女神様は悩んでみます…
〜女神メーラside〜
妾とライは、1つのモニターを眺めていた。
そこには、異世界へ召喚された 如月 悠が映っており、向こうの世界にいる騎士と戦闘していた。
「ライよ、あ奴の動き…」
「そうですね、おそらく経験による動きですね。彼は、そういった経験が豊富だと考えられますね」
そうだ、いくらステータスが高くても、戦闘では経験がものをいう。
感や動作は、身体能力が高ければいいというものではない。そういったものは、経験によって、高められるものじゃ。
だから、戦闘において経験の差は勝敗を左右することが多いのじゃ。
「どこで経験をしたんじゃ?あ奴の元いた世界では、戦争はあったが、あ奴の住んでいた日本では、戦争なんてなかったはずじゃ。たとえ、喧嘩などをしていたとしても、それは全く違うじゃろ。
何にどうして経験が豊富なんじゃ」
「私に聞かれてもわかりませんよ。それにメーラ様が彼を監視していたんでしょう。メーラ様の方が詳しいじゃないですか」
ライよ、なんか態度が悪くなってきてる気がするんじゃが。まぁ、今は良い。
確かに元いた世界のあ奴を監視…もとい、見守っていたのは妾じゃ。
だが、そんな経験をしとるようなことはなかった。
やはり、空白の4年か。
そうこうしてるうちに、戦闘は終わった。
しかし、すぐにあやつの表情が変わり、焦ったように走り出した。
「動き出しましたね」
「そうじゃな。ライよ、あやつのステータスを表示しておくのじゃ。ステータスに多少の変化があるかもしれぬ」
そういうと、ライは手を前にかざし、その手が一瞬光ると、あ奴のステータスが表示されていた。
《ステータス》
【名前】キサラギ ユウ (人族)男
【Lv.】5
【称号】 シスコン、バカ
【能力値】体力 :200/660 魔力:730/730
【スキル】 ???
多少、Lv.が上がっておるのと、能力値も上がっておるの。
先の戦闘とかで経験を得たからじゃろうな。
「メーラ様、始まりますよ」
なんか、映画を見ているようじゃな。
妾を楽しませてくれるのじゃぞ、悠よ。
って、言ってるそばから吹っ飛ばされておるじゃないか!自分から突っ込んで行きよったし。
しかも、拘束されたことにすら気づいておらぬじゃと!
「彼は、魔力とかには耐性無いようですね。身体は丈夫なようですが」
「そうじゃな、っと、妹の方が助けよったか」
召喚されて、すぐ殺されてくるとかやめるのじゃぞ。
見ているこっちが、ハラハラするではないか。
「彼女は、魔術の使い方を覚えたようですね。
綺麗な魔術式です。この短時間でここまで無駄のない魔術式を使えるなんて、素晴らしいです」
「そうじゃな、魔力の消費の発動にかかる時間も威力も無駄がないからこそじゃな。この兄妹は…」
それからは、悠と沙耶は別々に戦闘をしていた。
妾たちは、ハラハラしながらもそれを見ていた。
そして、戦闘は無事に兄妹が勝利し終わった。
じゃが、妾とライは戦闘が終わった後も、ポカーンとモニターを見ていた。
「ライよ、あれはなんじゃ?」
「わかりませんよ…」
あれとは、悠が《リミット解除》といった時じゃ。
「ライよ、その時のステータスはとっておるか?」
「もちろんです」
そして、ライはもう一つモニターを出してきた。
そして、そこに映し出されていたのは、悠が《リミット解除》といってからのステータスじゃ。
《ステータス》
【名前】キサラギ ユウ (人族)男
【Lv.】5
【称号】 シスコン、バカ
【能力値】体力 :500/860 魔力:730/730
【スキル】 ???
体力が突然、上昇した。
ステータスは、潜在能力を表したものじゃ。
潜在能力が一気に上がった?
じゃが、魔力に変化はなかった。
体力だけ?どうしてじゃ?
考えても分からん。
「あぁ〜もう、訳がわからんのじゃ!」
「考えられるのは、潜在能力が覚醒したから。
それか、元々の潜在能力に誤りがあるか。
しかし、どちらも魔力に変化がないのはおかしいですね。
なら、意図的に潜在能力を欺いているかもしれないですね。」
「意図的にじゃと?そんなことできるはずなかろう。神の与えたものを欺くなど、人の身でありえんのじゃ。それに、欺く理由が見当たらない。」
そう言いながら、仮定を立てては、違うと何回も行い、結果は分からんかった。
「気になるのじゃ!」
「直接本人に聞けばいいじゃないですか!」
本人に聞けじゃと。
「それは嫌じゃ!あ奴に負けた気がするからのう!」
「ワガママですね。」
ライはそういうと、考えるのをやめ、あ奴が映るモニターを見始めた。
そこに映ってたのは、女性2人とピッタリとくっつき寝ている状態だった。
なんじゃあ奴!妾がこんなに悩んでるとも知らずに!
そうじゃ!
クックク、覚えておれよ悠。
妾を悩ませた罰じゃ。
〜如月 悠side〜
「くっしゅん!」
「お兄ちゃんどうしました?」
「ユウ様大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫」
なんか、すっごい悪寒が走った気がしたんだが。
すぐにあの幼女(女神仮)の姿が浮かんだ。
なんか、嫌な予感がするんだが。
まぁ、いいか今はこの至福のときを堪能して寝るとしよう。
俺は、この時のことを後々、後悔するのだった。




