召喚主はどこですか
悠と沙耶は気づくと森の中にいた。
そして、見たこともない犬のような生き物に囲まれていた。
「どこだよここ！てか、召喚されたんじゃなかったのかよ！いないじゃん、召喚した人！召喚したの犬！ご主人様は犬でしたか！」
「うるさいですよ、お兄ちゃん。私たちを召喚した人って、あれじゃないですか？」
騒ぐ悠に冷静に答える沙耶。沙耶が指をさした方向には、血だまりができており、その中心に人が倒れていた。
「マジかよ…あれって生きてんの？てか、召喚しておいて何で死んでんの！というか、なんで、こんな危険そうな森で召喚したの！」
「だからうるさいですってお兄ちゃん。いくら騒いでも、現実は変わりませんよ。あの犬擬きに殺されたんじゃないですか。あの犬擬きをどうにかしないと危ないですよ。」
沙耶が言う犬擬きは、すでにこちらを睨みいつとびかかってくるかわからなかった。
（お主ら、ほんと肝がすわっておるというか、緊張感がないのう。お主らを囲んでおるのは“ガキ”という魔獣じゃ。弱い魔獣じゃからの、お主らは、普通に戦えるはずじゃぞ。）
突然二人の頭の中に、メーラの声が響いた。
「どこから話してるのですか、というかどうして先ほど別れたばかりで話しかけてきているのですか。」
（それはの、一つ言い忘れておったのじゃ。お主らの力を示すステータスというものがあるのじゃ。それは、“ステータス”というだけで出てくる。通常は、自分だけにしか見えぬが、それを特定の人だけに見せることも可能じゃ。そして、この世界で“冒険者”というものになろうとする際は、最初はステータスの開示が必要っとなっておる。なのでな、それだけを言い忘れておった。ということで、あとは頑張って生き延びるのじゃぞ。）
突然聞こえてきたメーラの声は、唐突に終わり、沙耶は言葉が出なかった。そして、悠の方を見た。
「お兄ちゃん嫌に静かですね、どうかしたのですか？」
いつもなら騒ぎそうな悠が静かなのを不安がりながら沙耶が聞いた。
いつも冷静な沙耶が不安を顔にしていた。
読んでいただきありがとうございます。
楽しんで読んでいただけるよう、これからも精進したいと思っていますので、今後とも宜しくお願いします。
