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妹と召喚されました!  作者: 雄也
過去編
78/78

ある世界で…

多々ある世界が存在している。

ある世界は、多種多様の種族が武力戦争が広がり真っ赤に染まる世界。

ある世界は、一つの種族だけが生き残り、生活している世界。

ある世界は、科学が発展し、自然がなく機会だらけの世界。

ある世界は、緑が輝き、海、空気は澄み渡る世界。


1つ1つの世界は、それぞれ違っていた。

そんな世界を管理するのが、世界を管理し、均衡を保つ神といわれる存在だ。


1神1世界管理を行っている。

神がいる数だけ世界は存在する。

管理する神が世界の歪みを見つけると、ある白紙の本に世界の未来を記し、人を世界を操作する。


ただし、神々がその世界の人々に接触するのはタブーとされていた。

管理する神と管理される人では、神々の間でも確執があった。


そんな神々の世界にある女の神は生きていた。


「神サーリアよ、またあの世界に行っていたようだな」


広い部屋の一室にある椅子に腰かけながら、年老いた神が難しい顔をしながら言ってくる。

年老いた神は、神々を統括する長、神ダミニアだ。


そして、その神が見つめる先には銀髪の神を伸ばした幼い顔立ちの女の神、サーリアがいる。


「あの世界は私が管理してる世界よ。私がどのように干渉しようが私の勝手じゃない」


サーリアの言葉を聞き、ダミニアはため息をつく。


「確かにあの世界はお主の管理下である。だがな、人と我ら神では存在が違うんだよ」


「存在が違う?そんなことないよ。人と話してたら分るよ。人はね皆優しくてね、温もりがあってね…」


「もしやお主…あの男とまだ会ってるんじゃないだろうな?」


ダミニアがいうあの男とは、サーリアが管理している世界に生きる佐伯 優斗という人間の男だった。


サーリアは管理している世界の生き物たちすべてを愛し、愛故に管理世界に降りてはその世界に住む生き物達と絆を育んでいた。

人を愛するサーリアを嫌うものはおらず、サーリアは管理世界でも愛されていた。


そして、サーリアは管理世界で人と接する中で、一人の男性に恋をした。

世界の人々を愛する愛とはもっと別の特別な感情を人間に抱いた。

その男が、佐伯優斗だった。


サーリアは迷うことなく優斗に毎日のように会いに行き、アプローチを続けた結果見事恋を実らせた。


それからのサーリアと優斗は愛を育み毎日幸せに過ごしていた。


管理世界では皆がサーリアと優斗を祝福した。

そして、婚姻の儀を行い2人は夫婦となった。

婚姻の儀を行った日は、皆がお祭り騒ぎで飲んで騒いで祝って。


ただ、それはサーリアが管理する世界でのことだけだった。


神々は、サーリアが人間の男と関係を持ったと知ったとき、すべての神がサーリアを糾弾した。

しかし、サーリアは聞く耳を持たず止まることはなかった。


「会ってたらなに?」


「はぁ~このままではお主とあの男のためにならんのだよ。私以外がそのことを知れば、あの男は今度こそ処分されるぞ」


処分…

その話は糾弾された時に上がっていた話だ。

その際にダミニアが、今は処分ではなくサーリアが今後優斗と接触するのを禁止することで話を収めてくれた。


だが、サーリアにはそんなこと関係なかった。


「あの世界は私が管理する世界だよ。もし、優斗やあの世界の子たちに何かあれば私許さないよ」


サーリアは明らかな殺気を放っていた。


「ッ!そうすぐ怒るのはよさんか。ふぅ、この話は秘めておこう。私だってサーリアとあの男の関係を祝福したくはある。お主を小さいころから見てきた私にとっては、お主の初めての恋だ。応援してやりたいのだがな…

サーリア、まだほかの神にバレるような真似はしておらぬだろうな?」


「そうそう、それで相談したいの。

あ、あのね…実は…


できちゃった…」


「はぁ?」


ダミニアは、サーリアが口にした言葉を理解するのに時間がかかった。


「お主できたって、もしや赤ん坊ではないだろうな…」


「そのまさかだよ…」


「…」


「…」


サーリアのお腹の中には、人間と神の子供の命が宿っていたのだ。


「お主本気か?」


「本気だよ。この子は私と優斗の大切な子供だよ。絶対に産むよ」


サーリアはいつになく真面目にダミニアを見ていた。

その言葉に偽りがないことを示すように。


「人間と神の子など前例がない。どうなるかわからんぞ」


「うん」


「神々からは忌み嫌われる存在になり、気づかれれば殺されるかもしれんぞ」


「うん」


「管理している世界でも、神の血を継ぐ子は孤独になるかもしれんぞ」


「うん」


「お主だけではない、あの男と子供も苦しむかもしれんぞ」


「うん」


「それでもその子を産むか?」


ダミニアの言葉はとても重かった。

それは、サーリアの未来だけじゃない、夫である優斗それに生まれ来る子供の未来すら暗闇に誘う危険性が極めて高かった。

それでも、サーリアの答えは決まっていた。


「産むよ。

優斗やこの子が神々に狙われるなら私が守る。

それにこの子を孤独をしたりなんかさせない。優斗と私が愛を注ぐんだから。

優斗とこの子にはこれ以上ないくらい幸せって言わせてみせるよ」


サーリアは唯一人間である優斗には、自らが神であることを明かしており、ユウともそれを受け入れてくれた。

そして、妊娠を知ったときに2人で話し合った。

そして、2人でこの子を守り幸せにしてやると話になった。


「このことはほかの神には他言無用であること。

今日よりお主は、お主の管理する世界に行きそこで生活をすること。

その子を産むときは、お主の管理する世界で産むこと。

産まれるときは私に連絡すること。

それが、お主の出産を許可する条件だ」


「それって…」


「お主が不在中は、私がお主の世界を管理する。

神々には適当にごまかしておこう。

だから、絶対に気づかれてはならんぞ。


それにな、お主が出産するときは、私もそちらの世界に行き見届けたいのだ。

お主の子供が見てみたいからな。

お主みたいに生意気にならんといいのだがな」


さっきまでの険しい顔から一転し、ダミニアは優しい笑みを浮かべていた。


その顔を見るサーリアの顔を涙が伝った。


「どうした、どうした」


「だって許されるなんて思ってなかったから…」


「八ッはは、そうか、そうか。まぁ、普通許可なんかしないよな。だが、私は普通じゃないようだからな。

ただ、お主の言った言葉を全うしろよ。お主はもちろん、あの男も子供も幸せにしろよ」


「当たり前だよ…」


泣きじゃくるサーリアをダミニアは子を見守る優しい笑顔で抱き留めた。

2人の空間の時間がそうして流れていった。


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