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Double Life  作者: Toki.
13/60

3−3


2日目の朝。


俺はいつものように明日香の可愛い声で起きた…かった。


「おい、風紀朝だぞ!」


その声は男くさいがよくよく聞いてみるとかっこいい声。


清水 亮平。


体を揺らされ徐々に瞼が開いていく。


「やっと起きたか」


ポリポリと頭を掻きながら、面倒くさそうにしている。


「おはよ…」


目を擦って伸びをする俺。


「早く着替えろよ。今日はキャンプに行くらしいから」


「そうだったっけ」


良く見ると亮平は昨日のパジャマとはもう違って、普段着に変わっている。


亮平を見た後時計の方に目を持っていく。


「11時!?」


思わず声を上げてしまった。


そう、俺の記憶が正しければ11時に下に集合なのだ。


「亮平! もっと早く起こしてくれよ」


服を脱ぎながら言う俺。


「10分ぐらい起こし続けたよ…」


呆れながらこちらを見る目。


痛い、痛いよその目は。


さっさと普段着に着替えて、下に直行!


階段のギシギシと鳴る音を無視。全体重をかけて、2段抜かし。


玄関の前に到着。


「あ…れ?」


そこには誰も居なかった。


「お前、まだ10時だぞ?」


ゆっくりと2階から階段に座って見下ろしてくる亮平。


「…へ?」


玄関に置いてある時計を見る。


…10時。


もしかして見間違えたのか?


うわぁ、恥ずかしい!


「今からキャンプの準備をするから、明日香の部屋に来てって言ってたぞ」


そう言ってゆっくりと亮平は立ち上がった。


俺も俯きながら階段を上がる。


そして、明日香の部屋の前に来てコンコンとノックをし入る。


「おはよ〜!」


明日香が満面の笑みでいつものように言ってくる。


やはりこれが俺の朝だな。


「さっきすごい音がしたけどなんだったの?」


「…」


思い出させないでくれ明日香。


「なんでも…」


なんでもないよ。と言おうとしたが、俺のその言葉はあっけなく亮平の言葉に遮られた。


「風紀が10時と11時見間違えてさ。急いで玄関まで走っていった音」


3秒ぐらい間があって明日香と沙希が笑い出す。


俺も俺で笑うしか出来なかった。


「風紀って少し馬鹿だよね?」


沙希が笑いながら言ってくるから余計むかつく。


「うっせぇ! そういやキャンプの準備するんだって?」


俺は話をそらすために、キャンプの話を持ち出した。


「明日香、俺と風紀は何すればいいの?」


明日香は少し悩んだ後、


「お母さんに聞いて」


と言った。


その言葉を明日香が発した後、タイミングよく明日香のお母さんが入ってきた。


「うんうん。皆集合したわね」


頷きながら明日香のお母さんが言っている。


「じゃあ今から皆で車にキャンプの用意を入れましょうか」


「は〜い。」とみんなの声がそろった。


10分後、亮平が一番頑張って、車の中に荷物を乗せ終わった。


「つかれたぁ…」


これがみんなの口からこぼれた言葉。


明日香のお母さんは人使いが荒いな。


自分は何にもしていないのに…。


「さぁ、出発しますか!」


そう言って手を叩く明日香のお母さん。


どこか仕草が明日香に似ている。


そして、俺たちは車に乗り込む。


当たり前のように明日香のお母さんは運転席。


明日香は助手席で後ろの席に左から沙希、亮平、俺と言う順番だ。


ちょっと高校生が3人乗るときついのだが、乗れないことも無い。


「レッツゴー!」と言って明日香のお母さんは車を発進させた。


車の中では俺が一番大人しいかも。


沙希と亮平は二人で話しているし、明日香は明日香のお母さんと話している。


まぁこの座席の席からすると自然にこうなるのだ。


亮平は女子と話すときは噂の話をしない。


昔、それを話したことで女の子に嫌われたことがあるかららしい。


「はぁ…」と溜息をついて外を見た。


自然がいっぱいで空気がよさそう。


30分ぐらい車に乗って、目的地に着いた。


「到着〜!」


明日香のお母さんが車の外に出てそういった。


俺は明日香のお母さんの次に車から出て空気を吸う。


…うまい。


2回、3回と吸う。


やはりうまい…。


意味もないのに俺は何度も吸い続けた。


「…おい馬鹿」


俺の頭に衝撃。


亮平が俺を叩いたのだ。


「痛ってぇな! 何だよ!」


と、言って後ろを向くと「おい馬鹿。」の意味が理解できた。


みんなはキャンプの用意を運んでいる。


「…はい分かりました」


そう呟いて、俺はみんなと同じように、荷物を運び始めた。


荷物も運び終わり、キャンプが始まった。


「キャンプをしよう」と言っていた明日香のお母さんはまたもや何もしていない。


明日香も沙希も「焼くのは男の仕事!」と言って食べる準備だけ。


俺と亮平は溜息をついて野菜と肉を焼き始める。


「…あまり食えないな。」


俺は肉を裏返しながら亮平に呟く。


「そうだな」


やっぱり亮平も思っているらしい。


何で俺たちがそういうこと思っているのかというと、


「風紀君! お肉まだぁ?」


明日香のお母さんが俺の後ろでスタンバイしているからだ。


「あと少し待ってくださいね?」


明日香のお母さんだ。キレることは出来ない。


そして、出来上がった肉を明日香のお母さんの皿に入れる。


「小母さん食べすぎですよ」


笑いながら亮平が言う。


亮平がそういった直後俺たちの顔は硬直した。


ズゴォォォォン!


熊も驚くフックが亮平にあたったのだ。


「ぐぉっ…」


亮平はそのまま意識なし。


うずくまって倒れている。


「あら、どこに小母さんなんているのかしら。」


その亮平を殴ったのはもちろん明日香のお母さん。


「お母さん!」


明日香が明日香のお母さんに近づく。


「大丈夫、骨は折れないところをつついたから」


…いやいやつついたじゃ収まらないですよ。


「まぁ、そのうち目覚めるからそこらへんにでも寝かしておきましょう」


ニコっと笑って俺を見た。


「そ、そうですね」


としか言わさない顔をされ、俺は亮平を運ぶ。


大丈夫か亮平?


もう死んだのかと思うぐらいすごい音がした。


「風紀君! お肉まだぁ?」


…絶対に逆らえない。


俺は初めてと言う位、心の底から思ったのだ。


















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