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第1話 英雄の日常 PART3

 「ったく、何で朝からこんな目に遭わなきゃいけないんだよ……」

 ボロボロの姿をした英雄がそう(つぶや)きなら登校した。

 そして自分の教室を誰にも気づかれずにゴキブリのような速さで通過していき、屋上の扉まで辿(たど)り着いた。

 (今、授業中で助かったわ……学校が終わるまでここで時間を潰すか)

 英雄は先程より少し顔に笑みを浮かべながらその扉を開けた。

 するとそこには1人の少女が空を見上げ立っているのが見えた。

 整った顔、透き通った肌。それに加え、

 晴天の澄んだ空とは比べ物にならないほどの鮮やかな青色の目と髪。

 その美しさに英雄は一瞬、目を奪われてしまった。

 そう、一瞬だった……

 ぎゅるるるるるるるるる

 お腹の音が鳴るとともに少女は前へ倒れこんだ。そして、

 「う~お腹空いたよ~お腹空いたよ~」

 そう連呼しながらゴロゴロ転がっていた。

 その姿に英雄は唖然していた。それもそうだ、同じ人物のはずなのに今の姿は美しさの「う」の字もないものだったからだ。その時、

 「「あっ」」

 英雄は少女と目が合ってしまった。

 「あの……」

 バタンッ 

 少女が話しかけた瞬間に英雄はドアを閉じ、階段を早足で下りていった。

 「あれには関わらないほうがいいな」

 「ちょっと待ってぇ~あっ」

 「ぎゃぁぁぁぁーーーーーー」

 追いかけてきた少女は足を滑らし英雄の方に向かって落ちていった。

 

 「いてててて、おい大丈夫か……って何で被害に遭ったこっちが心配してんだよ」

 英雄は一度気絶している少女を起こそうとしたものの体が痛むのでそのまま休憩することにした。

 (美少女が階段から落ちてきて、男女の体が密着する状況はもう少し夢のあるものやと思ったんだけどな)

 少し時間が経ち、体の痛みも和らいだ時、

 「ていうか、こんなところ人が来たら絶対に誤解されるわ。おい起きろっ起きろって」

 英雄は少女の体を揺さぶって起こそうとした。

 「うっう~ん」

 「あっ起きたか、速くここから移動するぞ」

 「なんで、移動するんですか?」

 「なんでって人に見られたらまずいからだ……ってあれっ……」

 英雄は横を見上げると、そこにはこの学校の制服を着た女子生徒が立っていた。

 (このタイミングで一番会いたくない奴に会っちまった)

 英雄は不快感をあらわにした顔をして深いため息をついた。

 「そうですか、分かりました。では、失礼しました」

 「い、委員長、ちょっと待って、違うんだ」

 走り去ろうとした委員長を英雄は呼び止めた。

 「何でしょうか?」

 「念のため聞くけど今から何するつもりだ?」

 「何ってあまり学校に来ないひきこもりの英雄さんが卒業する前に最後の思い出として学校で美少女とニャンニャンしていることを全校生徒に広めるつもりですが何か?」

 「『何か?』じゃねーだろ!!ていうか、ニャンニャンって古っ、今どきの中学生使わないだろ。」

 「まさか、無理やりですか!?」

 「だから、違うって……分かった、500円でどうだ?」

 「2人同時にするとは思春期男子の体力は凄いものですね。ですが私を買うにはもう少し出してもらわなければいけません。500円ならパンチラ1回分ですがいかがですか?」

 委員長は少しスカートを軽くめくった。

 「500円で1回か……ってちげーよ、誰がお前を買うって言ったんだよ。500円あげるから黙っといてくれないかって言う意味だよ」

 「服従プレイですか?」

 「おい、委員長はこっちのことをどんな人間だと思ってるんだよ……」

 (毎回毎回すました顔でよく変態発言を言えるな委員長は)

 「チッ分かりましたよ。2080円でどうですか?」

 「おい今舌打ちしなかったか?ていうか高いな……それこっちの持ち金、全部じゃねーか!!何でこっちの(ふところ)事情を知ってんだよ!!」

 「でっどうするんですか?」

 「くっ……1500円でどうだ」

 「みなさーん、佐藤英雄君がー階段で美少女とーニャンニャ」

 「清歌(せいか)委員長様ー2080円納めますので、どうかおゆるしをーーーーー」


 委員長――清歌

 目はゆるやかに美しく、クールな雰囲気を漂わせる……が、

 思春期な男子には危険な商売上手な委員長。










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