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第三十八話 それから。

高千穂学園初等部での毎日はあっという間に過ぎさり、俺達は天御中(あめのみなか)学園へと転入した。

陽依(ひより)は一つ上の学年に転入し、俺達もクラスは皆バラバラ。

おかげで俺の事を中身がオッサンだという事を知っている奴はいないと思っていたのだが……。



「こんにちは、春日野君」


「ああ……こんにちわだ。えっと……フシミだっけか?」



声をかけてきたのは小麦色の髪を尻尾の様に垂らした落ち着いた様相の少女。

確か学級委員長だったはずだ。



「そう。カコ=フシミ。記憶力は良いのね」


「まぁな。それが円滑な人付き合いのコツだからな」


「ふーん。中身がオッサンっていうのは嘘じゃないみたいね」


「……どこでそれを知ったんだ」


「あら?ヒルノから聞いてなかった?私はヒルノの双子の妹よ」


「……今初めて知ったわ。てか双子の割に全然似てないのな」



しかもこっちは関西弁じゃないし。

苗字も違うのはどういうことだ?



「そうね。わたしはママに似たのよ。ヒルノはパパにそっくりなの」


「そうか。まぁヒルノの妹なら仲良くしてくれよな」


「はぁ?なんで仲良くしなくちゃなんないのよ?」



心外だとばかりに嫌そうな顔をするフシミ。



「じゃあお前は何のために俺に声をかけてきたんだよ」


「噂どおり中身がおっさんなのか確認する為よ」


「はぁ……そうですか」


「それじゃあね、春日野君」



つっけんどんに言い放ちひらひらと手を振って去って行くフシミ。

なんつうか……ヒルノはあんなにフレンドリーなのに妹の方はお堅い奴だなぁ。

双子でこんなに性格違うもんかね……。

まぁいいか。

学食に早く向かおう。


天御中(あめのみなか)学園は小中高一貫教育だ。

俺達みたいな小学生から高校生まで様々な人が集まっている。

数年前は高校だけだったらしいが、教育方針の変化から小中高一貫教育となったらしい。



「始お兄ちゃん、こっちこっちー」



学食にやってくると刹奏(せつか)の声が聞こえてきた。

どういう心境の変化なのか刹奏(せつか)からの呼び方はいつの間にか『始ちゃん』から『始お兄ちゃん』へと変わっていた。

まぁ別に良いんだけど。

テーブルには刹奏の他に灯花(とうか)、薙、ヒルノ、サクラが卓を囲んでいる。

陽依(ひより)は同じ学年の友達が出来たらしく最近は学園内であまり顔を合わせることは無くなった。

おかげで俺は学園内で追いかけまわされることも無くなって良かったのだけれども。



「今日はおそかったなー、はっつん」


「お前の妹に絡まれてたんだよ」


「あー……カコのやつかぁ……。そういや同じクラスやったな」



ヒルノは気まずそうな顔で指で頬を掻く。



「てか、双子なのにフシミと仲悪いのか?ヒルノ」


「んー……仲は悪いわけやないんやで。ただおかんの教育方針でなぁ……。カコはおかんとこで暮らしとるし」


「へー……そうなのか」



どうりで生田亭(いくたてい)で見た事が無いはずだ。



「気難しい奴やけど、なかようしたってや」


「……まぁ努力はする」


「それはともかく始お兄ちゃん、早くしないと昼休み終わっちゃうよ?」


「おう。皆は先に食ってて良いぞ。ていうか食ってるか」



刹奏の言葉に俺は慌ててレジへと向かう。

レジに並びながら店員の格好をマジマジと観察する。

相変わらず変な学食だよなぁ……。

何でうさみみメイドが制服なんだこの学食。

カフェ神楽耶(かぐや)って言う名前だからうさ耳なんだろうか。

そうだとしたら安直すぎるだろうと思うのだけれども。


パンケーキセットを買って刹奏達の席に戻ってくると、俺が座るべき席が無くなっていた。

というかその席には燃えるような赤毛の女性が座っていた。



「灯花ちゃんと仲良くしてあげてね、皆」


「パパ……恥ずかしいからやめてください。それにそこは始君の席ですから」


「もー、そんな風にないがしろにされちゃうとパパ悲しいぞ?それに中身がおっさんのガキの事なんて気にしなくても良いの良いの」


「……よくねえよっ!」



俺は赤毛の髪の女性の頭の頂点を手ではたく。



「いったーーーー。何すんのよっ!教師に暴力をはたらくなんて、退学よ、退学!!」



なんだ、この人教師だったのか。

まぁいいか、別に。



「あんたが始ね。ふーん……。なんかパッとしないやつねぇ……」



立ち上がり俺の顔をマジマジと観察する女教師。



「で、この人、誰」


「私?私はアカリ=マスミダ。灯花ちゃんのパパにしてこの学園の教師よっ!!」


「はぁ……そうですか」



なんというかどっかのアホ教師のノリを思い起こさせるな。

というか、この人もアホ教師そのものなんだけど。



「とりあえずそこどいてくれませんかね、アホ教師」


「あーっ!アホって言った!桜花にもそんなこと言ってたって聞いてたけど、アホって言ったーー!生意気なオッサンだね、本当にっ!!」


「……少なくともお前よりは長生きしてるからな?」


「むー……ああいえば、こういうっ!桜花に変わってお仕置きしてやるよっ!!」


「教師が生徒に手を出すのは倫理的にどうなんでしょうかね、先生」


「そんなの関係ありませんー。何故ならあなたの中身はオッサンだからですー」



めちゃくちゃな論理だな、おい。

その論理、桜花先生を思い起こさせるぞ。



「パパ。いい加減にしてください。用が済んだんならさっさとあっちに行ってください!でないとグレる」


「ええええ。それは困るっ。じゃあそれじゃ私はこれで失礼するよっ!!またね、皆」



そう言って席を乗り越えスタタタと駆けていくアカリ先生。



「もう二度と来るんじゃねえぞ」


「オッサンは一回絞めてやるから忘れないようにねっ!!」



俺の声が聞こえてたのかアカリ先生は物騒な返事をしてくる。

……やれやれ。

アホ教師が去ったと思ったらまたアホ教師か。

何なの俺の人生。


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