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妹と召喚されました!  作者: 雄也
エルフ編
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戦いに向けて

エルフの家を通り抜けていく。


ここに入ってきた時はいきなり敵意を剥き出しで襲ってきたが、あの光景がここにはもうない。

エルフは疎らで、子供や女性しかいない。

どれだけのエルフが犠牲になったのか嫌でも想像してしまう。


エルフは俺たちのことを受け入れず、嫌な態度をとって好印象は持てない。

それでも、こっちを見ている残されたエルフたちのことを考えてしまう。


残されたエルフたちが亡くなったエルフたちのことを知ればどれだけ嘆き悲しむだろうか。


そう思うと胸が締め付けられる。


あいつらは嫌な奴だった。

それでも、守り切れなかったことに…

もっと早く助けに行かなことに…

自分の愚かさが重くのしかかってくる。


大切な者だけを守ればいい。

そのために大切な者以外は見捨て、敵は殺す。


そんなこと分かっている。

俺にはそれしかできない。

そんな力しかない。

他の者達を守る力を持っていないことぐらい理解しているさ。


そんな力で敵を殺している。

ダージャと目的は違うが、やっていることは同じだろう。

自分の目的に害する者を殺している。

俺が誰かを殺せば、殺された者の家族や友人が嘆き悲しんでるだろう。


本当に俺が敵を殺していくことが正しいんだろうか?

間違ってるんじゃないだろうか?


もう今までに大勢生ある者を殺してきた。

その人たちの死をどれだけの者が苦しんだだろうか。

悲しんだだろうか。

嘆いただろうか。

恨んだだろうか。


本当の悪は俺なんじゃないだろうか…


「なに馬鹿なこと考えてるのよ!」


俺が消極的なことを考えていると、後ろから勢いよく背中を叩かれた。


「痛ぇな。なにすんだよミィナ」


俺は背中を叩いてきたミィナを睨む。


「ユウが変なこと考えてるからでしょう。ユウらしくもないでしょう!

今回ユウは守れなかったって思ってるけど違うでしょう。よく周りを見なさい!

今いるエルフ達が、私やリサ、サヤ、マナがここにいるのはユウあんたの功績よ!

ユウがいなかったら、私はあの魔族の思い通りにエルフたちを滅ぼし、世界すらも滅ぼしていたよ!

私控えめに言って強いから!

それを止めたのがユウよ!

サヤやリサ、マナ、エルフ達の命を守ったのもユウなのよ!


亡くなった者、犠牲になった者を見るなとは言わないわ。

でも、しっかり見るべきはあんたが守った者でしょうが!


何が正しいとか、間違ってるとか…

そんなの誰にもわからないわよ。

あんたには皆がいるでしょう。

間違った道に行きそうになったら、その時は皆があんたを止めるわよ。

そういう子たちでしょう。

ユウを慕ってる子は。

そして、神に等しい私が肯定してあげる。ユウが、皆が正しいってことを!」


何かと思えば、ミィナは急に俺が一人で考えるのに勝手に突っ込んでくる。

まぁ、俺は少し人に自分の考えを言葉で言わないから少し助けられてる分はあるかも?


そうだよな、ミィナはこういうやつだよな。


「何笑ってるのよ」


ミィナに言われてはじめて気づく。

自然に笑ってしまていることに。


「いや、ミィナは素直というかなんというか。自分で神とわな」


「なっ!」


ミィナは自分で言っていて照れていた。


ミィナの言う通り、俺らしくなかったかもしれないな。


「ミィナもうみんな先行っちゃってるぞ、早く行こう」


「ユウのせいでしょう!」


そういいながら、皆の後を追う。


「ミィナありがとう」


ぼそりとそういって。


そうこうしながら、聖樹の外に出た。


すると、そこには魔王の横に黒いモノができており、そこから次々に魔族が出てきていた。

そして、出てきては魔王に頭を下げてから離れていく。


「ユウ遅かったではないか。騎士団長達から話は聞いてるよ、これから5万の魔物と戦うみたいだな」


魔族が出てきているのを見ていると、レイが話しかけてきた。


「怖いか?今回の戦いは人間にがそこまで命を懸ける必要はないと思うぞ」


「寂しいことを言うなよ。友人が命を懸けているのを黙ってみているなんてできないだろう。それに怖い?まさかだよ、私はこれでも副団長だぞ。5万の敵よりも、友人を裏切るほうが怖いね」


レイは戦うのがさも当たり前かのように言ってくる。


「友人か…」


「なんだ、ユウは友と言ってくれないのか?」


レイは、笑みを浮かべて俺に言ってくる。


「それこそまさかだ。ここまで頼りのある友人がいると安心する」


俺がそういうと、レイは照れたように顔をそむける。



「そ、それにしても、今まで敵だと思っていた魔族がここまで集まると色々複雑ではあるが、とても頼もしい。

さて、私もそろそろ準備するとするよ。

ユウ、こんな戦い早く終わらしておいしい食事で笑い話でもしようではないか」


「そうだな」


「ユウ、死ぬなよ!」


「レイもな」


そういうと、俺たちは拳を当てて健闘を祈る。

そして、レイは騎士団のもとに去っていった。

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