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プロローグ

公爵家の長女エレオノーラは、政治的諸般の事情から、未来の修道院院長候補として、修道院に入れられてしまうが、ショックのあまり前世の『人格』が表に出てしまう。怖い貴族の権謀術数を離れ、異世界でのんびり修道院ライフを楽しむはずが、またしてもお家の事情で修道院と俗世をいったり来たり。レオノラの明日はどっちだ?。

もうすでに、エタりそうですが、のんびり行きます

まだ『修道院院長』はないよね?ってことで…、

  その夜、レオノラが自室から外に出たのは偶然だった。

  (おみず…)

  いつもベッドサイドに水差しがあるのだが、今夜に限って中身は空だった。毒殺を恐れて、その水差しの水以外は飲んではいけないと、母や乳母やにきつく戒められている。

  いつもなら、呼べば控えの間にいる夜番の侍女が答えてくるが、今夜に限って呼鈴を鳴らしても反応はなかった。

  少し考えてから、レオノラはベッドから抜けだした。乳母か執事、もしくは自分付きの侍女を見つけて、水を用意してもらうのだ。レオノラは夜に大人達がいる棟を目指ざした。


  子供部屋は、館の主一家の私室がある棟の最奥にある。まず『家族の居間』に顔を覗かせたが珍しく誰もいなかった。レオノラは不思議に思って、人の気配がある方角へ足を向けた。なにやら館中が慌ただしい雰囲気のがあるだが、誰とも会わない。人払いをしているのかもしれなかった。そこへ執事と女中頭がワゴンを運んできた。いつの間にかレオノラは父の書斎のある通路まで来ていたららしい。普段は呼ばれなければ近づきもしない場所だ。ためらったが水は欲しかったし、執事なら女中達にきちんと手配してくれるはずだと思い、声をかけようとした。

  ちょうど執事がノックし、書斎の中からいらえがあり、扉が開かれた時だった。

  「ルクレツィアをやるわけにはいかん!」

  父の珍しい怒鳴り声だ。

「修道院にはレオノラを、エレオノーラを入れる!」

  息が止まった。どうしてレオノラが修道院にいかねばならないのか!。公爵家の長女である自分は政略結婚で親の決めた相手に、場合によっては外国に嫁ぐことがあるかもしれないが、『物語の没落令嬢』にでもならない限り、修道院に入ることはない。妹達の誰かが『神の家』に入ることはあり得るかも知れないが、長女の自分の役割ではなかった。

  (お父様、どうして?。)

  レオノラは目の前が真っ暗になった。

 


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