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Double Life  作者: Toki.
25/60

5−5


その日の夜。


誰が言い出したかは覚えていないが、枕投げをした。


…枕投げ。


どれだけ昔の遊びだろう。


今となってはやっている奴等は少ない。


おれ自身、初めての枕投げだった。






―――次の日


ガチャとドアを開け、ジュースを買いに行く。


そこには明日香の姿が。


「おはよ…」


「おはよぉ! …風紀、どうしたの?」


心配そうな顔をしている。それもそうだ。


昨日の枕投げのせいで俺は身体中が痛い。


クソォ。


「それにしても昨日の夜は騒がしかったね。そっちの部屋は」


「だろ?」


「何していたの?」


…。


「ひ、秘密」


枕投げなんていえないって。


「そっちは何していたの?」


「ん〜と、私達の部屋は女のお話をしてた」


「…ほぉ」


少し興味あるな。


明日香の話は。


「それでね、それでね!」


明日香がそう言葉を発した後、聞き覚えのある声が後ろから聞えた。


「明日香ちゃん? 昨日の話しはコレよ?」


部長だ。


部長は、口の前に右手の人差し指を持ってきて、『シー』の格好をしている。


「そ、そうでしたね! じゃあ風紀また後で!」


「お、おう」


そのまま明日香は走り去って行った。


部長はこっちの顔を見ずに明日香のあとを歩いて行った。


「…俺は一人ぼっちか?」


そう呟き、俺はその場を逃げた。


その後は、また何かミーティングとか言って男共は204へ呼び出された。


「はい。皆さん呼び出された理由は分かっていますね?」


部長がいきなり皆に向かってそういった。


俺たちは、昨日と同じように座っている。


と言うか全く同じ。


「まぁ…ね」


龍先輩がなんとなくそう言った。


「じゃあ、皆紙に書かれていたもの見つけたのかしら?」


部長があたりを見渡す。


一応俺は頷いておく。


と言うか、そうしていないといけないような雰囲気だからだ。


「じゃあ、いいわ」


部長が腕を組む。


「じゃあ今日は撮影しに行くからね」


…え?


もう!?


「じゃあ出発するから、皆ここに入っているものに着替えてきてちょうだい」


そう言われ、部長から怪しげな紙袋を貰った。


「男共はさっさと着替えてきて」


しっしっしと邪魔者扱いみたいに部屋の外に追放された。


204のドアが閉まる。


その直後に、部長が一言言った。


「着替え終わったら下に来てね」


バン。


大きな音がしてドアが閉まった。


203に戻って、紙袋の中を見てみる。


「…普通」


思わず俺はそう言ってしまった。


しかし、あの部長ならなんらかの仕掛けをしてくると思ったんだがな。


俺は今時の服に着替えて皆を待つ。


龍先輩はまだ着替えていない模様。


と言うか、着替える素振りもない。


「龍先輩。着替えないんですか?」


「あぁ、俺は今日出番無いから」


そういい、他の4人を待つ。


俺に続いて悠太、光雄、幸助、亮平の順番で着替えが終わった。


悠太はなんかお子様っぽい感じ。


まぁ、あの台本からして想像はしていたが、なんか悠太だと、この格好は…似合い過ぎかも。


エレベーターを使わずに下に向かう。


階段で降りると、コツコツと良く響く音が鳴る。


20秒ほどかけて下に行くと女子はまだ居なかった。


俺は立つのが嫌いな方なので、近くにあるソファーに座った。


ドシッと座ると、俺の横からもドシッとした音が聞えた。


「風紀。お前、それ似合っているよな」


「亮平は…なんかキャラじゃないけど」


まぁどちらかと言うと、亮平と俺の服が逆の方が似合っていると思うのだが。


「亮平…」


俺は真剣な顔をして亮平の名前を呼ぶ。


「何だよ」


その雰囲気を察したのか亮平は真剣な顔をした。


「主人公、変わ「無理!」ってくれ…ないんだ」


亮平の遮る言葉も、俺には通用しなかったようだ。


「風紀が久しく真剣な顔をして、何を言い出すかと思えばそんなことかよ」


「他に何があるんだよ」


「例えば…」


「例えば?」


「…やっぱなんでもない」


おいおい。


そこまで言っておいてなんでもないは、ないだろう。


その話が終わるのを待っていたかのように、女子は下にやってきた。


「やっぱり男子は早いわね」


部長がそっけなく言う。


いやいや、女子があまりにも遅いんでしょう。


…と言うか明日香の格好。


なんと言うか…なんと言えばいいのか。


一言で表すと


美人。


うん。いつも以上に美人だ。


日傘なんか持って。


…大人って感じかも。


いつもの明日香じゃない感じ。


…マジで男なら惚れるな、こりゃ。


「ふ、風紀。私、変かな?」


明日香がいつの間にか俺の目の前に来ていた。


ここは落ち着いて、冷静な返事を。


「変じゃないよ。すごく綺麗だよ明日香」


…ぅ。


なんか落ち着きすぎて逆に恥ずかしい言葉になってしまったような。


周りからの視線も何故か感じるし。


「そうかな? ありがと!」


あの服、あの顔で満面の笑み。


…絶対死ぬぞ俺。


映画撮影。


死ぬ覚悟は出来ているのでしょうか。


明日香との…ラブシーン。


絶対無理。
















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