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妹と召喚されました!  作者: 雄也
エルフ編
34/78

剣買います!

俺と沙耶とリサは、ミレイヤに案内されて、ミレイヤ御用達の鍛冶屋に来ていた。


「ダンのおっちゃん、こんにちわ!客連れていたぞ!」


ミレイヤはそういうと、鍛冶屋の扉を勢いよく開けた。


おいおい、ミレイヤは扉は勢いよく開ける人ですか!

向こう側に人がいたらどうするんだか…


「ちょっと待ってろ、打ち終わったらそっちに行く」


すると、店の奥から声が聞こえた。


「おっちゃん、今何か造ってるみたいだから、店に出ている物を見ておこう。ユウとサヤ、王女様はどんな武器をご所望だ?」


「私は、武器はいりませんね。防具が欲しいです」


「私もサヤと同じです。ミレイヤさんは、ユウ様の武器選びを一緒にお願いします。防具はどこに置いていますか?」


「それなら、向こうだな」


そう言って、ミレイヤが指さした方に沙耶とリサは歩いて行ってしまった。


「なら、ユウだな。ユウはどんな武器が欲しい?」


「俺が欲しい武器か…」


俺は、元居た世界で慣れ親しんだ刀が頭に浮かんだ。

元々、大太刀に及ばんばかりの長さの刀を使っていたのだ。

今でも、あの刀が欲しいところだが、ないものをねだっても仕方がない。

でも、それを基準に選んでもいいだろ。


「刀身が細く長いものがいいな」


「細く長いか…私の奴ではまだ太いか?」


そう言って、ミレイヤが腰に携えている剣を抜いて見せてくる。


これは、見ただけでも分かる。業物だ。

白く輝くその剣は、俺の目を惹く。


しかし、刀とは違い剣は、真っ直ぐな形状をしているが、その分『軟』ではなく『硬』が高められており、刺突に適した武器だな。

刀はその逆で、片刃で少し反り返っており、『軟』を保持し斬撃に適した武器だ。


まぁ、剣で斬撃を放つことができないわけではない。

それこそ、剣との相性次第だな。


だが、ミレイヤの剣は細身ではあるが、これでも太い。


「あぁ、もう少し細めがいいな」


「ほぉ、ミレイヤ嬢の剣よりも細くか」


すると、後ろから男の声が聞こえ振り返った。

そこには、ひげを生やした50代ぐらいのおっさんがいた。


「おっと、これは驚かしちまったな。俺は、“ダン=クレスター”だ」


「あぁ、俺は キサラギ ユウだ」


「で、坊主、お前が欲しいと思っている武器だが、あると思うぞ。ちょっと待ってろ」


そういうと、ダンはまた店の奥に行って、しばらくすると戻ってきた。


「これはどうだ?」


ダンが戻ってきた時には、剣を1本持っていた。

鞘に収まっているが、細く長いのが分かる。

ミレイヤの使っている剣よりも、もっと細くされいる。


「抜いても?」


「構わねぇよ」


ダンに聞き、その剣を鞘から抜いた。


黒く輝く剣だった。


うん、手に馴染む。

何度か剣を持ち替え、確認した。


「ダンさん、これで決まりだ」


「ユウ、そんなに早く決めてしまってもいいのか?その剣の材質も聞いていなければ、他の剣も見ていないじゃないか」


「あぁ、これでいい。いや、これがいいんだ。手に馴染むこの感覚は久々だ。それにな、武器は人だけが選ぶんじゃない。武器だって人を選ぶんだって、師匠に教わってるんだよ。だから、この感覚を直感を信じたい」


「なら、いいんじゃないか。いい師匠だ。ユウの師匠ならきっと強いんだろう。戦ってみたいな」


おい、戦闘狂そういう話に持っていくかね。

師匠なら、教育してあげるとか言って、普通にボコりそうだけどな。

まぁ、世界が違うんだし無理だろけどな。


「そうだな、坊主は良い師に恵まれてるみてぇだな。よし、その剣は銀貨5枚だ」


「銀貨5枚!?安すぎないか、ダンのおっちゃん!」


「いいんだよ、そいつは細くて長いから、使い勝手が悪いと売れなかったんだ。それに、その刀身だ。重心が掴みにくいんだ。そんな奴が、使い手を見つけたんだ。そんな喜ばしいことはねぇよ!娘が婿に行くようだ」


なんか泣いてんぞこのおっさん。

でも、そこまで武器に感情を入れれるからこそのこの業物か。

これは、ミレイヤが御用達になるのも分かるな。


「お兄ちゃん、決まりましたか?」


すると、沙耶がいくつか物を持ってきた。


「ユウ様、私たち決まりましたよ」


「おう、俺も今決まったところだ。ところで、何を買ったんだ?」


俺がそう聞くと、沙耶とリサは手に持っていたコートを羽織った。

リサは、赤色のコート。

沙耶は、白のコートか。


「魔術とかに耐性があるようですよ。お兄ちゃんは、これを」


そう言って、俺に1枚渡してきた。


なんか、沙耶とリサがすごい眼差しで見てくるんだが!

ここで着ろということか。


俺は、コートだろうと思い羽織った。


「ユウは、黒が好きなのか?剣も黒でマントも黒か」


俺だけ違うじゃん!

マントじゃんこれ!

それも真っ黒!

夜に着ると、車に轢かれそうになるぐらいの闇に溶け込める黒さだよ!

あっ、この世界に車はないんだな。


「お兄ちゃん、グッジョブです」


「ユウ様は黒がいいですね」


あぁ、この二人はなんか嬉しそうにしてるし。

まぁ、喜んでるならいいだろう。


そう思いながら、俺たちはダンに金を払って鍛冶屋を出た。


「それじゃあ、ユウ。剣を買ったことだし、騎士団に戻って、戦おう!」


あぁ、そうだ。剣を買った後はこれがあったんだ…

俺は、ミレイヤに手を握られて、また、騎士団の訓練場に戻って行った。

沙耶とリサはそのあとをついてきていた。



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