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Double Life  作者: Toki.
54/60

番外編4〜1月11日〜




新作? です。

こう言っちゃ恥ずかしいのですが、11日が作者の誕生日でした。

皆さんにお礼のつもりで新作も公開でき、嬉しく思っています。

そんなこんなで、思いついたのがこのネタ…じゃなくて、作品です。

ちょっぴりシリアルなDouble Lifeも楽しんでもらえたら嬉しいと思います。






雪が降る季節。


新しい年を迎えて、二度目の土曜日。


俺はある物音で目が覚めた。


「ん…明日香?」


ドアの向こうにいるであろう明日香の名前を俺は呼んだ。


明日香と付き合い初めて約2ヶ月。あれからは前以上に俺は毎日が楽しくなった。


「え、あ…風紀?」


俺を見たとたんに明日香は慌て出す。


…何、隠してんだ?


「どっか行くの?」


明らかに外に行く格好。


明日香が俺に何も言わずに、出て行くなんて珍しすぎる。


「え、あ…ちょっとね」


あはは、とあきらかに何かを隠しているような笑い方。


…怪しすぎる。


「明日香ぁ?」


俺はニコッと笑って明日香に一歩近づいた。


「え!? いや、何も隠してないって! うん、大丈夫! じゃ、じゃあ行ってくるね!」


明日香は俺から逃げるように、すばやく家から出て行った。


「……」


なんだ?


気になる、とっても気になる。


もしかして、あの日以来俺が明日香に触れてないから、あいつ拗ねて他の男を好きになったのか?


…考えたくも無いな。


明日香は二股できるほど器用な奴じゃないと思うし、今まではあんな動揺した明日香はそうそう無かった。


今日だけ?


強引に男に言い寄られて、断れ切れないからほいほいデートに付き合う。


…ありそうだ。


何かやましいことでも隠しているに違いない。


俺は明日香が出て行ったドアを見つめた後、すぐさまに服を着替えた。












「さっむ!」


外に出てみると、思った以上に寒かった。


今にでも雪が降るんじゃないかって思うぐらいに。


「…明日香はどこいったんだ?」


明日香が家を出てから10分ぐらい。あいつの足と体力を考える限り、そう遠く行っていないはずだ。


チラッと周りを見渡す。


家を出て右に行けば学校の方面なのだが、明日香の好きそうな場所はない。


左に行けば、皆が行くショッピングモールやゲームセンターなどがある通りに出る。


「左か」


直感だが、俺は左方向へ進んだ。


軽く走りながらその道を走っていると、早くもマフラーを巻いて可愛らしい手袋をはめている明日香を見つけた。


「〜♪」


なんか上機嫌だ。


ニッコニコ笑ってるし。あんな楽しそうな明日香、俺もたまにしか見ることが出来ない。


「…もしかして、マジで二股か?」


俺は軽く恐怖を覚えた。


トラウマ。もうあんな思いは味わいたくないというのに。


大きく一息をついてから、再び歩き始めた。










歩くこと15分。


いつも俺達がよくいくショッピングモールが見えてきた。


俺が追跡していることなんて知る由も無く、明日香は何かを見つけたかのように走り出した。


それは明日香にとっては早いといえるスピードで。


遠くから、わずかだが明日香の声が聞こえた。


目で明日香が走る方向へ目を向けると、そこには疑いたくもなるような人物が立っていた。


「…亮平?」


まさか、亮平と俺を二股?


いやいや、まさかな。


あいつは毎日のように俺達と遊んでいるが、明日香とイチャイチャしているところなんて見たことがない。


……。


でも、どうして二人で?


俺を誘わなかった?


