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葵
はかりなき千尋の底の海松ぶさの生ひゆくすゑはわれのみぞ見む
計り知れない海の底の海松のように、豊かに成長した貴女の黒髪は私だけが見届けよう。
※光源氏が若紫に贈った一首。
嘆きわび空に乱るるわが魂を結びとどめよ下交ひのつま
嘆き苦しむ余り空を彷徨う私の魂を下交ひの褄を結ぶようにしっかりと結び留めて下さい。
※光源氏の正妻である葵の上に憑いていた六条御息所が詠んだ歌。
あやなくも隔てけるかな夜を重ねさすがに馴れし夜の衣を
どうして隔ててきたのだろう。幾夜も共寝をして慣れ親しんだ仲だというのに。
※光源氏が若紫に贈った歌。




