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第五話 高千穂学園初等部

学園に辿り着くと門の前には二人の子供を連れた緑色の髪をしたあどけなさの残る女性が立っていた。



「あ、ひよりおねーちゃんとサクラちゃんだ。ひよりおねーちゃんー。サクラちゃんー」



手を振りながら刹奏(せつか)は走り出す。



「こら、刹奏(せつか)!急に走り出さないの!」



刹奏(せつか)の様子を見て慌てて刹那は注意する。

が、聞く耳を持たず刹奏(せつか)は二人の少女たちの元へと駆けだしていった。

二人の少女の元に辿り着いた刹奏(せつか)は満面の笑みを浮かべながら何やら話をしている。



「しょうがない子ですね、本当に……」



ため息をつきながらも刹那は微笑んでいた。



「おはようございます、刹那さん」



楽しそうにおしゃべりをしている三人の子供を置いて緑髪の女性が声をかけてきた。



「おはようございます、サクヤさん。今日もいいお天気ですね」


「そうですねぇ。それはそうと、そちらのお子さんが噂の(はじめ)さんですか?」



噂のってなんだよ、噂のって。

そう思いながらも俺は、無難に「春日野(かすがの)(はじめ)です、よろしくお願いします」

と返事をする。

どんな噂が出回っているのやら……。



「私は、サクヤ=アサマと申します。刹那さんの部屋のお隣に住んでいるのでこれからもたびたび顔を合わせることがあると思いますので、よろしくお願いしますね」



言いながら優雅に俺に対して礼をする。

なんかめっちゃお嬢様育ちっぽいな、この人。

今の日本ではめったに見られない深窓の令嬢って感じだ。



「いえいえ、それ程でもないのですよ、始さん」


「え……あれ?俺、口に出してましたか?」


「さぁ……どうでしょうね?」



そう言っていたずらっぽい笑顔で微笑むサクヤさん。

……なんていうか、不思議な魅力がある人だな……この人。

俺が三十の体だったら猛烈にアタックしていたかもしれないな、うん。



「ひよりちゃん、サクラちゃん。ちょっとこっちにいらっしゃい」


「「はーい」」



サクヤさんの呼び声で刹奏(せつか)と話をしていた少女が刹奏(せつか)と共にこちらにやってくる。



「それじゃ二人共、始さんに自己紹介しなさい」


「はい、サクヤさん。えっとわたしはきりしまひより。あなたよりひとつとしうえよ」



少し茶髪の入った背丈が高い気の強そうな少女が自己紹介をする。



「……わたくしはきりしまサクラです。せつかちゃんやはじめさんとおないどしです」



続いて緑髪のサクヤさんに似たおっとりした少女が自己紹介。



二人共きりしまって言うからには姉妹なんだろうな。

それにしちゃ全然似てないけれど。

サクラはサクヤさんにそっくりだけどひよりはサクヤさんとは似ても似つかない。



「……それはひよりおねえさまのおかあさまはつくよさんだから。でもおとうさまは同じひはなさん」



サクラはぼそりと俺の疑問に答えてくれる。



「……なんか複雑な家庭環境みたいだな」



てか、俺、また声に出してたか?

んー……声に出さないように気を付けよう、うん。



「ちょっとあんた」


「ん?」



今度はひよりに声をかけられた。



「サクラにてをだしたらころすから」


「……」



いきなり物騒なこと言いだすガキだな、おい。

殺すってなんだよ、殺すって。



「心配しなくても幼児に手なんか出さねーよ、ばーか」


「な……ばかですってー……」



俺の言葉にむきになってくいさがってくるひより。

そんな風に自己紹介をしていると。



「おはよーーー、みんなーーー」



赤い髪をポニーテールでまとめた女の子と小柄なツインテールの女性が手を振りながらやって来た。



「おはようございます、先生、灯花(とうか)ちゃん」


「おうかせんせー、とうかちゃんおはよー」


「始さん。この人が初等部の日本語学級の先生の桜花(おうか)さんです」



やって来た女性の紹介を刹那さんがしてくれる。



「私の名前は野口(のぐち)桜花(おうか)。桜に花で桜花(おうか)ね。よろしくねー」



言いながら桜花(おうか)先生は俺の手を掴み握手をする。

何かめっちゃテンション高いなこの先生。

というか先生っていうかまだ女子高生とかそんくらいの歳に見えるんだけどこの人。



「……よろしくお願いします」



俺は桜花(おうか)先生のテンションに気圧されてちょっと引き気味になってしまう。



「んー元気ないなー。まぁ中身がオッサンじゃしょうがないか」


「オッサンっていうな!てか、先生のくせに口が悪いな!」


「だって私、正確には教師じゃないしねー」


「はぁ?教師じゃないってどういうことだよ、いったい」


「私のお仕事はあなたみたいな日本人の子供にこっちの世界の言葉を教えたり、こっちの世界の子供に日本語を教えるのが仕事なの。ユズキ先輩に会ったでしょ?私はユズキ先輩の直属の部下なのよ」



言いながらあまり高くない背を伸ばして精一杯に胸を張る桜花先生。



「ふーん。なんかようわからんがわかった」


「あー、それと」



何か言い忘れたのか俺の耳の傍に桜花先生は顔を寄せてくる。



「私の娘のかわいいかわいい灯花(とうか)ちゃんに手を出したらマジ殺すから」



耳元で思いっきり殺意のこもった声でそう呟かれた。

恐る恐る視線を移すと目がマジだ。

手を出したらこれはマジで殺される。



「……教師なのに教え子を殺すとか言うなよ……」



ただですら日本じゃそれが社会問題になってるっていうのにな。

俺はため息をつきながらそうぼやく。



「残念ー。ここは日本じゃありませーん。タカマガハラにはタカマガハラの法律があるのよ!!」


「……日本の法とタカマガハラの法律はそんなに変わらないはずですが……」


「サクヤちゃん、シーッ!!!」


「はぁ……別に五歳児に興味ねーから心配いらねえよ、桜花先生」


「はぁあああああ?なにそれ、私の灯花ちゃんに魅力がないってあんたみる目ないわねぇ。ほんとないわー。マジデないわー」



俺の言葉を聞いて桜花先生の目は完全に座っている。

いったいどないせいっちゅうねん。

だめだ、このアホ教師。

完全な親バカだ。

いいかげんこのやりとりに疲れてきたので、助けを求めるように刹那さんの袖を引っ張る。



「まぁまぁ、桜花先生、もうそろそろお時間ですし、もうこの辺にして。ね」


「むう……このクソガキオヤジ、いつか絞める」



完全に教師が五歳児の前で言って良い言葉じゃないよな、それ!!

他の幼児達が完全に置いてけぼり食らってるぞ、おい。

こんな調子じゃ俺の学園生活はとんでもない日々になりそうだ……。

はぁ……めんどくせーーーーーーーーー!!!


ゾンサガにハマり過ぎたおかげで続きを書くのに4カ月を要しました(あ

……おかげで夏コミの入稿はできそうです。受かってれば。

これからは毎週少しずつでもあげていこうと思いますのでお付き合いいただければ(何回目だ

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