第四十三話 時は流れて
あれから7年の月日が流れた。
俺達は日本でいうところの高校生になりカムイの勉強を始めることになった。
心配はしていたが一応俺にもカムイを使える才はあったらしい。
よかったよかった。
学園での日々は至って順調。
陽依は同級生との付き合いが忙しいらしく、登下校時くらいにしか一緒にいることは無くなった。
陽依の話によると何人か陽依に告白しては「私に勝てたら付き合ってあげる」との言葉を受けて勝負を挑み返り討ちにあったとかなんとか。
中にはかなりのカムイを使える高校生もいたらしいのだが難なく返り討ちにしてさしあげたそうだ。
アカリ先生の話では陽依の扱う呪言は普通に使うカムイよりも数段上の威力を誇るらしい。
そんな彼女に付いたあだ名は『麗しの爆裂少女』。
陽依曰く、「本当に心外だわ」ということらしいが彼女の端正な外見と性格の破天荒さを見事に表している言葉だと、俺は思う。
サクラは姉の陽依とは違い清楚に育ち、こちらも男子女子問わずに人気が高い。
しかし登下校時は常に陽依が目を光らせているし、昼休みは俺達、元高千穂学園組で食事をとっているので他の連中は殆ど声をかける隙も無い。
下駄箱に恋文などが入っていることも有るようだが、丁寧に返礼をして断っているらしい。
律義なもんだ。
刹奏はノノムー先生と薙の英才教育のおかげか絵の腕がますます上達し、その能力を存分に生かせるようになってきた。
しかし絵を実物に具現化した際にお腹が減るのは相変わらずらしく、携帯食を常備しておかなければいけないという難儀な能力ではあるのだけれど。
時々気分が悪いと言って保健室通いなのが気になるところではあるのが気にかかるところではある。
そして何より問題なのは彼女には全くカムイを使う才が無いという事だ。
さすがにこの事実には刹奏は凹んでいた。
灯花は学園ではお嬢様言葉を使い、学園外ではフランクに話すようになった。
アカリ先生という目の上のたん瘤を非常にうざったそうに扱っているが、まぁ親子仲は悪くないんだろう。
刹奏との仲は至って良好。
お互いの家でお泊り会をするくらい仲が進展しているらしい。
その辺は俺の知る由もないのでこれ以上は追及はしないけれど。
ヒルノは少女のような顔立ちも尚更磨きがかかり、男だと知ってないと女の子だと思ってしまうくらいだ。
そして相変わらず俺の事が好きらしい。
俺の教室に来てはそんなことを言って、フシミが何故か不機嫌になり、教室の皆から陰でこそこそヒソヒソ話をされるのがもはや恒例となっていた。
まったく、困ったやつだなと思う。
薙はというと、あれ以来落ち着いたのか、ヒルノの様にアプローチはしてこなくなった。
好きな奴が他にでもできたんだろうか?
まぁそれならそれで別に良いんだが。
成績は常にトップで満点。
薙の父親以来の秀才だともてはやされている。
のでテスト前は勉強会をやってもらうのも恒例と化している。
最後に俺についてだ。
低かった背も永久よりも大きくなった。
この七年で、永久に剣術を叩きこまれ十本中、一本くらいはとれるようになってきた。
しかし本気の永久にはやはり勝てる気は全くしない。
天地神明刀の力も相変わらずカムイの力を無効化するという能力のみ。
まぁそれだけでもこの国の住人にとっては脅威なのだろうが。
今の俺なら、陽依の天地開闢もある程度防ぎきることはできるのかもしれないが失敗したら即、死に繋がるようなことは試したくない。
この七年の事はこんなところだ。
これにて第一章完結です。
次回から第二章高校生編の開幕です。
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