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妹と召喚されました!  作者: 雄也
エルフ編
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戦いの後の戦い

安堵の空気が俺たちを包む。


そして俺の前には俺のかつての親友、アキが目の前にいた。


「ユウ…」


アキを目の前にするとある光景が頭の中に蘇る。


詩音といた世界、アキと過ごした世界。

そして、その世界での最後の戦いが…


「ユウ、そんな顔をしないでくれ…

俺は取り返しのないことをした…

ユウの信頼を裏切って…」


「やめろ。何でここにいるんだよ…何で生きてんだよ…なんで俺の前にまた現れた!!」


アキが俺に何かを言おうとしてるのは分かった。

それでも聞きたくない。

何も聞きたくない。


俺は感情的にアキを拒む。


「ユウ…」


叫んだあとアキから少しでも離れようと、アキを無視して歩いていく。


「アキくん、息子がごめんな」


「いえ、俺のやったことはそうそう許せるようなことではないので…

これはわかっていたことなので…

せめて、今はユウを守りたい」


俺が去ったあと、父さんとアキが何か話しているがどうでもいい。


「ユウよ。聞きたいことは色々あるであろうが、先に皆の元に戻ろう。ここの戦いは終わったが、まだまだ本陣の方は戦っておる。はやく終わらせてやらんとな」


そんな俺のもとに魔王がやってきた。


そういうと、魔王は手を出した。

そして、何もなかった区間に黒いモノが現れた。


「皆のもとに繋いでおる。ここをくぐれば再び戦場じゃ」


俺は黙って頷き、黒いモノをくぐった。


くぐった先は、聖樹の入り口前だった。


聞こえてくる、戦う音。

獣の叫び声。

剣の交わる音。


そこからはいまだなお、魔物との激戦が続いていた。


俺は、高ぶった感情をぶつけるように魔物のもとに走った。

戦場から少し離れた位置では、魔族や騎士がエルフたちの治療を受けていた。


そして、戦場に近づくとエルフが魔術を放っていた。


そこのエルフは、子供や女すべてのエルフが後方支援についていた。


「逃げなかったのか…」


俺はエルフのもとを走り抜け、魔物の姿を探す。

見つけ次第、斬って、斬って、斬って。


何も考えずに次々に斬っていった。


斬っても斬っても湧いてくる。

これじゃきりがない。

だが、剣を止めることなく無心で斬る。


キィーン


すると突然剣を受けられた感覚が伝わる。


魔物の中にまだ強い敵が?


俺は自分の剣を受けたモノを見る。


そこには、ミレイヤがいた。


「ユウ、斬るのは結構だけど、これじゃ疲労がたまるだけなんだぞ。こんなの力のゴリ押しに過ぎないんだぞ。

1人で戦ってるわけじゃないんだから、もっと考えるんだぞ!」


ミレイヤに止められて俺はやっと感情の高ぶりが落ち着いてきた。


そうだ、このまま時間が過ぎれば、皆の疲労がたまっていつ落ちるかわからない。


俺にとって、俺たちにとっての勝利は何であるか思い出せ。


その勝利に導くための手段を導き出せ。


相手は魔物。

数は多くても魔物だ。


数で劣っても俺たちは考えることができる。

考えることができる…


そうか、相手は本能で動くんだ。

魔物についてはいくつか聞いていた。

そして、此度の戦いにおける魔物は俺たちを敵として、本能として敵対している。

考えてはいないんだ。


なら、魔物の本能を利用して魔物を誘導することはできないか?

師匠が俺を呼んだように、魔物を並べることは?

