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妹と召喚されました!  作者: 雄也
エルフ編
36/78

また一人増えます!騎士団員が…?

「ユウ、騎士団に入らないか?」


ミレイヤは俺を騎士団に誘った。


「ミレイヤ、理由を聞いてもいいか?」


「もちろんだ。ユウは、強い。騎士団の副団長であるレイに勝ち、そして、団長である私に勝ったのだ。

そんな強さを持つユウが騎士団にいてくれたら、どれだけの人が守れるか。

なによりも、私とユウは剣で語り合ったのだ。だからこそ、ユウが欲しい!」


ミレイヤは俺を満面の笑みで見てくる。純粋な目だ。俺には痛いほどの…


「俺の答えは、断る。騎士団には入らない」


「理由を聞いてもいい?」


ミレイヤは一瞬にして悲しい目に変わった。


「理由は簡単だ。ミレイヤは俺のことを何もかも誤解している。


俺の力でどれだけの人が守れるかだって?答えは簡単だ。こんな力では、誰一人救えやしない。

だから、俺はもっと強くなる必要がある。俺の大切なものを守れるほどに強くなるために。


俺にとって、それ以外の人を守る余裕はない。いや、そんなことをしていれば、いつかまた、大切なものを失うことになる。

だから、大切なもの以外はどこで死のうが俺は知らない。

逆に、邪魔になるなら俺は普通にそいつを殺すぞ。

今までだって、そうしてきた。親友だって思ってたやつもこの手で殺したんだ。


それにな、俺は騎士団みたいな集団で動くのは嫌いなんだ。知らないやつに背中なんて任せられない。

それに、俺がいくら信じたところで、人は裏切るぞ。


な、ミレイヤ。俺はこういうやつなんだ。大切なもの以外どうでもいい、ロクでもない男だ。

こんな男を騎士団に誘うぐらいなら、もっといいやつを探せよ…」


俺がそういうと、ミレイヤは泣きそうな目で俺にゆっくり歩み寄ってきた。


まぁ、ミレイヤがどう思って他かは知らないが、きっと落胆したんだろう。

そんな男だなんて思わなかったとか言って、殴るんだろうか。


俺は、殴られる覚悟をして目を閉じた。

すると、俺に来たのは強い衝撃なんかではなく、優しい温もりだった。


ミレイヤが、涙を流しながら俺に抱きついてきたのだ。

まぁ、身長差がありすぎて、ミレイヤの顔が俺のお腹ぐらいにあるが、今はそんなこと気にしていられない。


「ユウ、ごめん。もう、この話は今は良い。だから、そんな顔をしないでくれ」


そんな顔?

俺は、今そんなにひどい顔をしているのだろうか。


「お兄ちゃん、今とても悲しそうで今にでも泣きそうな顔をしてますよ」


「ユウ様…」


俺の両手を沙耶とリサがそっと握ってくる。


そして、ミレイヤが、ゆっくりと離れて顔を上げた。

涙を流した跡が、顔にある。

しかし、その目は決意が見えていた。


「ユウ、私はユウの過去に何があったのかは知らない。だから、ユウ。私がお前に今を教えてやる。

お前が生きているのは過去じゃない。今ここに生きているんだ。過去のしがらみがあるなら、私が攫ってやる。

こう見えても、私は強いんだ。ユウを過去のしがらみから攫うのなんて簡単だ。

もう一つ、私は諦めは悪い方なんだ。


ユウ、私はお前が欲しい!これは、騎士団長としてではなく、ミレイヤ=フランジェスとしてユウが欲しい!

覚悟しろよ、私はお前を全てから攫って、私のユウにしてやる!」


最後には、また笑って俺に言ってきた。


ミレイヤ、カッコイイじゃないか。

俺には、その笑顔がまぶしすぎるよ。

元気なだけの子供かと思ってたのに、さすが騎士団長だ。


「それは、聞き捨てなりませんね。お兄ちゃんには私がいるんですから、お兄ちゃんを攫わせはしません」


「ユウ様は、私の未来の旦那様です。そこは譲れません」


「えっ!王女様と婚約してるのか!」


「いえ、まだしてませんが、近い未来にします!」


「また、リサが夢事言ってますね。一度、お兄ちゃんに振られたのに」


「振られてませんよ!?」


「ユウ、なら私と婚約しよう!王女様ほどではないが、私はこれでも貯蓄はあるんだ。それに、私は寛容だからな。遊んで暮らせるぞ!」


「なっ!お兄ちゃんをヒモ男にするつもりですか!騎士団長が、そんなことを催促してもいいんですか!」


「問題ない。なんたって、私は騎士団長だからな」


「私は振られてません…」


なんか、いつも沙耶とリサが言い争っているのに、ミレイヤが増えただけでこんなに騒がしくなるのか。


そんなのを見ていると、先まで俺の中にあった、暗い気持ちが嘘のように晴れていた。


「はっはは」


すると、自然に笑ってしまった。


「ユウ、やっと笑ったな」


「ユウ様、あんな暗い顔は似合いませんよ」


「お兄ちゃんは、笑っていてください」


3人は、言い争いをやめて笑顔で俺を見る。


「あぁ、悪かった。っと、もう暗くなってきてたな。依頼は、明日出発か」


「そうですね、今日はゆっくり休みましょう」


「お腹も減りましたし、帰りましょうか」


「そういえば、食材が何もない…」


今気づいた!完全に食材買うの忘れてた!

今から買いに行ったら、時間かかりそうだな。


「なら、私が作ろう!」


すると、ミレイヤが叫んできた。


「え?いやいや、食材がないんだし無理だろう」


「大丈夫だ、騎士団の詰所にあるから、待っていろよ!」


ミレイヤはそういうと、走って行ってしまった。


「お兄ちゃん、どうしましょう?」


「いや、俺に聞かれても…」


「走って行ってしまいましたね」


そうして、俺たちはミレイヤが戻ってくるのを待っていた。





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