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私選和歌集  作者: 如月瑠宮
源氏物語より
70/73

蓬生と関屋と絵合

年を経て待つしるしなきわが宿を花のたよりに過ぎぬばかりか

 年を経て、待っている甲斐も無かった我が家を藤の花を見て通り過ぎ難く思っただけなのでしょうか。


※長い間、放っておかれた末摘花の光源氏の「藤波のうち過ぎかたく見えつるはまつこそ宿のしるしなりけれ」への返歌。この返事に彼女の成長を感じ取れます。




わくらばに行き逢ふ道を頼みしも猶かひなしや潮ならぬ海

 たまたま行き会う道を頼みにしていましたが、やはり甲斐がありませんでした。なにしろ潮ならぬ海ですから。


※潮ならぬ海は琵琶湖の事。一度は振られた空蝉への源氏の歌。




別れ路に添へし小櫛をかことにて遥けき仲と神やいさめし

 別れの時に添えた櫛を口実にして、遠く離れた仲でいよと神がお定めになったのでしょうか。


別るとて遥かに言ひし一言もかへりてものは今ぞ悲しき

 遥か昔の別れの時、帰るなと仰せられた一言が帰って来た今は悲しく思います。


※後の秋好中宮に朱雀院が送った歌とその返歌。斎宮として伊勢に行く時に別れの櫛を挿して「京に戻ることなかれ」と言った事をふまえたもの。斎宮が京に帰るのは天皇の代替わりか親族に不幸があった時で、代替わりによって帰京し「今」は母である六条御息所が亡くなりました。

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