確認してみます
沙耶がゆっくりと離れると、涙を流した跡があった。
「心配させて悪かったな。でも、沙耶が無事でよかった。」
そう言いながら沙耶の頭を撫でると、沙耶は子ども扱いしないで下さいと怒っていたが、どこか嬉しそうだった。
「そういえば、あの幼女が言ってたステータス見ないとだよな。確か言えばいいんだっけ。“ステータス”」
そういうと、目の前に一つの画面が現れた。
「お兄ちゃん私にも見せてください。どうやって私見ることができるのでしょか?」
自分のステータスを確認しようとすると、沙耶が興味深々に覗き込んできた。しかし、画面が見えないのか不思議そうな表情をしている。
そういえば、特定の人に見せることができるとか言ってたが、どうやって見せることができるのだろうか。
ステータス表示に触れてみてると、その表示が手の動きに合わせて動いた。
そして、そのままステータスを沙耶に見えるようにした。
「沙耶、これで見えてるか?」
沙耶は、それでも不思議そうに首を横に振る。
(そういえば、言いそびれておったのう。悠が面白い動きをしておるので、言うの忘れておったわ。ステータスを特定の人に見せる場合は、“ステータスオープン”と言って、見せたい者へ手を向けるのじゃ。そうすることで、ステータスを見せることができるぞ。それと、お主らにはそれぞれ称号を与えておるのでな、妾に感謝するがよいぞ。ではな。)
突然また声がしたと思ったら、勝手に話してすぐに声は途絶えた。
「“ステータスオープン”」
沙耶に手を向けてあのメーラが言ったようにする。
すると、沙耶の目の前にステータス画面が表示され、沙耶は最初は驚いていたが、そのステータスに目を通し始める。
俺も自分のステータスを確認し始めた。
《ステータス》
【名前】キサラギ ユウ (人族)男
【Lv.】3
【称号】 シスコン、バカ
【能力値】体力 :652/652 魔力:719/719
【スキル】 ???
「何このステータス!てか、称号にシスコンとバカってあるんだけど!いやそもそもそれって称号なのか!あの幼女の仕業だろ!感謝どころか悪意しか感じないぞこれ!これ消えるよね、消えてくれるよね!」
ステータスの表示を見て、先ほどメーラが言っていた称号が目についたが、これは称号なのか。
沙耶はそれを見ながら笑いをこらえていた。
「お兄ちゃんに相応しい称号じゃないですか。っぷ。」
「いやいや、相応しいってどこがだよ!てか、笑ってんじゃん、堪えきれてないじゃん!沙耶はどうなんだよ、見せてくれよ。」
きっと沙耶にも同じような称号がついているはずだ。俺だけなんて理不尽だ。
そう思いながら、沙耶を見た。
「“ステータスオープン”」
沙耶がそういって手をこちらに向けながら言うと、沙耶のステータスが目の前に突然表示された。
ステータス》
【名前】キサラギ サヤ (人族)女
【Lv.】1
【称号】 冷静なる者
【能力値】体力 :95/95 魔力:3065/3065
【スキル】
「いやいや、何冷静なる者って。てか、俺だけ称号酷くない!」
沙耶のステータスを見ながらそう強く思った。
「特段目立ったステータスは無さそうですね。お兄ちゃんと私では、体力と魔力の差が大きいですね。この世界の平均ってどれくらいなんでしょうね。それに、レベルってことはそれに合わせて、ステータスも変わっていくのですかね。」
沙耶は、二人のステータスを見比べながら考え始める。
「そうだな、称号ってところを除けば、あとは普通なのかな。レベルは俺がさっき、ガキを倒したから上がってるんだと思うが、最初にステータスを見てから倒すべきだったな。レベルの前後でステータスの差が分からないな。」
「それは、仕方ないですよ。それは追々確認しましょう。まずは、この世界においての私たちの強さが気になりますね。この世界の人に会って確認するべきですね。あとは、スキルですね。お兄ちゃんはスキルに何か表示はありますが、???ってなってますし、私にはスキルが何もないですね。」
「そうだな、そこらへんも全部この世界の人に聞くのが早そうだな。まずは、安全なところへ移動しながら人を見つけようか。」
二人はステータス表示を閉じ、周りを見渡した。
特に先みたいなガキはおらず、周囲はすべて木々におおわれているばかりだった。
「適当に歩いてみようぜ。そうすれば、人に会えるだろう。」
「お兄ちゃんは、ほんと適当ですね。魔獣がでたらお願いしますよ。」
そういいながら二人はその場をあとにした。
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