それぞれの想い~女神メーラside~
あの男どうなったのであろう?
妾は何もない空間で転がりながらそう思っていた。
この前、召喚された如月兄妹。
最初からガキという魔獣に襲われていたが、何かあれば最初だけは助けてやろうとは思っておった。
だが、そんな私の考えとは他所にあの男は容易く倒して行きよった。
魔獣といえども、あそこまで圧倒的だと、見ていても面白くないのう。
もっとあるじゃろ、最初は苦戦しながらもやっとの思いで勝つハラハラ感。そして、次第に強くなっていく成長をしていくワクワク感とかじゃ。
あれじゃあ、ハラハラもワクワクもないではないか。
実に面白くないのう。
そう思い、ライに丸投げしたのだ。
「メーラ様、そんなところに転がってないで仕事してください。女神として、仕事あるでしょう。」
ライは、モニターを見ながら言ってくる。
「ライよ、女神は存在してることに意味があるのじゃ。私が存在していることは、仕事をしているのと同じなのじゃよ。」
「なに意味の分からないこと言ってるんですか。こんな女神は嫌ですね。」
ライは、はぁ~とため息をついておる。こやつ、私に対して少々失礼ではないかのう。
だが、いつも御小言はいうものの私にいつもついてきてくれるからのう。
「そういえば、お主に監視を頼んだあの男はどうなっておる?」
「そうですね、魔力の素質は全元素適正あり。魔術だけではなく魔法も使用できるようです。メーラ様、何かあの方にどれだけ力を与えたのですか?」
「魔力の素質は天性じゃろう。妾はそこまで力を与えておらぬぞ。与えたのは、称号と向こうの世界に合った身体形成だけじゃ。あとは、あ奴らの元々持っているものじゃろうな。」
そう、妾はあの二人に与えた力はそこまでない。
世界が変わることで、身体に悪影響が出ないようにしたのと称号を与えてやっただけじゃ。
称号には、不満を言われたがな。
「そうだとすれば、あの方たちは恐ろしいですよ。確かに今のままでは生きていくだけの力があるだけでしょうが、あの歳ですし、まだ成長はするでしょう。それに、魔術や魔法を使いこなせるようになれば、あちらの世界でも、強者、いえ、それすらも超越できるかもしれないですね。」
ライはまたはぁ~とため息をついておる。
そんなにしょっちゅう溜息ばかかりついておると、幸せが逃げるぞ。
「そういえば、あの兄妹に動きがありそうですよ。」
「そうなのか!妾にも見せてみ。」
あの男のことが少しでも分かるかもしれぬ。
そう思うや否や、ライに詰め寄った。
「メーラ様興味あるなら、ずっと見ていればいいじゃないですか。どうせ仕事しないんですから。」
む、やっぱり失礼な奴じゃ。
だが、今はあ奴のことじゃ。
映し出されたモニターを私はライと一緒に眺めることにした。
これは別に、あ奴のことを好いておるとかそういうのではないぞ!
妾のことを幼女やらいろいろ言ってくれる奴じゃからのう。
あ奴の力が見たいじゃけじゃ。
妾は自分の中で誰かに言い訳しながらも、その時を待つ。




