和む空気に条件?
沙耶にリサ、マナ、ミレイヤ、ミィナが楽しそうに話している。
こんな時ではあるが、久々に見るような感覚に何か安心感がある。
でも和んでばかりいられない。
ここは戦場であり、目の前には敵か味方も分からぬ者がいる。
そして、この魔王はなぜだか俺と沙耶の事を知っているようだった。
だが、ミレイヤは魔王ともう1人が俺たちに敵対しないと判断している。
そうでなければ、目の前の敵を見放すことはないだろう。
「キサラギユウ、お主は儂等に色々聞きたそうだな」
魔王は俺を見据えてそう言う。
「色々聞きたいさ。なんで俺と沙耶の事を知っているかとか、魔王であるあんたが同族の魔族を殺したのか、ダージャの目的はなんなのかとかな。でも、今すべてを知るには時間がなさすぎる。これから、5万の魔物がここを襲いくるらしいからな。だからこれだけ教えろ。あんたらは敵か?」
ここで一番重要なのは、こいつらが敵かどうかだ。
魔王なんて、定番のラスボスじゃねぇか。
こんなのが、敵とか泣けてくるけどな!
「敵ではない。言葉だけでは信じられぬか?」
魔王は、強い眼差しで俺を見る。
俺には、相手の嘘をお見抜く力はないが、信用していいのではと思ってしまう。
こんなんだから
俺はダメなんだけどな…
やっぱり、根本的な考えは変わらないな。
(悠はそれでいいんじゃない)
突然聞こえた、ミィナの声に振り返るが、5人はまだ騒いでいる。
そして、一瞬ミィナと目が合った気がした。
優しげな笑みを浮かべたミィナと…
「信用するさ…」
俺は、声が小さくなりながらもそう答えた。
「ふむ。ならば、信用してもらった分少しは手助けをしてやるかのう。
5万の魔物という事だが、お主ら6人で戦うつもりか?数の力は強大であるぞ。お主ら1人1人が強気者であるとしても、5万の敵の前では無力ではないか?」
頭が痛くなるな。
恐らく、万全で戦えるのは6人ではない。3人だ。
駆けつけてきたミレイヤにはまだ戦えるはずだ。
契約によって、傷が癒え力を共有かしてる俺とミィナも万全ではないがまだ戦える。
しかし、沙耶もリサもマナも魔力戦闘を主流とする中、ダージャとの戦いでかなり消耗しているはずだ。
ダメージも残っているだろう。
最前線に出てもらうには、リスクが多すぎる。
この戦いは、生き残りることが勝利だ。
全員が生き残ってこその勝利となる。
その中で、多少のリスクであっても、最大の欠点となりうる。
「6人ではないぞ!ミラージュ王国騎士団50名が来てるぞ!」
さっきまで盛り上がってた6人は、こっちを見ていた。
この子たちは、なんだかんだで話聞いてたのね…
「50人ですか。その者たちの実力はわかりませんが、56人になったところで、結果は同じです。犠牲が増えるだけですね」
魔王の横に立ってる魔族がそういうと、ミレイヤがキッとに睨みつけた。
「リューザよ、少し言葉が過ぎるぞ。しかし、現実はリューザの言う通りである。そこで、提案であるが、儂等が力を貸してやろうか?
もちろん、条件付きではあるがのう」
魔王はそういうと、俺と沙耶を指差した。
「条件は、此度の戦いが終われば、キサラギユウ、キサラギサヤの2人が儂の城に来る事だ」
俺と沙耶が魔王の城に行くことが条件だと…




