意思を持って
ダージャは嫌な笑みを浮かべながら、こちらを見る。
「まぁ、人間が誰を殺そうとも関係ないがな。それよりも、早くここから出て行かなくていいのか?魔物が来てしまうぞ。お前達は確かに強いが、数には勝てない。俺は、この森が滅び、精木が朽ちれば目的は達成できる。お前達が逃げ、生き延びたとしても、どうでもいいってわけだ。だから、邪魔せずに消えてくれ」
俺がここで戦ったところで、恐らく直ぐに決着をつけるのは難しいだろう。
話してる間も、ダージャに隙はなかった。
一瞬でも隙があれば、殺るつもりだったが、そんなものはなかった
決着がつかなければ、5万もの魔物が襲いくる。
俺は、横目で4人を確認した。
沙耶にリサ、マナは、疲労が目に見えており、魔力もあと少しだろう。
ミィナは、まだいけそうだ。
2人で、5万の魔物か…
今、引けば逃げれる可能性は高い。
だが、逃げれば、妖精の森…マナの故郷が滅びる…
俺の引っ掛かりはそこにあった。
なんの縁もない場所なら、手を振って逃げ出す。
大切な人たちが生き残るにこしたことはないから。
だが、ここはマナの故郷だ。
ここを守るとなれば、死ぬ可能性が跳ね上がるわけで…
「ご主人様、マナのことは気にしなくていいのです〜」
マナも、俺が考えてることをよんだかのように声をかけてきた。
だが、マナの表情はいつもの笑顔ではなく、複雑な表情だった。
両親がいなくても、ここはマナの過ごした場所だからな。
(悠、こんな子にこんな表情させていいの?)
わかってるさ。
「ダージャ…俺たちは戦う!敵が人であろうと関係ない!お前を殺し、5万の魔物も殺し、俺たちはこれからを生きる!沙耶!リサ!マナ!ミィナ!一緒に戦ってくれ!」
「お兄ちゃん、悩みすぎです。ダージャも魔物も早く片付けて、おいしいご飯食べにいきましょう」
「ですね。ユウ様、こんな魔族と5万の魔物なんて、私たちにとっては、準備運動です。パパッと終わらせましょう」
「ご主人様ありがとうございます〜やって殺るです〜」
「悠とは一心同体だからね。やりますか」
決意を新たに俺たちは戦いに臨む。
「はぁ〜馬鹿な人間だなぁ!なら、望み通りここで死ねぇぇ…グフゥッ⁉︎」
ダージャが、殺気と闘気をまた向けてきた途端、
ダージャの胸を色白い手が貫き、口と胸から血が落ちていった。




