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Double Life  作者: Toki.
39/60

8−1

「今更ですが、話し合いをしたいと思います」


文化委員である幸助が教室の前に立ってそう言った。


何を? という話だと思うが、今俺たちは文化祭でする発表行事を考えている。


「一年生ということもあって、最初はどんな事をするか分からないですよね?」


皆、一斉に頷く。


「展示という手もあるんですけど、やっぱ出店とかがいいよね?」


皆、一斉に再び頷いた。


「で、何がいいか、アンケートをとりたいと思います。今から回す紙に、何がいいか書いてください」


言い終えると、幸助は紙を配りだした。


ん〜、何にしよう。


漫画喫茶?


…本とか持ってくるのが、面倒だな。


ふと、隣にいる明日香の紙を覗き込む。


「…へ?」


小さな声が、俺の口からポロっとこぼれた。


何故か?


だって、明日香の紙には、猫耳メイドカフェ


そう書いてあるんだもの。


何故、そんなものを書いたのかは不思議だが…明日香のメイド姿。


考えていると、頬の肉がたるんだ。


って、何を妄想してんだ、俺。


まぁ、明日香のその格好をしているところを見たいし、俺も猫耳メイドカフェと。


「では、後ろから紙を集めてきてくださ〜い」


幸助が俺が書き終えた時間を見計らったかのようにそういった。


「では、読んでいきまぁす! 映画、喫茶店、コスプレ喫茶、ドリンクバー、ストラックアウト…猫耳メイドカフェ、じゃんけん大会…猫耳メイドカフェ…」


まわりもザワザワしている。


一番多い漫画喫茶と、猫耳メイドカフェが3票ずつ。


まぁ、後一票は誰が入れたというのは置いといて、多数決ということになった。


幸助が皆を机に伏せさせ、どちらがいいか手を上げようと命じた。


「漫画喫茶がいい人!」


バッと言う音が近くから聞えてきた。


7秒後に、「はい下ろして結構です」という声が聞えた。


「猫耳メイドカフェがいい人!」


俺はゆっくり手を上げた。


「はい、下ろして結構です」


早っ!


俺が手を上げてからコンマ2秒ぐらいだろう。


まぁ、数える秒数を考えて、漫画喫茶に決定のようだ。


そう思い、俺は顔を上げた。


前の黒板に書いてあったのは、


漫画喫茶1人。猫耳メイドカフェその他。


おお! 猫耳メイドカフェだぁ。


って、ちょっと待てぇ!


一人数えるのに、7秒ぐらいも掛かったのか?


幸助の目はもう老化している…のか?


「というわけで、猫耳メイドカフェに決定です! 拍手〜!」


パチパチパチと喝采が沸いた。


「やっぱり、女の子がメイドするってことでいいよね?」


男共が大拍手。


やっぱり、明日香のメイド姿。


見たいな〜!


…いかん、いかん。


エロ親父になる所だった。


実はエロ親父になるのに、時間は掛からなかったりするわけだが。


そんなことはどうでもいい。


明日香の猫耳メイド。


萌え〜〜〜!


って、何を言わしているんだ。


「どうしたの風紀?」


隣にいる明日香が俺に話しかけてきた。


その顔を見ると、一瞬猫耳メイド姿の明日香を妄想。


ブッッッ!


鼻血が、たらぁと出てきた。


「だ、大丈夫!? 誰かティッシュ持ってない?」


明日香が俺を心配して、周りを走り回ってる。


「風紀君が持ってるんじゃない? 名前が風紀だし?」


沙希がそういった。


「名前は関係ない。それに、風紀は持ってないよ。沙希持ってないの?」


「うん。持ってない」


「誰か持ってない〜?」


大きな声で叫ぶ明日香。


もう少し声のトーンを下げても宜しいのではないかと。


と言うか、その前に明日香。


「お〜い、明日香!」


俺が明日香を呼ぶ。


しかし、明日香には俺の声が届いていないらしい。


「明日香〜!」


ピクッと一瞬反応した明日香だったが、そのまま俺を無視したのだ。


「明日香ちゃぁぁん」


少し俺の声のトーンが落ちる。


「な、何!?」


やっと気付いてくれたようだ。


「も、もう止まったから大丈夫」


みんなの視線が俺に集まる。


い、いや、そんな目で見られても困るんですけど。


何でそんなに早いんだ? 見たいな目をして。


まぁ、俺の過去にも色々あるのさ。


「そっか…よ、よかった!」


アハハと言いながら、明日香は自分の席に戻った。


「ありがと。明日香」


優しい声で俺はそういった。


まぁ、これが常識というものだろう。


やはり明日香はいつものように照れているようだが。


そこが、可愛くてしょうがない。


「では、誰が買い物しに行くか決めたいと思います!」


は〜いという声が教室のあちらこちらから聞えた。


「まぁ、文化委員である俺も参加しますから、安心してください! 男女一人ずつということで」


また、は〜いという声があちらこちらから聞えた。


その数十秒後。


「では、明日香ちゃんと風紀に決定で」


またまた、教室のあちらこちらから、は〜いという声が聞えた。


…マジですか。


『何で俺が!?』と言える訳もなく、「ぅ〜」と唸りながら俺は机に伏せた。

















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