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Double Life  作者: Toki.
21/60

5−1


「うぉ〜すげぇ〜」


飛行機を降り、空港の外に出ると幸助が呟いた。


その言葉に続き亮平が喋る。


「ん〜思っていたより普通だな」


うん。


見た限り、田舎という田舎ではない。


「まぁこれから1時間掛かるけどね」


ハフゥ。


もうツカレタヨ。


「まずはバス停までね!」


そう言って部長は先頭をきる。


それにしても荷物が重い。


歩くたびに肩に負担がかかり、痛くなってくる。


絶対今日一日で身長2cmは縮んだな。


うんうん。と頷きながら俺は歩く。


「風紀どうしたの?」


明日香がひょこっと前に出てきて、俺の顔をのぞく。


その仕草はやっぱり可愛い。


「ん? あぁ考え事ね」


ニコっと笑って明日香を誤魔化す。


殆どこうすれば大丈夫。


明日香もニコッと笑って「そうなのか〜」と言ってまた歩き出した。


バス停まで約5分。


重たい荷物を持ちながらやっとのことで着いた。


バスの中では皆騒いでいる。


騒いでいるというか、自分勝手な行動している。


何故かこのバスに人が俺達以外に乗っていないのだ。


だけど、俺は亮平の隣の席で窓をボーっと見ながらどんな所か感じている。


ここでロケをするのか。


そう思うと何故か変わった景色に見えた。


バスを乗ること20分。


「やっとついたぁ〜」


またしても幸助が呟く。


そしてまた、亮平が言葉を足す。


「なんか、いっきに田舎っぽくなったな」


周りを見渡すと、田んぼ、畑、山、林。


簡単言うと緑がいっぱいなのだ。


「はいはい! 皆着いてきて!!!」


部長が先を歩く。


今から行く所は、これから泊まる所らしい。


それと、撮影現場にもなる所だ。


それにしても、道がややこしい。


少し迷うと、完全に迷ってしまいそうな所。


やっぱり田舎なのだ。


「部長まだぁ?」


幸助が聞く。


「ん〜とあと少し」


部長…後少しって言うのはどのレベルなのでしょうか?


それから徒歩20分。


…着いた。


あと少し=20分掛かる場所。


俺の頭にメモしておこう。


名前を見ると「太陽壮」


へぇ〜なかなか田舎っぽくて感じがいい。


「こんにちは〜」


部長がドアをガラッと開ける。


「ようこそ〜」


30歳ぐらいの女の人がドラマに出てくるような挨拶をする。


しっかりと商売の笑みを作って、


「沢様ですね? こちらへ」


と言い、歩き出した。


3階に上がり、男子は203に、女子は204の部屋に入る。


入ってみると、なかなかな大きな部屋。


男6人でも大きいぐらいだ。窓の外には夏という輝かしい海。


蝉の音。


海の音。


風鈴の音。


「うわぁ、夏らしい!」


やはりここでも第一声を発したのは幸助。


「やっぱ田舎いいな」


亮平がポツポツ喋る。


「おいお前らちょっと204に集合」


龍先輩がドアを開けてそういった。


何をするのだろうか。


ん〜、わかんないな。


龍先輩のじきじきの命令なので、仕方なく女がいる204号室へ。


中に入ってみると、俺たちの部屋とそれほど変わらない。


変わっているといえば、女達が半円になって座っている。


この形を見ると、男は残った半分に座れ!見たいな感じだな。


俺は一番女子から遠い場所に座った。


部長がゆっくりと話し始めた。


「集まってもらったのは他でもない! 映画撮影協力者が必要なのです! そ・こ・で! ここに紙が22枚ある。一人二枚引いて、それに当てはまる人を探してきてね。」


え!! 何で俺たちがやらなきゃいけないんだよ…。


「何でやんなきゃいけねぇんだよ! と思った奴はもちろんいないよね?」


部長の怖い怖い笑みをみてしまった。


「じゃあ、取ってちょうだい!」


裏側に向けられている紙を女子から取っていく。


男子は地位的に最後になるのだ。


女子が取り終わったら、先輩達から。


その後に幸助、亮平、悠太、俺という順番で取った。


…まぁ、地位的に俺が最後なんですね。


俺の紙に書いてあったのは


『雰囲気のいい小母さん』


雰囲気のいいおばさんって言うのは愛想の良さそうなってことかな?


もう一つは、


『雰囲気のいい、見晴らしの良い場所』


…むしろ人じゃないな。


その分、楽かもしれないけど。


少し時間がたつと、部長が喋りだした。


「まぁ頑張って探してきてね。期限は明日まで。今日は撮影はしないから! 明日からハードスケジュールだけど」


ウフッみたいな笑みを作って立って手を叩く。


「解散!」


部長のその言葉に反応して、俺を含め全員が外に出て行った。


外に出て、まずは雰囲気のいい、見晴らしの良い場所を探しに行くことにした。


玄関へ向かうと明日香がよってきた。


「ねぇねぇ、風紀〜なんて書いてあった?」


「ん?俺は『雰囲気のいい小母さん』と『雰囲気のいい、見晴らしの良い場所』だけど。明日香は?」


「ん〜と明日香はね。コレとコレ」


明日香は俺に紙を見せてきた。


「…嫌がらせか?しかも、こっちには何も書いて無いじゃん」


そう、明日香の片方の紙には何も書いてなかった。


「多分、あたりだと思うんだよね」


因みに、もう一つの紙には『演技頑張ってね♪』と書いてある。


「まぁこんな変な事が書いてあったし、この明日香ちゃんは風紀を手伝ってあげようかと!」


袖をめくって力強さをアピールしている。


腕、ホソホソだな。


「お! 本当か! ありがとう!」


これはラッキー。


さすが明日香。持つべきものは同居人だな!


「それで今から何処行くの?」


「最初は場所を探しに行こうかと…」


「え〜! 私、最初は人探しがいい!」


…一応これ俺の役目なんですけど。


手伝ってもらうわけだし、最初は雰囲気のいいおばさんを探すか。


「わかった。小母さん探すか!」


「うん!」


明日香がブイっと指を二本立てる。


よし。


最初は人探しか!


頑張るぞ〜〜〜〜〜〜!















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