夕顔
心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花
貴方様かと思いました。白露の光を添えている夕顔の花のように美しい方を。
※女性から貰った扇に添えられていた歌。夕顔と呼ばれるようになる女性からの物で「もしかしてあの光源氏様ですか?」といった趣旨。
寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔
近寄ってそれかと見たらどうでしょう。黄昏時に仄かに見た夕顔を。
※前述の夕顔の歌への光源氏の返歌。
咲く花に移るてふ名はつつめども折らで過ぎ憂き今朝の朝顔
咲いている花に心移りしたという噂は憚られますが折らずに過ぎがたい今朝の朝顔です。
※六条御息所の屋敷で帰り支度を手伝ってくれた下女を口説きながら詠んだ歌。下女は礼節を弁えた対応をした為、主として行き渡った教育をしている六条御息所に惚れ直すという場面。
優婆塞が行ふ道をしるべにて来む世も深き契たがふな
優婆塞が行く道を道案内として、来世も深い契りを違えないで下さい。
※光源氏が来世まで契る事を夕顔に詠った歌。夕顔の返歌は「前の世の契り知らるる身の憂さに行く末かねて頼みがたさよ」でした。
逢ふまでの形見ばかりと見しほどにひたすら袖の朽ちにけるかな
再び逢うまでの形見だと思って見ておりましたが、すっかり涙で袖が朽ちてしまいました。
※空蝉が夫と一緒に任国へと行くと知り、彼女が脱ぎ捨てた小袿と共に贈った光源氏の一首。




