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第六十七話 私が私であるために

私、テナ=オオヒルメはどうやら恋をしてしまったらしい。

それもただの人間の男に。

その人は優しくて、私と姉様達の為に命を懸けてくれた。

これで落ちない方がどうかしている。


でも彼には幼少の頃、婚約を誓い合った仲の方がいるらしい。

それはサクラ姉様だ。

幼馴染とぽっとでの初対面最悪の女の子。

どっちに分があるかというと、言わずもがなですよね。


これでは彼はサクラ姉様にとられてしまう。

それはいやだ。

だから私は実行に移すことにした。

彼の気を引くために。

彼の唯一無二の存在になるために。


私は彼にちょっかいをかけ続ける。

サクラ姉様の事を忘れさせてやるくらいに。

サクラ姉様は一途な人だからちょっとやそっとじゃ諦めないだろう。

でも私は絶対に彼を振り向かせて見せようと思う。


このテナ=オオヒルメの名にかけて。



「やっほー、テナちゃん元気?」


「アカリ先生……」



私の部屋に一人の女性がやってくる。

燃えるような赤髪のポニテの女性。

アカリ=マスミダ先生。

私に色々な情報を提供してくれる貴重な存在だ。


彼の幼少の頃のことや、これまでの事は全て彼女から入手済みだ。

何故なら彼女は千里眼という便利な宝貝(ぱおぺい)をもっているからだ。

彼女に聞けば大抵の情報を得ることができる。

それがどんなに入手困難な情報であっても。



「それで今日はどんな情報が知りたいのかなー?」


「それは始さんのこと全てです」


「おーおー。焼けちゃうねぇ。でも正直先生はお勧めしないけどなー。あいつ中身おっさんだよ?」


「いいんです。そういう所も含めて……好き……ですから」


「やれやれ。テラスちゃんが聞いたら卒倒しちゃいそうだね、まったく」


「お母様は関係ありません!」


「はいはい。恋は盲目って言うけど、ほんとそうだねぇ」



そういうアカリ先生だってどうだったんだと私は思う。

日本人の桜花さんとかけおちまがいなことしたくせに。

声を大にしてそう言いたいけど機嫌を損ねられても困るので口をつぐむ。


そして今日も私は彼の事をアカリ先生から教えてもらう。

サクラ姉様に負けないように。

彼との時間を埋めていくように。


私は、絶対にサクラ姉様に負けたりなんかしない。

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