ダンジョンの考察レポート
『ダンジョンの性質とモンスターの発生の関連性等に関する考察』
ダンジョンは周囲の余剰熱を吸収する性質を持っている事が明らかになっている。
その吸収された熱量がどこに行っているかに着目した結果この仮説を考案する。
吸収された余剰熱がダンジョン内の何らかの物質と反応を起こす事によってモンスターは発生することが予想される。
その物質には熱許容量があり反応した際の余剰熱の度合いによってモンスターの強さが変動すると思われる。
モンスターの強さと熱量の関連性は非接触型の温度計を使用し強さの違うモンスターの体温を計測した結果強いモンスターほど体温が高い事から予測した。
基本的にモンスターは同種の個体であれば体温のばらつきは0.℃単位であるが時折現れる希少種と呼ばれる個体は通常種に比べて1.5倍以上の体温の違いが観測されている。
この事からモンスターが他の生物に好戦的であるのは食事の為ではなくその生物の持つ熱量を取り込むためではないかと思われる。これは実験による結果から信頼度の高い予測であると思われる。追記1を参照。
実験レポート:モンスターにラット等の小動物を与える実験
T-2ダンジョン内で実験用に確保してあるA2区画にて捕獲されたゴブリンに小動物を与える実験を行った。
このゴブリン達をG1、G2、G3、G4、G5、G6と呼称する。
G1には特に何も与えず定期的な体温の変化、通常の生物が行う生理的行動を観察する。
G2、G3には定期的に生きたままのラットを与え同様に体温の変化、生理的行動の観察を行う。
G4にもラットを定期的に与えるがG2、G3の倍の回数を与え、同様の観察を行う。
G5にはモルモットを生きたままG2、G3と同様の回数で与え、観察を行う。
G6にはモルモットをG4と同様の回数で与え、観察を行う。
1日目の経過
G1:体温の変化なし、生理的行動も見られない。
G2:0.1℃ほどG1と体温に差があるが誤差と思われる可能性が現状高い食後は体温が上がる事もあるし多少はね。生理的行動も無し。
G3:G2と同様。
G4:0.3℃ほどの体温の変化があるがG2、G3と同じく誤差の可能性が高いと思われる。生理的行動は無し。
G5:体温はG4と同じく0.3℃ほどの変化。生理的行動は無し。
G6:1℃ほどの体温の変化あり。生理的行動は無し。病気か何かだろうか?要経過観察。
2日目
G1:初日と同じ変化無し。生理的行動も無し。
G2:初日の最終体温からさらに0.1℃の上昇。排泄あり。
G3:G2と同様。
G4:0.3℃の上昇。排泄あり。G2、G3よりも量が多い。くさそう。
G5:0.4℃の上昇。排泄あり。G4より少なめ。
G6:1.1℃の上昇。排泄あり。G4の凡そ2.5倍の量。くさい(確信)。
3日目
前日に排泄があったため檻の清掃をしなければ・・・。
何故か排泄物らしい匂いはせず生臭い匂いがする。不審に思ったため排泄物を個別に回収し検査に回す。
G1:変化無し。生理的行動無し。
G2:0.1℃の上昇。排泄あり。前日と同様の量。
G3:G2と同様。
G4:0.3℃の上昇。排泄あり。
G5:0.3℃の上昇。排泄あり。
G6:1.1℃の上昇。排泄あり。このまま上がっていったら5日目には死んでそうだ。
追記1:どうやら分析の結果排泄物ではなく排出物との事だ。例えるならまるごとミキサー。成分的には生きてる状態の物と何ら変化してないらしい。
15日目
G1:初日と同じ変化無し。排出無し。死亡。
G2:0.1℃の上昇。排出あり。重症。
G3:G2と同様。重症。
G4:0.3℃の上昇。排出あり。中傷。
G5:0.3℃の上昇。排出あり。軽傷。
G6:1.1℃の上昇。排出あり。脱走発生。討伐に成功。
問題発生。G6が檻を破壊し脱走。他の実験対象に攻撃を開始。待機している討伐隊が出動し無事鎮圧に成功した。
死体を検査したところG1と比べ外見的な変化と筋肉の発達した様子から、希少種に変化したと思われる。
生存しているG2〜G5は討伐隊の魔法保持者に依頼し治癒を完了。変化条件の見定めの為実験を続行する。
実験終了。
変化条件としては体温の15℃の上昇が現状最も高い。他のモンスターでの実験を推奨する。