敵
ダージャから放たれた光は、周囲に広がると何も起こらず直ぐに消え去った。
「周囲を警戒して!」
ミィナが叫ぶと、俺たちはダージャから注意を逸らさずに周囲を探る
しかし、周囲には俺たち5人とダージャ以外の気配はない。
「そう警戒するなよ。合図ではあるが、そんな近くの奴らに合図を出したわけではない。俺が出したのは、妖精の森から数キロ離れた場所にいる奴らだよ。元々お前達の相手をするつもりはなかったんだ。目的の邪魔になる可能性があるイレギュラーをできるだけ取り除こうとは思ったが、これ以上目的を遅れさせるわけにはいかない」
ダージャからの闘気はなくなり、ダージャの身を纏う魔力だけが、防御の意思だけを表していた。
「だから戦闘の意思はないと?お前の目的は知ったことではない。お前は俺の敵だ。お前に戦闘の意思がなくとも、敵は殺す」
俺はそう言うと、剣を改めて構える。
他の4人も俺に続き戦闘準備に入る。
「確かに俺はもう戦う意思はないが、いいのか?このまま戦闘を続ければ、どのみちお前達は死ぬことになるぞ。俺が勝とうとも、お前達5人が勝とうともそれは変わらない。今から、妖精の森を滅ぼす、5万を超える魔物の群れによってな。俺たちが使役し、強化した魔物は、妖精の森を四方八方を囲み、こちらにすでに向かっている」
「ッ⁉︎ありえません!妖精の森の周囲には、他国がいくつもあるのです!そんな魔獣の群れを放置するはずがありません!」
リサは、一瞬驚くと声を上げて叫ぶ。
「そうだなぁ、魔物が待機しているのを敵が見つければ、直ちに対応しただろう。お前達が今敵に回そうとしているのは誰だ?」
ダージャの言葉が、冷たく響く。
俺たちは、ダージャの目的に携わる敵の一部を理解した。




