どちらに抱かれたい?
あぁ、暖かいな。何かに包まれているように柔らかくて気持ちいい。
俺は、目が覚め徐々に意識を戻しながらも、温もりははっきりと感じていた。
そして、右手に柔らかく暖かなものが…
柔らくて暖かい!?
「スゥ~スゥ~」
俺の意識が完全に目覚めたとき、俺の布団の中から小さな寝息が聞こえた。
俺は、ゆっくりと布団を捲っていった。
「うぅん、なんだ、ユウ起きたのか?」
そこには、一糸纏わぬ姿のミレイヤがいた。
つまり、裸のミレイヤが俺に抱きついており、俺は右手で、ミレイヤの胸を揉んでいた。
「朝から元気だな。今日のユウは積極的だ」
ミレイヤはそういうと、俺の右手をさらに自分の胸に押し当ててきた。
「事故だ!」
「人の胸を揉んでおいて、事故とはひどいじゃないか」
「胸が無いのに柔らかいだとッ!」
「なっ!ついに言ったな!無くないぞ!ちゃんと胸あるぞ!小さいかもしれんが…ちゃんと感触あるだろう!」
ミレイヤはそういって、俺の右手を自分の胸に押さえつけてきた。
「いやいや、柔らかのは分かったから、それよりもなんで裸なんだ!」
「ユウの布団に忍び込む時に、厚くてつい脱いでしまった」
そういえば、部屋にミレイヤが着ていた服が散らかっていた。
「ついで脱ぐなよ!?」
「それよりもユウ、女の裸を見たんだ責任とってくれるよな。まさか、ここまでして、責任を取らないのか?」
「そ、それは…」
なんで、俺は朝っぱらから裸の女の子に言い寄られてるんだよ!
「ほぉ、面白い話をしていますね、お兄ちゃん?」
「ユウ様、朝から騒がしいと思ったら何をしているんですか?」
突然、扉のほうから声がした。
そこには、こちらを睨む鬼が二人、いや、沙耶とリサがいた。
「さ、沙耶、リサ…おはよう?」
「はい、おはようございますお兄ちゃん」
「おはようございます、ユウ様」
俺が挨拶すると、2人は満面の笑みで挨拶してくれた。
目が笑ってないけどな!
「で、チビ。どうして、裸なんですか?」
「ユウが積極的だったんだぞ」
「それ答えになってないぞ!?」
「お兄ちゃんは黙っていてください」
妹様はご立腹のようです…
「それで、責任とか聞こえたんですがどういうことですか?」
「女の裸を見たんだから、責任をとって、お嫁さんにしてもらう!」
「無い胸が良く言いますね」
「この兄妹同じこと言ったぞ!泣くぞ!私、泣いちゃうぞ!」
「それよりも、ミレイヤいつまでユウ様に抱きついてるんですか?」
あっ、王女様もご立腹のようです。
鬼が2人いるのを忘れていた。
「まだ、ユウの言質をとっていないぞ!ユウ?責任をとると一言言えばいいんだぞ。それで、全て収まるんだ」
ミレイヤが、俺を見てそういってくる。
「「いいから離れなさい!」」
すると、すごい勢いで、沙耶とリサがミレイヤを掴み俺から剥がした。
「お兄ちゃん、私達はチビと少しお話がありますからこれで失礼しますね」
「ミレイヤ、少しお話をしましょうね」
「やーめーろー!って、なんて力だ!離せー!」
ミレイヤは最後まで抵抗していたが、沙耶とリサは、満面の笑みでミレイヤを引きずり部屋を出て行った。
ミレイヤって、一様は騎士団長なのに、そいつを引きずっていけるとか…
いや、考えるのは止めよう。
あの2人は怒らせてはいけない。俺は心に強く刻んだ。
そして、ミレイヤが2人と話を終え部屋から出てくると、
「怖い…」と泣きそうになって、俺のところに走ってきた。
それを、見ている沙耶とリサは終始笑顔だった。
そうしながらも、朝食を終え俺と沙耶とリサの3人は、依頼に行く為に外に出ていた。
「ミレイヤ、留守の間は頼むな」
「任せておけ!ユウにサヤ、リサも気をつけて来るんだぞ!帰ってくるの待っているからな」
「「「行ってきます」」」
俺たち3人はそういうと、王都の門へと向かって行った。
俺たちが見えなくなるまで、ミレイヤは手を元気に振りまくっていた。
可愛い子供にしか見えないんだよな。
ミレイヤには、リサが白金か1枚渡していた。
お金はあっても、さびしそうにしているミレイヤが目に浮かぶけどな。
そう考えながらも、俺たちは王都の門をくぐり、外に出た。
「ここぐらいでいいでしょう」
「そうですね」
沙耶とリサは、王都を出てから少し歩くと、そういった。
「お兄ちゃん、ここからの予定ですが、半日で妖精の森の近くにある“アルトリア”という街に行きます。
そこは、王都ほどではないですが、少し大きいそうなので、早めについて、その街を堪能しましょう。
そして、明日の朝に妖精の森に入り、依頼を遂行するという流れです」
沙耶は、淡々と説明していく。
リサは何も言わないから、きっと2人で話し合っていたんだろう。
「そのアルトリアって言う街は、妖精の森からどれぐらいの距離にあるんだ?」
「歩いて、1時間程で着く距離ですよ」
「いやいやいや、ミレイヤが行っていただろう。早くても往復で2日はかかるって。片道1日はかかるじゃないか」
「それは、その森までを地上で駆け抜けた場合でしょう。時間が掛かる手段で行かなくてもいいんですよ。
そこでお兄ちゃん、私とリサ、どちらに抱かれたいですか?」
「は?」
俺は、沙耶のその言葉に頭の中で、パニックを起こした。
そんな俺を見て、沙耶とリサは笑顔で両手を広げた。