疑問に思いながらも、俺は追跡を続けた。


中をぐるぐる回ること1時間。


明日香たちは昼食をとるために、どこかの料理屋へと入っていった。


さすがに、俺も一緒に! というわけには行かず、外にあるハンバーガーショップで軽く昼食を済ませたとき、俺のポケットに入っている携帯が鳴った。


「明日香?」


表示されていたのは明日香という文字だった。


内容は、机の上にお昼が置いてあるということ。


それだけだった。


何故、出かけたのか。


どうして、亮平と二人なのか。


そんな内容は一切入っていなかった。




ご飯を食べ終え、明日香たちは笑いながら店を出てきた。


そして、再び店内をぐるぐると回る作業に移る。


ある服屋に入っていったのを俺は見て、物陰に隠れながら亮平たちを見ていると、明日香は思いがけない行動に出た。


なんと、亮平に服を合わせ始めたのだ。


しかもとても楽しそうに。


「明日香…」


俺はここにいるのが悔しくて、悲しくて、足は明日香たちの方へは向いていなかった。


そして、俺はそのまま帰宅する。


家の中で一人、明日香の帰りを待った。


明日香が帰ってきたのは、俺が家に着いてから3時間後。


第一声は明日香の元気な「ただいま」という言葉だった。


「どこに行っていた?」


やるせない俺は、冷たく明日香にそう言葉を投げかけた。


明日香はいつもと違う俺に気付いて、体をびくっと震わせる。


「だ、だから、ちょっと友達と買い物に行ってたの! 風紀は今日なにしてたのぉ?」


あはは、と誤魔化すように笑いながら明日香はキッチンへと入っていく。


俺は明日香を見ることが出来ない。


あんな現場を見かけてしまったのだから。


「今日、ショッピングモールに行ってた」


「え?」


明日香が固まる。


「…明日香、正直に答えてくれ!」


俺がそういうと、明日香は諦めたかのようにため息をついた。


「なんだぁ、ばれてたのかぁ」


「ば、ばれてたって、お前な!」


「ちょっと待ってて!」


明日香はテクテクと走りながら、自分の部屋へと戻っていく。亮平に電話をする気か?


しかし、戻ってきた明日香の手には携帯というものはなかった。


変わりに、大きな袋が一つ。


「え?」


意味の分からない俺は、明日香に手渡されたその袋を持つ。


そんなには重くない。言うならば服の重さ。


…服?


「こ、これって?」


俺は明日香に聞くと、明日香は顔を真っ赤に染めながら笑って「誕生日プレゼントだよ」と答えた。


「…誕生日?」


「もうっ! ご飯の時まで隠そうと思ったのに、風紀にばれてただなんてショックゥ…」


「え、ちょっと待って」


俺は頬を膨らませた明日香に制止の言葉を投げかけた。


「誰の誕生日?」


「え? 風紀の誕生日、今日でしょ? 1月11日じゃない」


「え、俺の誕生日11月1日なんだけど…」


「え〜〜!?」


「今年は色々と忙しかったから、明日香がてっきり忘れてると思って…」


「え、私111って覚えてて…その、風紀ごめんね!」


パンパンと神に祈るかのように手をあわせ、俺に頭を下げてきた。


「いや、俺こそ疑ってごめん!」


「疑うって?」


「…いや、なんでも」


こいつはどこまで鈍いんだ。


「そっかぁ、11月だったのかぁ。ごめんねぇ、じゃあこれ、大分遅れたけど誕生日プレゼントってことで!」


ニシシと笑う明日香を見て、俺も一緒に笑顔になった。


「じゃあ風紀、私の誕生日知ってる?」


明日香の誕生日?


「当たり前だろ」


俺はニッコリ笑って、3月28日と呟いた。

























そして、約1年の時が流れる。


高校三年生になった俺と明日香。いつもと変わらない二人の生活。


そんな静かな幸せが続いていけばいいと思っていたのに…。


やっぱり俺達を待っていたのは、ドタバタ生活だった。










Double Life 〜After Story〜 へ続く。



















最後に書いたとおり、1月11日に新しくDouble Life 〜After Story〜という作品を公開しました。

Double Lifeの続きとなっております。

1年ほど前にDouble Life2というものを書かせていただきましたが、色々と事情が重なり削除という形にさせていただきました。

その後のメッセージなどを読んでいると、楽しみにしていてくれた人が少なからず居たということを知り、大変申し訳なく思っておりました。


今回は最後まで書き上げます。プライベートの事情もあり、更新ペースが昔ほどではありませんが、読んでくださったら嬉しい限りです。




Toki

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