負けるわけにはいかない(3)〜キサラギ ユウside〜
邪竜の一撃を受けた瞬間、強烈な衝撃と激痛で意識が飛びそうになった。
「ガハッ!」
意識が飛びそうになる自分に言い聞かせる。
痛いからなんだ!
戦闘中に意識を手放せば、死を意味する。
こんなところで死ぬのか!
誰一人守ることもできずに死ぬのか!
そんなことは、俺自身が許さない!
意識を持て!
まだ勝負は終わっていない!
「一撃で負けてたまるかぁぁー!」
俺は、自分が飛んでいく先にある壁を睨み、剣を腕の力だけで構えた。
空中での剣撃は、足が地についていない分、力が入りにくく安定しない。
それがどうした!
その程度、師匠の訓練に比べたら容易い!
「静流《風弾斬》!」
壁に向かい風を打つ。
風の勢いにより、壁への衝突を防ぎ壁へ着地する。
壁に手を付き邪竜の方を見た時には、目の前に邪竜の腕が迫っていた。
待った無しかよ!
ダメージを最小限に抑えても、めっちゃ痛いんだからな!
すぐさま壁を蹴り、邪竜の攻撃を回避しながら地面へ着地する。
そして、邪竜から距離を取ると共に剣をしまった。
剣できれないなら、これしかないな…
邪竜は、長い尻尾を振るってきた。
こりゃいい!
自らの力で堕ちろ!
剣術と同じく左足を軸に足にだけ力を込め、受けの体制をとった。
そして、邪竜の尻尾が衝突する瞬間に尻尾を両手で掴んだ。
「静流体術《柳風》!」
邪竜の巨体が持ち上がり、反転してからものすごい速さで地面へ衝突した。
ドォォン!
衝突時の激音と共に、部屋全体が振動する。
瞬時に尻尾を放すと、地面へ衝突した衝撃で動かない邪竜へと迫った。
邪竜を見下しながら、俺はトドメをさそうと拳を握り振り上げる。
見下された邪竜は、なんだか目が潤んだように見え顔だけがあたふたとしている。
そして邪竜の体が光りだした。
まぁ、俺にはそんなの関係ないがな!
「静流体術《衝内波打》」
仕留めるために放った攻撃は邪竜に当たることがなく、地面を打っていた。
そしてそこに邪竜の姿はなく…
「なんじゃこりゃぁぁ!」
俺の声が部屋に響いた。
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