が良いわね。刹奏ちゃん、陽依ちゃんこっちおいでー」


「は?特別な力ってなんだ?カムイって高校生からじゃないのか?」



そんな問いかけを他所に「はーい、せんせー」と言って刹奏とひよりが駆け寄ってくる。



「刹奏ちゃん。いつものわんわん描いてくれるかな?」


「ん?いいよー。ちょっと待っててね」



そう言って刹奏はスケッチブックにペンを走らせて犬のようなものを描く。

そして。



「いでよ、わんわん!」



刹奏がそう告げると犬のような何かがスケッチブックから飛び出して俺達の周囲を駆け回り始めた。



「……おい桜花先生……。これって……」


「はい、よくできました。それじゃ今度は陽依ちゃんの番ね」



俺の問いかけを無視して今度はひよりにそう告げる桜花先生。



「ひよりおねーちゃん、おなかすいたー……」



刹奏はおなかを抑えてひよりにそう懇願する。



「しょうがないわねー……」



ひよりはそんな刹奏の様子を見てかぶりを振ってその辺に置いてあったコップを持ちこう告げた。



「そたるげんしょのすいれいよ、はせきたれ。すいこ!」



たどたどしい呪文?のようなものを告げるとひよりの手の平が青く輝きコップの中に水が注がれていく。



「ほら、このみずでものみなさい」


「わーい、ありがとう、ひよりおねーちゃん」



刹奏は嬉しそうにひよりからコップを受け取り水を飲み干す。



「ひよりおねーちゃんのおみず、おいしいー」



え”……なんなのコイツら。

マジでなんなのコイツら。

カムイ使えるのって高校生からじゃなかったのか?

まだ五歳とか六歳だろこいつら?



「この子たちはね、この世界でも特別な存在。俗に言う神童ってやつね」


「これもカムイの力ってやつなのか?」


「うーん……陽依ちゃんのは似てるようでちょっと違うわね。本来カムイはカムイの使用登録を行ったカードが無いと使えないはずなのよ。さっき私がやって見せたようにね。けれど陽依(ひより)ちゃんはカードを持っていないにも関わらず何故か呪言を唱えることで使用することができる。前代未聞の神童だってタカマガハラでは超有名よ。流石タカマガハラ2位と3位の娘だって」


「へー……って2位と3位の娘なのかよ!!」


「そう。おとうさんが2位でおかあさんが3位」



はぁ……そりゃ結構なサラブレッド様で。

神童様も生まれるわな。



「じゃあ刹奏(せつか)のやつもそうなのか?」


刹奏(せつか)ちゃんの力はカムイとはまったく違う力。刹奏(せつか)ちゃんのパパ……奏さんが天の神様から授かった力らしいわよ。でもその力を使うと反動でお腹が空いちゃうっていうちょっと困った力なんだけどね」


「天の神?ああ……なんかよく分からん威圧感のあるジジイか」


「そういえば、あなたも転生したんだったね。じゃあ何か特殊な力でも授かったの?」


「いいや。それがまったくもってさっぱり」


「それはそれは……。この先苦労しそうだね、キミ」



桜花先生は刹奏とひよりの頭を撫でながらそうほくそ笑むのだった。


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