並べられなくてもいい。一か所に集めることができれば…


「ミレイヤ、魔物を集める魔術とかモノってないか?」


「?それなら魔物の好む匂いをつければいけるんだぞ。いくつかストックはあるが、後方の地点においてるんだぞ。

それに、それは魔物がその匂いを感知するほど近づかないといけないんだぞ」


「なら、この戦闘にいる魔物が好む匂いのモノすべて取ってきてくれ」


そう頼むとミレイヤは後方に走っていきすぐに持ってきてくれた。


「ミレイヤ、皆に後退の指示を」


「?最前線の維持が崩れるんだぞ?」


「説明してる暇はないから、俺を信じてくれとしか言えない。できればはやく」


ミレイヤは不思議そうにするが、すぐに皆に指示を出してくれた。


何人か殿を除き全員が後退した。


そして俺は魔物の中心地点に立った。


「ミィナ!風を俺を中心に全体的に靡かせてくれ!」


((了解))


ミィナは一言いうと、俺を中心に俺の持つ匂い袋から匂いが広がりだした。

遠くへ行けば行くほど匂いは薄くなるが、俺に近づけば近づくほど匂いは強くなる。


魔物は強い匂いを放つ俺に集まりだした。


ここからが踏ん張りどころだ。

俺は、すべての魔物が集まるまでの間、先に近づいてきた魔物を斬っていく。

そして、すべての魔物が密集した。


「今だぁぁ!」


俺が叫ぶと、後方で待機していたエルフ達が魔術で密集する魔物を囲う巨大な壁が出来上がった。


俺は、魔物を蹴り左右の壁を蹴っていき、壁が張られてない上部より抜け出した。


そして、壁の頂上に立つと俺は手を壁の下にいる魔物に向けた。


「ミィナ、魔力の制御は頼むぞ」


((はいはい、心配しなくても完璧にやって見せるわ))


ミィナのその声を聞くと、俺は以前魔法を使った同様に創造する。


すべてを燃やし尽くす火を

熱くダイヤモンドすら溶かす熱い火を

高く燃え上がる火を


「童貞の創造力なめんな!」


創造と魔力が繋がった。


そんな感覚が身体を巡った。


すると、壁を超える激しい火柱が上がった。


「アツッ!?」


その火の勢いと熱さで俺は壁から足を滑らせた。


俺が足を滑らせると、想像力は途切れ火柱が止まった。

そして、俺は落下した行く。


((バカ!))


ミィナの声が聞こえる。


そして、落ちていく中で俺は突然来た妹に抱き留められた。


「お兄ちゃんらしいですね。最後は締まりませんね」


沙耶に抱かれ、ゆっくり地上に降りると、壁は消えていった。


壁の中は黒く焦げた跡があるものの草木、魔物の灰すらない。


こうして5万の魔物との戦いは幕を閉じた。


沙耶は後片づけあるからと、皆のもとにまた飛んで戻っていった。


緊張の糸が切れたのか、疲れがどっと来る。

俺は膝に手をつき休む。


「なんだユウ、バテバテじゃないか。さすがのユウでもこればかりはきつかったか?」


そんな俺にレイが声をかけてきた。

レイの服は血だらけになっていたが、身体に傷がない。

おそらく魔物の血だけだろう。


「バカいえ、こんなの余裕だ。それより被害は?」


「ハッハハ。いつも通りのユウで何よりだ。どうも戦闘中は様子がおかしかったのでな。

騎士団の被害は、ケガ人は何人かいるが全員軽いけがだ。死者なしだ」


レイの奴はよく見てるな。

俺の変化にも気づくなんてな。


「ユウ殿、我ら魔族も同様けが人は多少いるものの、死者なしです」


「そうか!よかった」


俺とレイが話していると、魔族の一人が俺たちの元まで来て魔族の状況を教えてくれた。

死者なしを聞き、安堵していると…


バシ!


すると例に背中を叩かれた。


「何がよかっただ。最後にユウがやることがあるだろう」


「そうです。ユウ殿これはユウ殿が掲げた我らの完全勝利です。勝利の声を皆にかけてください」


そういうことか。

なんかこういうのは慣れないな。


「俺たちの勝利だぁ!勝鬨をあげろぉぉ!」


「「「うぉぉぉ!!」」


この戦いによる被害は、半数以上被害が出たが重篤者、死者ともになく

最高の勝利といえる。


だが、首謀者と思われる師匠こと静 鈴の行方および精木を枯らし攻めてきた目的は不明。


すっきりとはしない終わり方ではあるが、今はこれでいい。


今は皆無事に勝利できたことを喜ぼう。


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