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Double Life  作者: Toki.
55/60

番外編〜ホワイトデー〜





「ん〜♪」


…さっきから、なんだか明日香の上機嫌な鼻歌が俺の部屋まで聞こえてくる。


多分、この距離からしてキッチンなのだろうが…。


「こ〜して、こ〜すると〜♪」


こいつ、何言ってんだ。


俺は何か恐怖を感じて、布団の中に包まっていた。もしかして、今日はご馳走…?


それなら全然いいのだが…。


今日はなんの記念日だって言うんだ? 3月14日? 一ヶ月前はバレンタイン、一ヵ月後は…特に何もないな。


そういえば世間一般ではホワイトデーってやつをやっていたはずだ。俺も先月のこの日に、明日香からチョコレートを貰ったからな、一応お返しってのは用意している。


しかし、なんだ。


明日香はなんで今日はごんなに上機嫌なのだ? いや、上機嫌なことは決して悪いことじゃないんだけどさ。


いつも元気がいいあいつが、ずっと黙っていたらそれはそれで気持ち悪い。


だけど、今日は何かおかしいのだ。


この一年居る俺が言うんだ。間違いない。


いっそのこと、このドアを開けて「明日香、なんか上機嫌だなぁ!」なんていってみようか。


もし、他に好きな人が出来たの…。とか言われたら、俺は立ち直れないけどな。


さて、どうしたものか。


…よし、腹をくくろう。


俺は心の中でそう呟いて、布団から勢いよく飛び出した。


「いくぞ!」


キッチンには聞こえないほどの声で、俺は部屋の中で両手をあげながらそう言った。


いざ、出陣!


俺は自分の部屋のドアに手をかけると、右にドアノブを回し飛び出る。


結構の音が出たのだろう、明日香の小さい悲鳴のようなものが聞こえてきた。


「明日香、どうした!?」


俺は小走りで明日香のところへ行くと、明日香はおろおろしながら俺の目の前に立ちはだかった。


「えっと、なんでもない! その、寝てたんじゃ…?」


「いや、今さっき目が覚めてさ」


30分も自分の部屋でこもっていたなんて言えない。


「あ、あのね! ちょっと買出しに行って欲しいなぁって…?」


「買出し?」


珍しい。明日香が俺に買出しを頼むなんて。


「…何してるの?」


俺は目の前に立ちはだかる明日香を避けるように、奥のほうを見た。ここからじゃ明日香に丁度視界をさえぎられてキッチンのほうが見えないからな。


「な、なぁんにもだよぉ!」


「…何も?」


明日香は高速といえる早さで首を縦に振った。


「…まぁ、いいや」


そこまで見て欲しくないのなら、と思い俺は一歩下がる。


そこで明日香の安堵の息が漏れたのが聞こえた。



怪しい!!



「明日香ぁ?」


明日香の顔をちゃんと見て言うが、明日香はちょっとうろたえるだけ。なんか「うぅ、」とか言っていて可愛いんだ、これが。


「…分かったよ。何買ってきたらいいの?」


「え、えっとね、えっと…マヨネーズ?」


「最後にハテナをつけるな」


「マ、マヨネーズ!」


「はいよぉ」


俺は手を上げて、部屋から財布を持って玄関から近くのスーパーへと向かった。













マヨネーズを買って、家に戻ると、明日香はいつものようにリビングのソファーに座りながらテレビを見ていた。


さっきのはいったい何だったんだ?


あまり追求して欲しそうではなかったし、前みたいに明日香を疑うのも正直嫌だ。


し、信じてみよう!


