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Double Life  作者: Toki.
35/60

7−1


「起立。礼」


クラス内の誰かがそういい、学校が始まった。


俺はしっかりと教室に居る。


隣には明日香。


まぁ、明日香は最初のこの時間に興味が無いのか、俺に色んな話をしてくる。


なんで、こうも話が次から次へと出て来るんだよ。


やっぱり、女は不思議だ。


「風紀と明日香ちゃんは、静かにしなさい!」


…先生に指摘されてしまったではないか。


い、いや、俺は一言も喋っていないのですが。


「話なら後にしなさい!」


だから、喋ってないってば。


教室内からクスクスとか言う、笑い声が聞えてきた。


注意された明日香は、エヘッみたいな感じで先生に謝ってる。


「はぁ…」


…こいつが俺の支えかよ。


そんなことを考えていると、先生の長い説教も終わり、休み時間になった。


ねみぃ…次の時間は移動教室じゃないしなぁ。


そのまま、机の上に伏せてしまった。


「風紀! 風紀! 授業始まったよ!」


明日香が俺の肩をグングン揺らしている。


…え。


「う…う…」


…ちょ、待って。


「うっわぁ!!!」


身体中にひんやりとした汗の冷たさ感じられる。


…。


直ったと思ったんだけどな。


やっぱ、直らないんじゃないか? これ。


因みに俺の今の状況は、その場に仁王立ち。


今は生物の時間。その教科先生の7割がたは変な思考回路を持つといわれている授業だ。


もうひとつ言わしてもらうと、俺の椅子は後ろの机に当たって果てしなく吹っ飛び、机は前に倒れている。


しかし、誰一人笑うものは居ない。


…逆にそれはそれで嫌なんですけど。


選択肢は、


自ら笑う。


しかし、どうしようものか、この状況を。


ドラ○もんを呼び、時間を戻してもらうとしよう。


…無理だよな。


どうするよ、俺!


「香坂君、怖い夢でも見たのかね?」


生物の頭にあるはずの毛が無い先生が俺にそういった。


しめた!


「いえ、先生。僕は、先生の髪の毛が増える夢を見てしまいました」


どっと、笑い声が起きた。


フッ…先生。


俺のために犠牲になってくださって有難うございます。


みんなが笑っている最中に、俺は前に倒れている机に手をかける。


その次に、椅子を…。


「はい、これ」


すっと目の間に椅子が出てきた。


「ありがとう」


そう言い、その渡してくれた人の顔を見る。


そして、次の瞬間目をそらした。


「…凛」


さっきまで聞えていた笑い声も、しんとなって聞えなくなった。


「大丈夫? 風紀」


「う、うん」


本当に、笑い声が聞えなくなった。


「風紀、私ね…」


そう凛がつぶやいたのと同時に、明日香の声が俺の耳に入ってきた。


「風紀。早く座って!」


その言葉でス〜と我に戻った感じがした。


「お、おう」


椅子を手に取り、明日香の隣へと座る。


鳥肌がたっている。


吐き気も。


明日香…助けてくれ。


授業も何事もなく始まった頃だった。先生の顔が少し赤かったけど。


俺はすっと、周りから見えないように隠しながら、明日香が俺の手をつかんだ。


…明日香?


あの時と同じように、気持ちが安らいだ。


さっきのとは違い、心が安らいだ。


何でだろう。


そして、次の瞬間左手に感じていた感触が消えた。


繋いでいてくれた時間は数秒だろう。


その時間が、長く感じたのは言うまでもない。


次の休み時間。


幸助が俺の元にやってきた。


「風紀?」


「何でしょうか?」


「お前、凛ちゃんとどういう関係なんだ?」


……。


何で、そんなこと聞くんだよお前は。


空気読めよ。


「どういう…って、どんな関係でもないぞ」


「そんなこと無いだろ。凛ちゃんの自己紹介の時、お前と知り合いだって」


「知り合い…それだけだ」


俺は冷たく言い放った。


幸助も俺の殺気に気づいたのだろう。


そこで会話を終わらした。


その日の放課後、明日香と亮平と共に部活へ向かう。


まだ、顔を合わすのは無理だ。


だけど、俺の側には明日香がいる。


大丈夫だ。


亮平が特別教室のドアを「ちわ〜す」と言いながら開けた。


目の前には部長。


その後ろに龍先輩が。


今日は、夏休み明けてからの初めての部活。


昨日、俺は早退してしまったが、運が良いのか悪いのか部活が無かった。


「あっ! こんにちわ亮平君と明日香ちゃんと大根役者」


部長が嫌味ったらしく俺にそういった。


「大根役者なんてここにいらっしゃいますか?」


俺は言い返す。


「あら、自分で分かっていないのは馬鹿の証拠なのかな?」


…う。


「はいはい。分かってますよ。今回、映画の主役を務めて、部長を惚れ直させたこの風紀様でしょう?」


「誰が、惚れ直しただって? 私はそんなこと一言も言っておりませんわよ」


…部長、キャラ変わってますよ。


「では皆がそろった所で、今日の部活を始めます!」


みんなの方を向き、部長は言った。
















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