初めて戦ってみます
沙耶のこんな顔初めて見たな。不安がってるのがすぐにわかる。
初めて来た世界で、こんな場面にあったら普通そうだろう。
でも、兄としてそんな妹の顔は見たくない。
俺は、気づけば沙耶の頭に手を置き撫でていた。
「大丈夫だ。お兄ちゃんに任せろ。」
それだけ言うと、俺は頭の中で何かが切り替わった。
ガキという魔獣は初めて見る。勝てるかどうかもわからない。
それなのに、負けることはないと思ってる。いくら相手が弱くても、数が多い。20いや30体程か。
それなのに、勝てる。勝てる気しかしない。
俺は、ガキの群れへと飛び込んだ。
ガキがまとまって飛びかかってきた。しかし、それはあまりにもゆっくりだった。
飛びついてくる間に、ガキを殴った。一発殴ると、殴られてガキは肉片となり飛び散った。
しかし、そんなのを気にしている暇はない。何度も何度も、それを繰り返した。
そして、いつの間にか、ガキの肉片と血だまりの中心で立っていた。
ガキはすべていなくなっていた。
「お兄ちゃん!無茶しないでください!バカなんですか!あんないっぱいいたのに!死ぬ気だったのですか!本当に…心配させないでください。」
沙耶は、泣きながら抱き着いてきた。
俺は、ちゃんと沙耶を守れたのだと満足感でいっぱいだった。
「お兄ちゃん!聞いていますか!」
「聞いてるよ。ちゃんと生きてるし、ちゃんと聞こえてる。」
沙耶の為にも生き抜かないいけないな。死んだら何言われるかわかんないしな。
「ありがとうお兄ちゃん。生きていてくれて、助けてくれて。」
沙耶の声は、風にかき消されてなんて言ったか聞こえなかった。
読んでいただきありがとうございます。
楽しんでいただけるよう、次回話も考えていきますので宜しくお願いします。