冒険者登録してみます!
俺と沙耶とリサの3人は、王都にあるギルドハウスに来ていた。
ここがギルドハウスか。
でかいな。
そう思いながら、扉を開け俺たちは中に入った。
中は、いろんな装備や武器をした人たちが大勢いて、賑わっていた。
「ユウ様、あそこです。あそこが受け付けですよ。」
リサが指差した方向は、入り口を入りまっすぐ行ったところにあった。
俺たちは、受付をしようとそこに向かって歩いて行った。
そして、そこにいる受付嬢に話しかけた。
「すいません、冒険者登録したいんですが」
俺がそういうと、茶色の短い髪のお姉さんが対応してくれた。
「おいおい、そんななりで冒険者になろうってか?笑わせてくれるぜ、ガッハハ」
すると横にいた、上半身裸の筋肉マッチョが現れた。
上半身裸!?こいつ変態かよ。
お姉さんが対応してくれるはずだったのに、なんなのこの変態。
「おぉ、よく見ると可愛い女連れてんじゃねえか。おいおい、そんな弱そうな男と一緒より、俺たちと一緒に来いよ。夜も楽しませてやるぜ。」
そういって、筋肉マッチョは沙耶の手を取ろうとした。
俺は、瞬時に身体に力を巡らせ、その手を払いのけようかと思った。
そして、沙耶を見ると、あぁ怒ってるな。
リサもローブで顔を隠してるから良く見えないが、怒りのオーラがすごい。
リサが、スゥっと右手をローブの中に隠した。
その際に、俺には少し見えた。魔術式展開しようとしているのを。
沙耶は、手を上げ相手の顔に向けた。
こいつ、死んだな。
俺は、心の中でそう思いつつ身体の力を抜いた。
ドカッ!
「グハッ!」
一瞬の出来事だったが、急にギルドハウスの入り口が開かれたと思ったら、筋肉マッチョは吹っ飛びギルドハウスの外に転がっていた。
そして、筋肉マッチョのいたところには1本に結ばれた青い髪をなびかせながらこちらを笑顔で見るチビ、ミレイヤがいた。
「ユウ!先ぶりだな」
「あ、あぁ」
俺は、気の抜けた返事になってしまった。
イヤイヤイヤ、何あの動き!
一瞬であの筋肉マッチョの背後取ったのかよ!
俺も、目で追えなかったぞ!
俺と手合わせしたときと動きが別格だった。
こいつ、手抜いてたのかよ。
「魔術ですね」
すると、突然横から沙耶が言ってきた。
「正解だ。私の先の動きは魔術によるものが大きい、ユウ、お前が考えてること分かるぞ。お前との戦いで手を抜いていたとか思っているのだろう。
だが、それはハズレだ。もちろん、ユウが魔術を使ってたなら、私も使い応戦するつもりだったが、ユウは使わなかったからな!
私は対等に戦いたいのだ!そして、対等に全力の剣術でユウに応戦したが、負けてしまった。初めて負けたぞ、ユウ!
負けとはこんなに悔しいものなのだな!」
まてまて、負けたことがないってマジかよ。
こんな子供相手に、騎士団大丈夫かよ。
「っと、ユウの臭いがしたから来ただけだった。私は、まだ仕事中だから失礼するぞ!
ユウ!また、戦おう!」
そういって、ミレイヤはすぐに出て行ってしまった。
嵐のように来て、嵐のように帰って行ったな…
って、臭いで俺に気づくって、犬かよ!
「ギルドハウスの外まで臭うって、俺そんなに臭いかな?」
「そんなことないですよ。あの人がおかしいだけです。私はお兄ちゃんの臭い好きですよ」
「そうです、ユウ様におい私も好きですよ」
あぁ、臭うのは臭うんですね。
この世界に温泉とかってあるのかな。
今すぐにでも入りたい…
そういえば、ギルドハウスの外に転がった筋肉マッチョ、ミレイヤに回収されて行ったな。
ちゃんと騎士団としては働いてるんだな。
未だに騎士団長とは思えないけど。
ミレイヤが登場してから静まりかえっていたギルドハウス内は、また賑やかになり始めた。
「あいつら何者だよ」
「騎士団長と知り合いとか…」
「騎士団長あいつに負けたって言ってなかったか?」
「嘘だろ、あの無敗の騎士団長が!?」
「聞き間違いだろ…」
そんな話が、チラホラと聞こえてくる。
まぁ、今はそれよりも冒険者登録だ。
「お姉さん、冒険者登録お願いします」
「あ、はい。手続きをいたしますね。登録するのは3人でよろしいですか?」
「はい」
ギルドのお姉さんに再び話しかけ、冒険者登録の手続きを開始した。
しかし、俺一人だけ最初から躓いていた。
一番最初に紙に名前を書く必要があった。
「キサラギ サヤ さんに リサ=ミラージュさん!?おうじょ…ンッ!」
お姉さんは、リサの書いた名前を見た瞬間、王女だと叫びそうになっていた。
それを、リサは慌てて口をふさいでとめた。
「私のことは内密にお願いします」
お姉さんが何回か頷くと、リサはふさいでいた手を離した。
「失礼しました。では、お二人は、ステータスをお見せください。」
お姉さんがそういうと、沙耶とリサはステータスを表示させ、お姉さんに見せていた。
「はい、いいですよ。キミは名前かけましたか?」
沙耶とリサが終わると次は俺に来た。
「お兄ちゃん、これは貸しですからね」
沙耶はそういうと、俺の紙に記入していく。
そして、記入が終わるとお姉さんに渡した。
「シスコン ヘンタイ さんですね…」
「違いますから!何書いてんの沙耶!」
「すいません、覚えたてで間違えました」
「そんな間違え方あるかな!?」
お姉さんは、俺を変な人見たいに見てるし。
「ユウ様、次は私いいですか?」
「そういうネタで出すものじゃないからね!」
そんなことをしながらも、リサは俺の名前をちゃんと書いてくれた。
「キサラギ ユウ さんですね。 では、ステータスを見せてください。」
そういわれ、俺はステータスを表示させて全てお姉さんに見えるようにした。
《ステータス》
【名前】キサラギ ユウ (人族)男
【Lv.】6
【称号】 シスコン、バカ、女の子2人を侍らせる女の敵、女の子2人と寝る男
【能力値】体力 :665/665 魔力:730/730
【スキル】 ???
「全部見せる必要は…へ?」
お姉さんは、ステータスを見るとこちらをチラチラと見てきた。
しまった、能力値隠すの忘れていた。
「女の敵…最低…失礼しました。ステータス消してもらっていいですよ。というか、早く消してください」
え~なんか、急に態度変わったんだけど!
てか、女の敵とか、最低とか言われたんだが!
俺は、慌てて自分のステータスに目を通す。
なんか増えてるんですけど!
【称号】のところに、変なのが2つも増えてるんだけど!
それって、称号なのか!
「お兄ちゃん、どうしたんですか?」
「ユウ様?」
「いや、なんでもない」
俺は、慌ててステータスを消す。
これは、あの幼女(女神仮)の仕業だろ!
あいつ、俺に恨みでもあんのかよ!
次ぎあったら文句言ってやる!
そうしながらも、俺たちは冒険者登録を進めていったのだった。
俺は、お姉さんの目を見るのが怖くて、ずっと下を向いていたけど。




