表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/69

第四十九話 もう一人の娘

私、霧島(きりしま)陽花(ひはな)皇照宮(こうしょうきゅう)……つまりこの国の中心地へとやって来ていた。

理由は二つ。

一つはテナ=オオヒルメが本当に私の娘なのかという事を確認する為。

もう一つは、彼女が復讐に駆られるその訳を知るためだ。


いつもの定期連絡用のカードを見せ中へと入る。

謁見室には不機嫌そうな顔をしたテラスちゃんが鎮座していた。

その脇には申し訳なさそうな顔をしたキクリ先生がつきしたがっている。



「今日は定期連絡の日じゃないぞ。陽花よ」


「そうですね」


「はぁ……まぁおまえがここに来た理由は分かっている。……テナは私とお前の娘だよ」


「……そう……ですか」



何となくそんな気はしていたけどやっぱりそうなのか。

陽依以上の呪言の使い手なのだとしたらそうなるか。



「でも私はテラスちゃんと子作りした記憶なんてないんだけど」


「それは記憶を操作させていただきました」



傍に控えていたキクリ先生が申し訳なさそうな声音でそう答える。



「……カムイや機械の記憶操作って一時的にしか効果ないんじゃなかったでしたっけ」


「禁忌のカムイというものがあるんだよ。それを使わせてもらった」


「はぁ……そうですか……」



はー……そうかぁ……。

私はテラスちゃんとも関係を持っちゃってたのか。

あーーーーー!

そんな記憶を失くすなんてなんてもったいない。

一生の不覚っ!!

……なんて言ってたら月依(つくよ)やサクヤちゃんに何て言われるか分かったもんじゃないかな。

はぁ……でもそんな記憶を失くすなんてもったいない、本当に。



「陽花、おまえなんでそんな残念そうな顔をしてるんだ」


「いや、だってテラスちゃんみたいな超可愛い子と関係持ててたのに忘れちゃうなんてと」


「……おまえは本当に変わらないな」



くっくっくとテラスちゃんは笑いを一生懸命に堪えている。

キクリ先生もやれやれとため息をついている。



「でも何でこの事を秘密にしなければならなかったんですか?」


「私は仮にもこの国の皇女だ。対してお前は日本人だ。つまりはそういう事だよ」


「はぁ……」



どういう意味だろう。

よく分からない。



「お前は本当に理解力が無いな」


「いやーだって、そんな成績良い方でもないですし。カムイの才能がたまたま有るだけなんで」


「はぁ……。まぁ良い。キクリ説明してやれ」


「はい。テラス様の地位については以前の反乱未遂のことも有って非常に不安定なものです。ですから他国から婿を取るという話も出ていたくらいなのです。しかし、テラス様は首を縦に振ることはなかった」


「そうだったんですね……」


「それは何故だか分かりますか?」


「……私が好きだったから、ですか?」



流石にここまで言われれば頭が悪い自分でもそれぐらいは分かる。



「そう。テラス様にとってあなたは特別な人なんですよ、陽花ちゃん」


「それは……ありがたいことですね」



本当にそれはありがたいことだ。

だってテラスちゃんは私にとっても大切な人の一人なのだから。



「しかし他国から婿を取ることを断って、ただの日本人の……しかも女性を婿にとったという話を広める訳にはまいりませんでした。ですから、これは秘密裏に行われることになったのです」


「そう……ですか……」


「すまなかったな、陽花よ。黙っていて」


「ううん。でも記憶を消されたって言っても消される前の私はちゃんと承諾したんですよね」


「あああ。それはもうノリノリで快諾してくれたぞ」



……まぁそうだろうなぁ。

きっと今、テラスちゃんにそういう誘いを受けたらきっとノリノリで快諾するに違いないし。

月依やサクヤちゃんにバレたら比喩抜きで半殺しにされそうだけれども。



「まぁ……大体は分かりました。それじゃ、もう一つの質問です」



一息ついて私はこの質問を口にする。



「何故、テナ姫は復讐に駆られているのかという事です」



私の言葉を最後に沈黙が流れる。



「……テナは過保護に育て過ぎた」


「はぁ……」


「なんだ、その気の抜けた返事は」


「えっと……それだけなのかなと」


「……恐らく父恋しさの嫉妬であろうな」



うーん……。

父恋しさかぁ……。



「それなら私がテナ姫に優しくすれば良いだけの話では」


「そう簡単にいかぬのがあの年頃の難しさなのだよ」


「あのー……昨日、私の娘達がテナ姫に殺されかけたんですけども」


「話はアカリから聞いておるよ。まぁ……私からも言い聞かせるから我慢してくれ」


「そうは言われましてもねぇ……」


「私もその事は頭を痛めておるのだ。だからしばらくは見守ってくれないか、陽花よ」


「はぁ……」



私はただただそう返すことしかできなかった。


――――



「とまぁ、こんな話をしてきたんだけど」



家に帰り月依とサクヤちゃんに話してきたままを説明する。



「ふーん……ふーん……。テナ姫はやっっっぱり、お姉ちゃんの娘だったんだね……」


「はぁ……本当にしょうがない人ですね……」



二人は怒気の混じった声音でボソリと呟く。

え、そこなの?

怒るポイントそこなの?



「いや、だって私、記憶にないんだけど」


「でも記憶を消される前はノリノリだったんでしょう?」


「……ハイ……たぶんその通りです……」



月依の言葉に私は身を縮こまらせるしかなった。



「はぁ……つくっちゃたものはしょうがないから、お姉ちゃんは責任とってよね」


「うーん……そういわれても……」


「昨日、陽依(ひより)がボロボロにされたの見たでしょっ!!」


「はい……わかりました……」



しかしそう言われてもなぁ……。

私はどうすれば良いんだろう。

私がテナ姫にできる事って何だろう……。

うーん……むずかしい。



楽しんでいただけてれば幸いです。

ブクマありがとうございますっ。

ご感想・評価などもありましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