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Double Life  作者: Toki.
43/60

9−1


「いらっしゃいませぇ〜」


1年2組の中で複数の声が重なる。


約40人の1年2組は午前と午後を半分、半分で仕事をこなしている。


因みに、俺と、明日香と、凛と、幸助と、沙希は同じグループ。


そして、今は文化祭なのだ。


俺たちの文化祭は全部で4日。


木、金、土、日曜日と休日が二日も入っているという、この悪状況。


そのおかげか何かはさっぱりだが、次の週の月、火、水曜日が休みなのである。


今日は一日目、木曜日。


4日もあれば、グループは一日一日違うはずなのだが、さっきあげた4人は4日とも同じという。


男たちは厨房で料理を。女たちはウエイトレス、まぁ猫耳メイドってことだ。


今日の俺のグループは前半組み。


8時〜12時と、昼食時を外しているから人は少ないと予想していたのだが、それは全く違った。


全校生徒のアイドルでもある、計算違いの女が俺のグループに入っているわけで…。


カランカラン。


幸助が何故か買ってきた、教室のドアを開けるとなる鈴が鳴った。


「いらっしゃいませぇ〜」


厨房で、必死に働いている俺の耳にでも、彼女の声が聞えてきた。


「あら! 明日香ちゃんじゃない!! その服、似合ってるねぇ。そう言えば、風紀野郎と同じクラスじゃなかったっけ? あいつは?」


…。俺のことを風紀野郎と呼ぶ奴は、あいつしかいない。


訂正、あの人しかいない。


そう、部長だ。


「え…あ、風紀は今、厨房で頑張って働いていますよ」


学校一押しのスマイルで、明日香は部長に受け答えする。


部長が「ふ〜ん」と言っている間も、周りからは「明日香ちゃん! これ頼む〜」などの客からの注文が絶えない。さすがは人気者としか言いようが無いな。


「は、はい!」と答える明日香も大変そうだ。


1年2組は大混雑と、放送が流れたのはそのときだった。


「風紀野郎って何担当?」


部長が、近くのウエイトレスに聞く。


「ふ、風紀野郎ですか? あぁ、彼はクレープでしたっけ?」


また部長は「ふ〜ん」と言った。


大繁盛しているわけで、殆どの人が席待ち。


先ほど入ってきた部長も、席待ちなのだ。


「ねぇ、ここの責任者って誰?」


またもや、部長の声が聞えてきた。


先ほどのウエイトレスに聞いているようだ。


「山田幸助ですけど」


ウエイトレスがそう答えると、部長はニヤリと微笑を作り、


「呼んで」


と、一言。


俺の隣の隣の隣にいた幸助の顔が強張り、さっきまで部長と話していたウエイトレスが来た。


「女の人がお呼びです」と…。


幸助は恐る恐る、部長の下へと歩み寄る。


「な、何ですか部長?」


「クレープ一つ。まぁ風紀野郎のお任せで」


周りの人は沈黙。


「けど、やっぱりここは待ってもらわないと…」


幸助は少し言葉に力が無い感じがする。あの部長相手だ。強気に出れるわけが無い。


「私の言うことが聞けないの? 幸助君?」


必殺、悪魔の微笑みが幸助を捕らえた。


「ハイ〜〜〜!」


幸助が、キーキー吠えながら俺の近くへ寄ってきた。


「部長の命令だ。従え」


…部長に従うのはいいとして、俺はあんたに従うのが一番嫌いなんですが。


まぁ、部長を怒らすと怖そうだし…。


「お任せって言ってた」


親指だけを立てて、幸助のグットポーズ。


少し、顔に活力がない。それほど部長とのやりとりがきつかったのだろう。


「まぁ、いっか」


そう言って、風紀オリジナルクレープ、チョコとイチゴと、ヨーグルト和えを作った。


因みに、この風紀オリジナルクレープ、チョコとイチゴと、ヨーグルト和えは、未公開である。


だって、たった今考えたんだもの。


美味しいか、不味いかも分からないという優れものだ。


これを、凛に持たせ部長の所まで行かせた。


部長は満足した顔で、俺たちの猫耳メイドカフェを出て行った。


明日香は、何時になっても大変そうだ。


鼻血を出している男の割合は8割3分6厘も居たという情報だ。


あの服で、明日香の微笑を見たら…まぁ男ならそうなるだろうな。


分かるよその気持ち!


俺だって同士だから!


そして、仕事終了の12時がやってきた。


「はい、交代です〜!」


と、一番忙しい時に交代をさせる幸助。


明日香が、着替える部屋に入っていくと、客足は殆ど途絶え、席待ちなんて無くなったと言う。


俺も着替えて、外へ行く。


文化祭の一番の楽しみが、他のクラスの行事を見ることだ。


早速、一人で行こうとする俺を、呼ぶ声が後ろのほうから聞えた。


「風紀〜〜!」


後ろを振り向くと、明日香の姿が。


「何?」


質問をすると、明日香は頬をポリポリと掻きながら、


「一緒に行動しようよ」


と、最高の照れ笑いを見せた。


学校一美人と共に行動しようといわれて、拒否する奴はそう居ない。


「おう」


と俺は、了知した。


「何処行きますか?」


明日香にそう質問されて、戸惑う。


…さて、どうする?


どうする?


どうする俺!


って、どっかのCMの真似をしてみたり…。


「何してるの?」


と明日香に不思議そうな顔をされたが、まぁ放っておこう。


「それで、何処行く風紀?」


…何処にしましょうか。


亮平のクラスは、『笑うの堪えて』だったような気がするし、


悠太のクラスは、ストラックアウトだっけ?


先輩達のクラスは何やっているか忘れた。


「風紀?」


質問攻めだ。


「ど、どうするア・イ・○・ル〜♪」


「私、アイ○ルじゃないよぉ!」


もぉ〜、と言いながらも笑ってくれる明日香。


いい奴ですね本当に。


俺はどうしてか、笑みがこぼれた。




















読んでいただき、ありがとうございます。

本日は一話だけの更新とさせていただきました。

申し訳ございません。





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