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Double Life  作者: Toki.
19/60

4−3


只今、台本を読むという行動をしている俺。


明日香は何故か慣れているって感じがする。


俺はこの15年間、一度も台本を読むと言う行動をした事が無いのだ。


俺たちの中学校の文化祭にも、劇はもちろんあった。


しかし! 俺は大道具係。


役者などしたこともない。


周り皆は賑やかで、「私達(俺達)こんなの余裕」みたいな顔をしてやがる。


それに…この台本には最大な欠点がある。


最初の方しかまだ書かれていない。


本当に最初だけなのだ。


部長が言うには、「映画撮る時に雰囲気で決める」って言っていたが…。


俺にはそのような余裕が全く無いのだ。


ただでさえ経験が無いというのに、このような事態。


「はぁ…」


大きな溜息をついた。


「こらそこ! 溜息しない!」


部長に指摘された。


「ういっす」


適当な返事をして誤魔化す。


「風紀君は少なくとも主役なんだからね! 自覚しなさい、自覚!」


「ういっす」


適当な返事で再び誤魔化した。


今日の帰り。


「風紀今日は一段と溜息が多いね。」


夕日ならぬ昼日を浴びながらいつもの帰り道を隣同士で帰る。


「だって俺が主役だぜ? 考えられないって」


「そうかなぁ? けど風紀でよかった」


「…なんで?」


「だって、先輩とかあまり知らない人とだったら嫌じゃない?」


「まぁ、そりゃそうだけど」


「だってこの話恋愛物でしょ? ラブシーンとか出てきたらやっぱ風紀でよかったと思うよ」


「へぇ〜、ラブシーンね…へ? ラブシーン!?」


…グヘェ。


ラブシーンっていわゆる、キスシーンとか、抱き合うシーンとか?


…考えられない。


まぁ、俺も良く考えてみたら、相手が明日香でよかった。


「何考えているの?」


くいっと明日香が前に出てきて、俺の顔を覗き込む。


こいつとラブシーン。


考えただけで死にそうだ。


「大丈夫?」


さらに顔を近づけてくる。


…ヤバイ。


「アハハ。大丈夫、大丈夫! さぁ進もう! 輝く未来へ!」


俺は明日香の横を通り過ぎて、隣同士になるようにする。


明日香とラブシーン。


あぁ!! 頭から離れない!!


考えただけで顔が赤くなるぞ、こりゃ。








―――――次の日


「じゃあ今度の土曜日から、7日間出発するから」


部活が始まった直後この言葉を部長が発した。


何処に?


それが俺の疑問。


「風紀君が何処に? とか思っているらしいです〜!」


隣の隣の隣に座っている龍先輩がまた俺の心を…。


「はい! 何処に? って思った風紀野郎!」


「は、はい!」


風紀野郎ってなんですか。


「それは、九州の田舎です〜!」


「は、はい?」


「だから九州の田舎だって! なんで一度で聞き取れないんだよ、風紀野郎!」


だから部長、風紀野郎はやめてください。


「そうっすか…」


これ以上「はい?」とか「何で?」とか聞くとまたややこしくなるという雰囲気が流れていたので聞くのは避けた。


「また何で九州何っすか?」


亮平が俺の代わりに聞いてくれた。


「いい質問だね。それは…九州は私が好きだから!」


…おいおい。


そんな個人的な感情で、遠い所まで足を運ばなきゃいけないんだ。


「まぁ龍も賛成したし、決定って事で。」


「は〜い」


俺以外の全員が答えた。


帰り道では、明日香は九州の話しかしていない。


飛行機に乗ったことが無いそうだ。


まぁ、俺もないんだけど。


今度の土曜日まで、3日間日にちが空いている。


不幸な事に? その日から7日間何にも用事がないということなのだ。


用事があれば…。


とか考えるのは無駄だった。


幸助が3日目に用事があるといったらしいんだが却下。


幸助の親元まで行って、用事を消したらしい。


なんと言う部長。


恐るべし、部長。


3日後というのに明日香は家に帰ると即、行く準備をしている。


「すげぇな」


明日香の行動を見ているとその言葉しか出てこなかった。


明日香はなんだか機嫌がいい。


そこまで機嫌がよくなるほど嬉しいのか?


俺は面倒なだけだと思うのだが。


そして土曜日の朝。


「風紀!!! 朝だよ!!!」


ドンドンドンと俺の部屋の音がばるのが分かる。


「はいはい」


そう言って、俺はゆっくりとドアを開けた。


「おはよぉ〜」


「おはよ! 風紀。」


笑顔で起こされる俺はやっぱり幸せ者だな。


人に起こされてこんなにも気分が良くなるのは明日香のおかげかも…。


「荷物早く用意して!」


そっと明日香を見てみると、来ているものばっちり、荷物の入れるケースばっちりでいつでもいける体制だ。


「なんでそこまで楽しそうなんだ?」


この3日間、疑問に思っていたことを聞いてみた。


「だって旅行だよ? 楽しいのは当たり前じゃん!」


「…そうか」


明日香のあの笑みを見たら否定は出来なかった。


まぁ、いっか。


俺は昨日のうちに準備しておいた荷物をとり、ドアを閉めてから着替えて、明日香の元へ行っ

た。


「よし行くか」


「うん」


よく分からないが、九州へ今から行く。


映画を撮りに…。


さぁ出発進行!!!

















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