俺は心の中で大きく頷くと、明日香が座っているソファーへと向かった。


「よっ」


「あ、マヨネーズありがとうね♪ えっと、お金お金」


「いいよ、俺が持っとく」


「そう?」


「あぁ」


ここはいっちょ男らしいところを見せておかないとな。


「そういえば、今日のご飯は?」


「ん、野菜いためにしようかなぁって。嫌だった?」


「ううん、俺野菜好きだし大歓迎だよ」


ありがとう、と感謝の言葉を言うと、明日香は照れながらどういたしまして、と答えてきた。
















さて、本題に戻ろう。


なんだこの異様な雰囲気は。


明日香がご飯を作り終わって、俺が席に着くと、明日香が急にそわそわとしだした。


「ど、どうした?」


「え、え、な、なんでも! ほらほら、早くご飯食べよ!」


「あ、あぁ」


俺は明日香の言うままに、ご飯へと手をつけた。


いったい、何だって言うんだ?


ご飯中も明日香は落ち着く様子を見せないし、俺はといえばそんな明日香を見て会話をする余裕もなかった。


何か言われるんじゃないかって怖くて。


…いやいや、信じるって決めただろ。


「明日香、なにかいいことでもあったの?」


明日香は俺がそう聞くと、待ってましたといわんばかりの笑顔を見せる。


「え?」


その表情にビックリして、俺はおもわずだらしない声をあげてしまった。


「ご飯、食べたら言うね!」


顔が赤くなっているのは気のせいじゃないだろう。


俺は明日香の意図を全く読めずに、ただご飯を早く消費することだけを考えていた。


そして、二人はご飯を食べ終わる。


「じゃじゃあん!」


明日香は冷蔵庫から、可愛く包装された何かを取り出してきた。


「何これ?」


「今日は、ホワイトデーでしょ?」


「あぁ」


だからね、と呟きながらニッコリ笑った明日香の口から思いもよらない言葉が出てきた。


「だから、逆クッキー!!」


「え?」


「ほら、今年のバレンタインは逆チョコってのがあったでしょ? だからこれ、逆クッキー!」


ニッコリ笑っている明日香を見て、俺はあっけに取られていた。


「あれ、面白くなかった?」


多分、明日香の中では最大級のボケだったのだろう。いや、もしかしたら本気なのかもしれない。


「あ、ありがとう」


俺は目の前に突き出されたそのクッキーを手にとった。


「初めてクッキー作ったから、上手に出来てるかわからないけどね」


アハハと照れるように頭をかく明日香を見て、思わず手が伸びてしまった。


すっと明日香の頬に指が触れる。


「え?」


「すっげぇ可愛い…」


心の底から出た言葉に、俺ははっとなって手を離した。


やっべぇ、耳が痛い…。


「あ、ありがとう」


明日香は顔を真っ赤にしながら、俺に笑ってそう言った。


…そうだ。


「ホワイトデーで、俺が渡すんだろ?」


俺は隠していた、明日香のために買ったプレゼントを部屋から持ってきた。


「ん、渡す順番が多分逆だとは思うが」


ニッコリ笑って、プレゼントを明日香へと渡した。


「開けていい?」


「もちろん」


俺は椅子に座りなおすと、楽しそうに包装を開ける明日香を見る。


「マフラー…」


「俺のセンスで選んだからな…。まぁ、明日香の容姿なら何つけても似合うと思うが、嫌なら言ってくれ。返品してくるからさ」


明日香は部屋の中だというのに、そのマフラーを俺の前で巻いてくれた。


「ありがとう、とっても嬉しい!」


明日香の声は今にも泣きそうなぐらい震えていた。


「喜んでくれて、マフラーも安心してるよ」


マフラーを頬に擦り付けたりする明日香を見て、俺は思わず頬が緩んでしまった。


「ねぇ、風紀」


「ん〜?」


「今日、一緒に寝よっか?」


「ば、馬鹿いってんじゃねぇよ!」


俺は恥ずかしくなって顔を背ける。


お前の寝顔なんて見たら、俺どうなるかわかんねぇっつうの。


顔が真っ赤になるのを隠したくて、俺はトイレに立った。


















読んでくださって、ありがとうございます。

思いつき思いつきの作品です。

さて、ギリギリ14日に公開できました。

こっそりこっそり更新、更新♪


ちょっとした宣伝? ですがDouble Life 〜After Story〜 もそろそろ中盤ですね。

ではでは!

皆さんもいいホワイトデーでありましたことを…。

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