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Double Life  作者: Toki.
37/60

7−3


大変な事になった。


本当に、大変な事になった。


いつもなら、亮平、幸助と共に優雅な昼休みを過ごすのに、今日は一段と大変だ。


何で、こいつがこんなに言い寄ってくるんだ。


しかも、キャラが変わりやがった。


…女難。


また始まりやがったか。この野郎。


何で神様は俺に意地悪をするのですか!


「ねぇねぇ、風紀〜」


鳥肌が立つのは変わらない。


「どう? それ美味しい?」


吐き気がするのも変わらない。


「もう、どこか行ってくれ」


冷たく接する俺の態度も変わらない。


「風紀! あ〜ん」


凛が俺の手元にある弁当から玉子焼きを取り出し、俺の口元まで持ってくる。


「だから、やめろって凛! もう、中学時代じゃないんだよ! しかも…なんで、俺にこんな

事をするんだ!」


シ〜ンと静まりながら、先ほどから皆が俺を見てくる。


く…この視線は痛いぜ。ガッツ隊長。


『ガッツ隊長って誰だよ!』と、この状況でも自分にツッコミを入れている俺。


「中学の時は、嫌がらずしてくれたのにぃ!!」


凛。お前には罪悪感というものが無いのか?


「だから、中学と今は違うって!」


「でも、私は今でも風紀のことが好きだよ!」


……。


寒気倍増。これ、四文字熟語に使えるだろうか。


「俺は、お前なんか好きじゃない」


はぁ…さっきからこの言葉を何度言ったことか。


モテる男は辛いってこのことか?


俺と、凛以外に食事をしている奴は見当たらない。


弁当は出ているのに、何故皆食べないのだ。


てか、食う寸前で止まっている幸助…何者だ?


そのうち、よだれがこぼれちまうぞ。


「せっかく私が作ってきたのにぃ!」


……。


雰囲気は明日香に似ているんだけどな。


あの明日香でさえ、食べるのを躊躇している。


「誰が、お前に頼んだ。もう、弁当とかいらねぇから」


「は〜い」


本当に分かってるのか? こいつは。


「分かったから。あ〜ん」


今度はミニトマトを俺の口元まで持ってくる。


「だから! やめろって!!!」


はぁ…。


俺は凛が俺のために持ってきた弁当ではなくて、自分の弁当を手に持ち、その場から脱走する。


別に、教室で食わなければならないという校則はないのだ。


その後ろを凛がついてくる。


だが、しか〜し!


ある作戦があるのだ。


見てろよ、凛。


…別に見なくてもいいけど。


俺はもう一度自分の教室に入った。


その後ろを凛がついてくる。


入ってくるのと同時に、逆の方のドアから出た。


まぁ、ここで凛は少し迷うだろう。


ダッシュで3組へ。


そのまま身を潜めて、凛が探し終えるのを待つ。


……。


……。


……。


逃げ切り成功。


2組に戻るのは危ないな。


3組で食事を済ますか。


確か、3組って言ったら五十鈴がいたっけ?


皆さん、影は薄いですが、五十鈴を忘れないでくださいね。


俺は五十鈴を探すため、周りを見渡す。


「…発ッッ見!」


できるだけ小さな声で言った。


五十鈴は…ん?


一緒に食べていた女の子と、バイバイしているようだ。


弁当を食べきったのか?


俺に近づいてきてる。


「やっほ。風紀君」


「おう、五十鈴」


「どうしたの? こんな所に一人で」


「いや、2組で色々と会ってな。五十鈴と一緒に弁当を食べようかと」


見つめ合う俺たち。


決して、睨んでいるのではない。


…睨まれてもいないこと祈る。


「罰ゲームじゃないよね?」


「勿論違う」


「じゃあ、食べよう!」


五十鈴は俺の隣に座った。


俺も座る。


「ねぇねぇ。2組の木村さんって風紀君の元彼女なの?」


…。


何処までその話は届いてるんだ。


俺は無言で頷く。


右手で持った箸で玉子焼きを突く。


そして、一口でパクリと食べた。


「五十鈴も元カレとかいるだろ?」


「う…うん」


誰もが、昔の恋は嫌なのか?


五十鈴の顔が一瞬曇った感じに見えた。


その後も、パクパクと箸が進み、口も進み、楽しい昼食となったのだ。


食べ終わり、2組へと戻る。


ドアをガラッと開けた瞬間、全員が俺の方を向いた。


この視線、何時になっても嫌いだ。


しかし、その視線はなぜかいつも違う。


ある一部の男共の目に、炎が満ち溢れていたのだ。


…何かありましたか?


俺はそういわんばかりの顔で、自分の机に戻る。


すると、先ほどの男共が俺の机を囲んだ。


怖いっすよ。


しかも、知らぬ顔ばかりだ。


…2組の野郎はいないらしい。


その中のリーダー的存在の男がこういった。


「ちょっと、顔かせ」


「…。この顔、取り外しできないんですけど」


少し冗談で言ってみる。


「なめとるんか、お前は」


「いえいえ」


挑発はしないで置こう。


言われるままに、俺はその集団についていった。


嫌だなぁ。


着いた場所は喧嘩の名場面、体育館の裏!


さっきの、リーダー的存在の男が俺に一歩一歩近づいてきた。


「お前、しゃしゃってるんじゃねぇよ」


…は?


しゃしゃってるって何語だよ。


日本語をよろしくお願いします。


「そんなに女にもてたいかよ。その態度がむかつくんだよ。あぁ?」


よく、女の子が格好いい子と付き合って、嫌がらせされるというパターンに似てないでしょうか?


こんなこと、男にでもあるんだな。


「なんで、てめぇが明日香ちゃんと凛ちゃんと一緒にいるんだよ」


…知るか。


明日香は同じ家だし、凛は勝手に俺についてくるだけ。


「もう、あの子等に近寄るなよ?」


…うぜぇ。


凛限定の場合は大歓迎なのだが。


「何でだよ? お前、自分がもてない事の腹いせか? バカだな」


「あぁ? なんだと! そんなに分かんないんだったら、身体で分からせてやるよ。やれ!」


そのリーダー的存在の奴が子分の様なやつらに言った。


「やれやれ、あんまり荒いことはしたくないんだが。殴られるのは嫌だしな。仕方ない」


襲い掛かってきたのは4人。


綺麗に、横に並んで俺を殴りに掛かってきた。


まず、一歩下がり、間合いを取る。


右手で、右から二番目の男を殴った。


バコン!


*注意*


ここからは見るも無残な光景なので、音だけでお楽しみください。


バン!


「う…」


ズゴン!


「あうっ」


ビシビシズズゴゴゴゴゴーン!


「うぉぁ…」


「おえぇぇ!」


ドカン!


バシ! ボコッ!


「う…う…」


バン!


俺は4人を瞬殺し、残る一人のリーダー的存在のやつに近寄る。


「ねぇ? 俺ってモテないよね?」


俺は綺麗な笑顔を作った。


「…は、はい」


「じゃあ、もういいかな?」


「は、は、はい」


「あ、俺が殴ったこと言ったら駄目だよ。他の仲間にもちゃんと言っておいてね」


「は…はい」


「じゃあね?」


「は、は…はい」


バゴーーン。


失神。


俺は乱れた服装を直した。


よし、戻るか。


体を反転させて、教室へと足を進めた。
















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