全力を出さないのですか?(1)
殺気を受けた俺は、防衛本能から3人を抱えて地を全力で蹴り、ダージャから距離を取る。
「お前らちゃんと着地しろよ!そして出口まで走れ!」
俺は、地に足が着くと同時に、反回し3人を外へ出る方向へ思いっきり投げ飛ばした。
「お兄ちゃん⁉︎」「ユウ様!」「ご主人様!」
3人の叫ぶ声が遠のき、いまの部屋を出たのを確認すると、入り口の壁を斬り、入ってこれる通路を塞いだ。
「なんだ。自ら有利な状況を捨てたのか?」
「バカ言え、元から俺たちは有利な状況に立っていなかっただろう。殺気がダダ漏れなんだよ。魔術で前もって俺たちを殺せる準備でもしていたんじゃないか?」
ダージャは、常にイヤな笑みを浮かべている。
あいつは余裕そうだが、隙がない。
おそらく、俺たちのことを少なからず危険視しているから、隙を見せようとしないのだろう。
「そうかそうか、気づいていたのか。まぁ、少し違うな。答えは、動きを封じる魔術だ」
ダージャがそう言うと、部屋全体の地面が光り出した。
地面全体が魔術式になっていた。
俺は、地を蹴り光っていない天井の壁へ移動した。
「考えが甘いな。魔術に対して無知なようだな。
魔術は魔術式に触れなければいいものではない。特にこの魔術は、空間そのものに干渉する。この部屋にいる限り、逃げるのは不可能だ」
はぁ!
空間そのもの干渉とかどういう魔術だよ!
俺は体に力を入れるが、全く動かない?
いや違う。動くが地面に着いている手と足が地面から外れないんだ!
地面に触れていない顔や肩は動く!
ダージャは空間の干渉といった…
なら、なぜ沙耶達みたいに空に魔術師を描かない。
わざわざなぜ地面に魔術式を描いた?
「黙ってていいのか?」
俺が考え事をしていると、目の前にダージャがいた。
コイツ、空飛んでやがる⁉︎
「キサラギ ユウと言ったか、俺を殺すんじゃなかったのか?なぁぁぁ!」
「グッ!」
ダージャは黒い煙を纏った拳で殴ってきた。
俺はその勢いで、弾け飛び地面に激突した。
天井から剥がれた瞬間、手足が動くことに一瞬ではあったがわかった。
そして何よりも、地面から離れたのは、ダージャに殴られたからではない。
ダージャの拳が俺に届くまでの一瞬に自由落下する感覚があった。
だいたいわかったぞ。
コイツの今発動している魔術は、この部屋の壁や地面に触れることで発動する。
いや、空間干渉とダージャが言っていた。
なら、この空間にある物理的物質に触れることでの固定化。
それだけわかれば十分だ!
もう一度、地面から離れることができれば………
いやできる!
そのために今回は、衝撃を足だけで受け止めたんだからな!
「ダージャぁぁ!」
足元の地面を切り刻み、空を蹴り、油断して空中を歩くダージャの元に瞬時に移動した!
「お前の負因は、油断したことだ!」
俺は、ダージャの胸を確かに貫き、ダージャは地上に落ちた。その後、俺も地面に着地した。
動かなくなったダージャを見下ろして…
「グハッ⁉︎」
そんな俺を何かが貫き、俺は血を吐きその場に崩れた。
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全て反映させて頂きました!
これからも良い作品にしていけるよ、更新していきますのでよろしくお願いします!




