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Double Life  作者: Toki.
41/60

8−3


明日香が遅れて、俺たちのところへやってきた。


その足取りは重く、今にも倒れてしまうのではないかというぐらいにフラフラだ。


「だ、大丈夫か明日香!?」


俺は明日香に駆け寄る。


「う…うん」


言葉に力が無い。


「そ、そうか」


抱き寄せることも出来ない俺。


せめて、肩を貸してあげれればいいのだが…。


「ちょっと、あそこで休もう」


俺はそういい、ベンチに座らした。


明日香は、ここまで走ってきたのだろう。


置いてくるんじゃなかったな。


30秒後。


「もう大丈夫!」


すくっと立って、元気をアピールする明日香。


その元気ぶり、まぶしすぎる…。


俺と明日香は凛の所へ。


……。


やはり、凛の手の中にはメイド服が。


信じがたいが、これが真実なんだろう。


すると、俺の頭にある提案が。


「なぁ、明日香。それ一回着てみろよ」


冗談交じりで言ってみる。


「うん!! わかったぁ!」


そうだよな…無理だよな。


…って、え? いいのかよ。本当に着るのかよ。


そのまま、明日香は試着室に入って行った。


数分後。


「ジャ〜ン!」


と言いながら、試着室のカーテンを開ける。


俺の目に飛び込んできたのは、


藍色のひらひらスカートの下に白く、細い足があり、猫耳をつけて秋葉系が見たら鼻血を出すような顔立ち。


俺は、自ら固まっていることに気が付く。


「あ…ぅ…え…と」


俺は、何を言いたいんだ!


何をするでもなく、俺は俯いた。


「ど、どうしたの風紀ぃ?」


凛の心配する声が聞えてくる。


「な、なんでもない」


なんでもないこと無いのに、そんなことを言っている俺。


そして、顔を上げると明日香の猫耳メイド姿が。


「どうかな?」


と言いながら、明日香はくるくる回っている。


率直な感想は、やばいですよ?


育ち盛りの男には、有害ですよ?


「い、いいんじゃない?」


まぁ、そんな事も言えず、おれは褒めておいた。


周りの視線が気になるのは…気にしないでおこう。


「じゃあ、私も着るぅ!」


そう言って、凛は猫耳と、メイド服を持って試着室に入った。

いやいや、もういいですから。


これ以上は耐えられません!


理性を保ちつつ、待つこと2分。


勢いよく、試着室のカーテンが開き、凛が出てきた。


……。


KO


その場で、意識が朦朧とした俺だった。


「だ、大丈夫?」


明日香が俺に近寄ってくる。


「む、無理!」


意味不明な言葉を俺は言う。


「な、何が!?」


明日香がそう聞いてきた。


まぁ、当たり前の返事なのだけど、俺の思考は今ぐっちゃぐちゃ。


自分でも、何を言っているのか分からない。


「お、お前等! まず、着替えろ! 早く! 20秒以内!」


そう言って、その場を逃走した俺だった。


5分後、通常理性を取り戻して、あの地獄の間に戻る。


戻ってみると、明日香と凛は私服にちゃんと戻っていた。


「よ、よし。会計するか」


猫耳18個、メイド服18着を会計所に持っていく。


当たり前のように、店員に変な目で見られ、恥ずかしい思いをしてしまった。


クソッ。


何で、俺がこんな恥ずかしい思いをしなければならないのだ。


涙目の俺に店員は気付いたのだろう。


会計は10秒ほどで終わった。


いや、終わらしてくれた。


大量のメイド服と猫耳を持って、明日香たちが待つ所へ行こうとする。


「はやくぅ!」と言う凛。


「風紀〜!」と呼ぶ明日香。


俺は駆け足で明日香たちが待つ場所に行った。


「次は、細長い紙を大量、メニューが載るような紙を大量か」


まぁ、簡単に見つかりそうな物だな。


いや、メイド服も簡単に見つかったといってもいいだろう。


探し続けること15分。


…無いぞ?


何で〜?


1階から7階まであるここに、何故雑貨屋がないんだ?


おかしいだろ。


一度、1階まで降りてみることにした俺は、あることに気づいた。


…地下1階。


エレベーターの横に、ひっそりと書かれていたのだ。


ひっそりと書く理由は、俺にも分からない。


だが、あきらかに地下1階の隣に雑貨屋と書いてあるのだ。


苦労の15分間はなんだったんだ?


「風紀あったよぉ!」と凛が叫ぶ。


その発声は、俺がひっそりと地下1階と書いてあったのを見つけてから30秒ほど経ってからだった。


エレベーターで地下1階まで降りる。


その途中、窓ガラスになっているエレベーターで、はしゃいでいる二人。


はぁ、と溜息をついたせいか、エレベーターの動きが変な風になった。


いや、止まった。


「……」


「……」


「……」


「「「え〜!」」」


3人の声が重なる。


「と、止まったよね!?」


と言ったのは凛。


一番焦っているように見える。


「うんうん!」


と言っているのは明日香。凛の次に焦っていると見られる。


生憎、他の乗客者は居なくて、俺たち3人だけ。


俺は、冷静を取り戻して、エレベーターにある非常用のボタンに手を掛けた瞬間。


ガタン!と言い出してエレベーターが動き始めた。


「「「へ?」」」


と、またもや3人の声が重なった。


地下1階に行くと、何事もなかったような行動をするお客と店員。


いや、何かがあったことを知らないのだろう。


明日香と凛も、先ほどの出来事を忘れたかのように行動している。


どうなってるんだぁ!


と、心の中で叫ぶ。


しかし、その心の叫びは無情にも誰の心に響かなかった。


「風紀ぃぃぃ!」


メイド服の時と同様、遠く離れた所にいる凛が俺を呼ぶ。


しかし、同じ過ちは二度とやらないのが俺。


今度は明日香と一緒に凛の待つ場所へと向かった。


今度は驚かない。と心に誓っていたのに…。


如何にも、メニュー用です! と、言わんばかりのものがある。


それに続いて、如何にも、注文を取る紙です! と言わんばかりの紙もある。


「……」


またもや驚いてしまった自分が情けなくて、涙目が倍増した
















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