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第3話 さいしょ
わたしと先輩の最初の出会いは正直、おぼえていない。たぶん、部活の勧誘が最初だったはずだ。とくに入りたい部活もなく、ブラブラ見学してたら、誘われてホイホイついていってしまった感じ。我ながら情けないほど、適当な出会いだった。
そして、いつから先輩のことが好きになったかも、はっきりとはおぼえていない。なんとなく、気になりはじめて、なんとなく好きになっていた。もともと、わたしはこういう性格なので、男女へだたりなく友人はつくれるのだけど、先輩への感情は特別だった。
こんな感情になったのもはじめてだった。なんで、あんなひとを好きなったかはわからない。やる気があるわけでもない、勉強はできるけど、スポーツはそれほど。中肉中背のフツメン。ネガティブなイメージを思いつけば、思いつくほど、それを否定したくなる気持ちも強くなる。
「大好きです」
ひとりの部屋ではどうしてこんなに真剣にいえることが、あの人の前ではふざけた感じになってしまうのだろう。
わたしは落ち込みつつ、部屋の電気を消した。