第1話 お祭り<前半>
ただ、ひたすら甘いものを目指します。甘さ100%。目指すは趣味全開のイチャイチャラブコメディ。
部活終わりにわたしは先輩に話しかける。いつものように部室で気安く。
「ねぇ、先輩。今度、お祭りにいきましょうよ」
「はぁ」
「夏祭りあるじゃないですか。駅前でやるやつですよ」
「そんなの友だちといけばいいじゃねーか」
「友だちは彼氏と行くって言ってて、行ってくれないんですよーだ」
さぁ、どんな反応を示すか?
「人混み面倒だな~」
<チッ>こころの中で舌打ちしたわたしは、あきらめきれずにたたみかける。
「そんなこといわないでくださいよ。先輩が女の子とお祭りに行ける最後のチャンスですよ。いいんですか」
「お前な~」
「それにいまならわたしの浴衣姿がついてきますよ」
「うーん」
「そうですか、はー」
もうダメかな。あきらめかけていたわたしは、ため息をついた。
「しょうがないな。かわいそうだからいってやるよ」
「ほんとうですか!じゃあ、駅前に6時でお願いします」
先輩と別れた後、わたしはつぶやく。
「ずるいですよ、先輩。もうダメだと思っていたのに……。それを裏切られたら、もっと好きになっちゃうじゃないですか……」