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第8話 なつやすみ4
「先輩、わたしと会えなくて寂しかったですか」
お盆明けの部活の帰り道。わたしはいつものように先輩とじゃれていた。
もう一緒に帰るのが、当たり前になってしまった。習慣化とはこわいものだ。もうふたりのなかでは、一緒にいることが普通になっていた。
「うーん、べつに」
「なんですか、それ。つれないな」
わたしは簡単に不満をいう。
「おまえはどうなんだよ」
先輩がぶっこんできた。最近の先輩はかなり積極的だ。
「えっと」
なぜか、顔が赤くなるわたし。へんな汗までかきはじめてしまう。先輩はそれをニヤニヤしながらみている。こいつ確信犯だ。
「……少しだけ寂しかったですよ。ほんとうに少しだけ」
「そりゃ、どうも」
先輩がからかってきた。
「どういたしまして……」
今回は完全にしてやられた。
「そうだ、先輩。お土産買ってきたんですよ。あの公園のベンチで食べましょうよ」
慌てて話題を変えるわたし。
「おまえも食うんかい」
「それはそうですよ。わたしが食べたいものを買ってきたんですから」
こうして、わたしたちの当たり前の時間が過ぎていく。幸せな当たり前の時間が過ぎていく。